表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/162

第三十七話 森の中にて2

 明けましておめでとうございます。昨年は今作を読んで頂き本当にありがとうございます!

 今年はなるべく更新を頑張りたいと思いますので、今年もよろしくお願い致します。

「あそこにいるのは、人⋯?」

『お待ち下さいエニカ様。不用意に近付かない方がよろしいかと思われます。

 距離があるとは言えど、あそこにいるものの魔力は探知できましたが動く気配がありません。その場合すでに息絶えている可能性があります。

 今のところ他の動きのある魔力を持つものは、この近くにいないようですが、魔物によっては捕らえた獲物を保管のために縄張りに置いていたり、他の獲物を(おび)き出すために罠として置くことがあるため油断は出来ません。

 エニカ様のお気持ち、お察し致しますがここはどうかご辛抱願いたいと思います』

 コロの言葉を聞いてゾッとした。百歩譲ってご飯のために縄張りに獲物を置くのは分かる。

 けど、罠として仕掛けるだけの知能がある、たちの悪い魔物もいることを知って恐ろしいと思った。

「⋯分かった。でも私が歩けるような道になってるのはここら辺しか無かったよね⋯?」

『はい。エニカ様の仰る通りです。

 本来なら私かソイルが斥候として向かいたいところではありますが、エニカ様の守りが手薄になるのを避けたいと思います。

 ⋯私たちと共に進むことは出来ますか?』

 コロとソイルが心配そうに見つめてくる。答えは決まりきっていた。

「⋯うん。進もう」

 このままだと日が暮れちゃうし、コロの言ってた魔物の縄張りや罠場の可能性があることを考えたら止まらず進むしかないと思う。

 出来ることなら、あそこに横たわるものが見間違えであることを願うばかりだけれど⋯⋯


――――――


「やっぱり見間違えじゃないか⋯」

 休憩場所として予定していた木を通り過ぎて、いよいよ問題の木の側まで来てしまった。

 木の下にいるのは、やはり人。しかも⋯

「こんなところに女の子なんて⋯」

 シンプルなワンピースのような格好をした、傷だらけでボロボロの女の子だった。

「見た目は女の子みたいだけど、人⋯ではないよね?」

『ご明察の通りです、エニカ様。私も見た目だけでは特定まで至りませんでしたが、魔物で間違いはないでしょう』

「ピギャッ」

 コロとソイルの二人ともが同時に頷いた。

 私がこの子を人ではないと思った理由、それはこの子の身体についた傷から血肉が見えず、まるで陶磁器で出来た人形の肌に(ひび)が入ったような傷つき方をしているからだ。

 痛々しい傷や汚れが無ければ、ビスクドールのような白い肌に、全身を覆えるぐらい長いアイスブルーの髪が綺麗な女の子にしか見えなかった。

「この子は生きてるの⋯?」

『我々がこの近くまで来て何の反応も無いところを見ると⋯恐らくはもう⋯』

「そうなんだ⋯」

『エニカ様⋯!?何を⋯!』

「ピギャッ!?」

「コロ、ソイル、お願い。

 周りに他の魔物がいないか、少しだけ見ててくれる?すぐ終わるから。」

 魔物と聞いても姿形が人間の女の子に似ているからだろう。

 女の子だからせめて顔だけでも拭いてあげたい、と僅かに使える水魔法でポケットから取り出した布を本当に少しだけ湿らせてから、顔にかかっていた髪をかき分けた。

「わぁ⋯!きれい⋯」

 覗かせた顔は想像していた通り、いや、それ以上に綺麗なお顔をしていて、傷や汚れがあってもその美貌が損なわれることはなかった。

 ⋯苦しそうな表情でないのが、少しホッとした。

「痛かったよね、ゆっくりお休み⋯あっ」

 顔についていた汚れを拭おうとしたら、女の子の顔に一つ、二つと雫が落ちてきた。

 女の子の痛ましい姿に思わず涙が出てしまってたみたいだ。

『エニカ様⋯魔物はおりませんが、そろそろ⋯』

「ピギャ⋯」

 後ろからコロとソイルの心配しているような声が聞こえる。

 私の我が儘で二人に待ってもらってるからには、速く拭いてあげたら行かないと⋯


「あつい⋯⋯」

「え?」


 私のすぐ下からコロともソイルとも違う、高めの声が聞こえてきた。

 恐る恐る、声がした方へ向いて見る。

 さっきまで全く動かなかった女の子とバッチリ目が合った。

 見開いた女の子の瞳は、右目が澄んだアクアマリン、左目が銀の色味が強いセレナイトのような美しい瞳で、一瞬見惚れてしまった。

 女の子の目が開いたことにも驚いたけど、更に驚いたのは気がつくと顔や手足、恐らく髪や服に隠れて見えないところにもあったと思う傷が綺麗に塞がっていたことだ。

「あ、なたは⋯⋯?」

「あ、ごめんなさい!貴女が倒れていたからつい気になっちゃって⋯大丈夫?」

 思わず普通にこの子と喋っちゃった!

 目を覚ましたし傷も塞がったみたいだから、この子が魔物なら今更ながらこれ以上関わるのはあんまり良くないよね⋯

「大丈夫なら私、もう行くね」

「あなたが、ボクの⋯⋯」

「え?あ、あの⋯!」

 離れようとした私の手に女の子が触れようとしてきた時だ。

『それ以上はもう看過出来ません。そのお方から離れなさい、魔物。ソイル、エニカ様をお守りしなさい』

「ピギャッ!」

 コロとソイルの声が聞こえた途端、気付いた時には私は宙に浮いていた。は?何で?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ