第十八話 始まりの洞窟にて、そして新たな従魔探しへ
『こちらは契約印と呼ばれる魔力で出来た紋様になります。魔力を通せば契約を結んだ者同士に同じ模様が浮かび上がるようになるのです。
エニカ様も魔力を通すことで、私と同じ紋様が浮かび上がると思います』
コロの言葉に思わず自分の首に手を当てた。
この洞窟の中では暗いし、鏡もないからすぐに見ることは出来ないけど、私にもコロと同じ模様が浮き出るようになるんだ⋯
『ああ⋯エニカ様とお揃いの証を身に宿していると思うと興奮が収まりませんね⋯』
うん、今のコロの呟きを聞いたらちょっと複雑な気持ちになっちゃったよ。
でも、ほぼ初めてなのに難しそうな魔法を使った上に、その魔法が無事成功したからか何か安心して、疲れも出てきた気がするしお腹も⋯
クゥゥ⋯
『こ、この愛くるしくも切なげに鳴り響く音色はエニカ様のお腹から⋯!?』
小さく鳴ってしまったお腹の音に即気付いたようでコロは耳ざとく反応した。
「言葉に出されるとめっちゃ恥ずかしいんだけど、無事に魔法も使えたし契約が終わったと思ったらお腹が減っちゃってさ⋯」
『それはいけません!私も気付かずに申し訳ありませんでした!
魔力を使用した時は体力も消耗しやすいのですが、空腹になられる程体力と魔力をお使いになられたのでしょう。柩の中に量は多くありませんが保存食がありますので今はそちらをお召し上がり下さい!
特に魔力を多く使用した時はお食事されたり、お休みになられると比較的早めに回復もしやすいですよ!』
「分かった。早速貰おうかな」
コロに促されて棺の中を確認することにした。
――――――
棺の中を確認して入ってた保存食は、黒パンや干し肉、いくつかの豆類やドライフルーツのようなものがそれぞれ皮や麻でできた袋に入れて保管されていた。
ひとまずすぐに食べられそうなのは、黒パンや干し肉、豆類はそのままだと硬そうだからドライフルーツみたいなのから食べることにした。
ドライフルーツもパッと見、レーズンみたいなのとかデーツみたいなのがあったから、レーズンみたいなのが見た目の実から食べてみる。
うわ⋯思ったよりも歯応えがある、っていうより硬い!でもじんわりとした甘みが出てきて、噛めば噛むほど味が出てくるから美味しい。
味もレーズンに似ていて食べやすかったし、よく噛むから少量でも食べた満足感はあるな。
「ふぅ⋯美味しかった。ごちそうさまです」
『エニカ様?もうよろしいのですか?』
「うん。思ったよりもお腹いっぱいになったし、あんまり量を食べちゃうとすぐになくなっちゃうからね。そういえばコロは食事ってどうなるの?」
『私は大気に漂う魔力を吸収できますし、今回エニカ様と魔力を同期できましたので、その魔力を少量取り込めば活動が可能なのですよ!』
「へぇ~ 省エネだなぁ」
人工スライムって聞いてたけど、異世界の生き物って元の世界ではないような不思議な生態だよね。
なんとなしにコロを見ていると、食事中は静かに待ってくれていたコロが私に向き直した。
『エニカ様はこの後、何かなさりたいことはございますか?』
「私?今したいこと⋯」
ふと考えてみればしたいことって言うより、やらないといけないことが沢山あることに気付いた。
今保存食があっても他にも確保しないと無くなるし、手元にある保存食も火や水を使わないとそのまま食べられなさそうだし、そもそも飲み水はないからその確保も必要だよね⋯その他にも足りないものは数多くありそうだ。
でも何をするにも必ず外に出ないといけない。
さっき空を覆うように飛んでたサンダーバード並に怖そうな魔物がウヨウヨいるだろう、あの大自然へ。
魔力クソ雑魚レベルのひ弱現代人である私と小さなコロの二人だけで。⋯⋯うん、決めた!!
「コロ!」
『はい!エニカ様!』
「私が⋯いや私たちが今一番にやらないといけないことがあるよ!!」
『どこまでもお供いたします!!』
「もう一匹は従魔契約してくれる子が必要だよ!!!」
『はい⋯えええええっ!!!?もう私ではない従魔が必要、であると⋯?』
え?どうしたのコロ、その反応ってさ。コロ的には賛成してくれない感じ?
――――――
『申し訳ありません⋯エニカ様の仰られていることが一番正しい選択であることは頭では分かっているのです⋯
しかし、エニカ様が私以外の従魔を必要とされていると思うと感情が収まらなくなってしまって⋯』
「それはいいんだけど⋯私もちゃんと説明するから、コロも話をよく聞いてね」
『反省致します⋯』
所変わって洞窟の外。即闇堕ちコロに何とか説明をして、納得したコロと一緒に従魔探しのために外に出た。
シュンと落ち込むコロは私の肩に乗っけている。
今はまだ洞窟前の開けた場所にいるけど、魔物は死角から襲いかかってくることが多いからすぐに見つけられるように、とコロのアドバイスを受けて乗せることにした。
荷物も出来るだけ身軽な方が逃げやすいからと、肩掛けバッグには逃走用にばら撒く干し肉と、念の為の護身用ナイフ、果物など食材になるものを見つけた時用の空の麻袋を入れてきている。
魔物がいることを知ってから見る外の景色は、一番初めに見た景色と同じなのに、今の私にはとても恐ろしい地獄のようにしか見えない。
だけど、勇気を振り絞ってでも私にはコロだけでなく、もう一匹⋯いやもう一人は従魔契約をしてくれる魔物を探したいと思った。
コロのことは勿論頼りにしているし、私にとっては大事な存在となっている。だけど、どうしてもコロには頼めないことがあるからだ。
⋯トイレに行きたいけど、見張りをお願いできるような魔物っているのかな?




