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第二十三話 帰還、再び始まりの洞窟にて

『エニカ様⋯ロックベアーを前にした時、私のことを逃げてと言われながら投げられましたね⋯あの時は生きた心地がしませんでしたよ⋯いくらエニカ様の(めい)とはいえ私の命より大切なエニカ様が失われるんじゃないかと思って⋯でもそのような私の気持ちのことはよいのです』

「うん」

『投げられてからエニカ様の元へ早急に馳せ参じなければと思い向かおうとした瞬間に、あの土塊の魔物は『石化の魔眼』でロックベアーを石にしましたね⋯あの愚かな畜生が石になったことは全くもって構いませんがエニカ様の窮地を私の力不足で救えなかったことと、エニカ様が『石化の魔眼』の脅威に晒されていたにも関わらず間に合わなかったことを思うと、遣る瀬無さと失意に呑まれました。でもそのような私の気持ちのことはよいのです』

「⋯うん」

『罠の可能性があるにも関わらず、魔眼を持つ魔物に近付かれて絆されて行くエニカ様を見て悲しみと羨望と嫉妬の感情で胸が張り裂けそうになりました。でもそのような私の気持ちのことはよいのです』

「⋯⋯うん」

『エニカ様⋯貴女様が無事に私の下へ戻ってこられたならそれでいいのです!!エニカ様よくぞお怪我もなくご無事でお帰りになりました〜〜〜!!!』

「⋯⋯⋯うん。色々心配とか迷惑とかかけちゃって本当にごめんね。コロ」

『ご迷惑なんてとんでもありません〜〜〜!!!心配はこれ以上ないほどしましたが〜〜〜!!!』 

 私の膝上でみぞおち辺りを擦り付けるようにグリグリしてくるコロに、労わるように撫でてあげた。

 元はと言えばコロを逃がしたい一心で投げた私の行動が良くなかったかもしれないけど、ただ怒られるより精神的にくるねこの言われ方。


――――――


 土山の魔物と熊の魔物と出会ってから、目を赤く光らせた異様な雰囲気のコロから一旦出直した方がいいと(かなり圧が強く)言われ、洞窟に戻ってくることになった。

 戻ってきた途端、コロに言われるがまま棺の蓋の上に座り、コロも私の膝の上に乗ってきたと思ったら、今のやり取りが始まったのだ。

 コロの闇落ちした瞳に赤い光がプラスされると本当に怖かったよ⋯しかも洞窟内の暗さも手伝って尚更さ⋯

 だけど今話してくれたコロの気持ちを考えると、本当はもっと言いたいところを抑えてくれてんだろうなと思うから、コロの気の済むようにさせていた。

 これが逆の立場なら泣いて怒ってどころの騒ぎじゃないと思うから。

 でもあんな凶暴そうな魔物に出会って私もコロも無事だったというのは本当に奇跡だと思った。

 それも小さな砂山みたいなあの子がいてくれたお陰だよね。

 今はコロが膝に乗っかっているから行けないけれど⋯


『ピッ⋯ピギャ!』


 私の視線の先にいるのは、空だった麻袋に入れてきた、袋から自分で頑張って這い出てきた小さな土山の魔物であった。

 ちなみに、この子を連れて行くと言ったのは意外にもコロの方からである。

 洞窟に戻る前にコロの今までの雰囲気や、私の下へ戻ってきた時の尋常じゃない様子から当初、「流石にこの子は置いて戻った方がこの子にとって安全で幸せかもしれない」と考えていた矢先にコロから許可を貰うことが出来た。

 コロの様子に怯えながらも必死に睨みつける土の魔物にコロが『貴方、()()()()()()()()()()()()連発での魔力の使用は今の貴方には魔核に負担をかけていることぐらい自覚なされているでしょう?魔核が壊れるのが嫌なら、私たちについてきた方が賢明ですよ』と、相手の現状が分かって言っているかのような様子で話しかけていたのが気になった。

 だけどその言葉で、土の魔物は大人しくなり、空の麻袋に入れて連れ帰ることも出来た訳である。

 余談だけれど、この子の身体は地面から盛り上がっているような姿をしているため、地面のどの辺りから麻袋に移し替えていいかで大変迷った。

 コロから『麻袋に入るようエニカ様から指示をされたら自分でいいように入ってくると思いますよ』と言われて、声を掛けながら目の前に袋を置いたらゆっくりだけど入っていったのを見て安心はしたけどね。

 それにしても、下位魔?や石化の魔眼?、魔核?とか聞き慣れない単語が会話の中で出てきたから知りたいし、そもそもこの子自身マッドゴーレムっていう魔物らしいってことしか分からないから、そろそろコロに詳しく教えて貰いたいな。

 未だに私のお腹辺りを軽くグリグリして機嫌が戻ってきているコロに話しかけてみた。

「コロ、良かったら魔物とかこの子のこととか、教えてもらいたいんたけど⋯」

『ああ〜〜〜!エニカ様の柔らかく温かなお腹にずっと(うず)もれていたい⋯あ、エニカ様何を⋯!?』

「私のお腹に埋もれたいって何?私の腹が出てるってこと?ねぇちょっとそこ詳しく教えてよコロ?」

『お、落ち着いて下さいエニカ様!女性のお腹はふくよかなぐらいが丁度いいで⋯あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!』

「ピッ!?ピィィィ⋯!!」

 おっといけない。最近気になってたところをコロに指摘されて思わず片手でちょっっっと力を込めて握っちゃったよ。

 この子も怯えちゃったから処すのは周りを見てからしないとだったね。

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