第十七話 始まりの洞窟にて17
『では善は急げとマスターから伺ったこともありますので早速従魔契約を行いましょう!』
「今すぐやるのはいいんだけど具体的にはどうやってするの?」
『従魔契約は様々な方法がありますが、基本は主となる側が最初に魔属性の魔力を発動させながら相手に従魔となる旨の問いかけを行い、相手側がその問いかけに是と答えれば成立します。
今回はエニカ様の魔力量のことがありますので、なるべくなら私に触れながら問いかけられた方が確実に契約が結べるのではないかと思います』
「分かった。あ、あともう一つ質問があるけどいい?」
『大丈夫ですよ。遠慮なくご質問下さい!』
「ありがとう。契約の時の問いかけは必ず従魔って言わないとなのかな?」
『と、言いますと?』
「コロには従魔って言葉よりピッタリな言葉があるから、それを使いたいんだ」
『!? あまり前例は聞きませんが試してご覧になりますか?』
コロが心配そうに私を見る。私の魔力量のことがあるから、失敗に繋がりそうなことは避けた方がいいと思っているのかもしれない。
でもこれは譲れないよ。
「あんまり何回も出来ないことは分かってるよ。でも一回目は必ずコロに掛けたい言葉なんだ。どうか言わせてくれる?」
『…承知致しました。エニカ様の決められたことならばお見守りさせて頂きたいと思います。
しかし、何らかの不都合が確認致しましたら止めに入ることはご了承頂きたいです』
「わかったよコロ。じゃあ私の手においで」
『はい!』
コロがピョイと私の両手に乗ってきた。
手のひらの上でジッと静かに私を見上げるコロを見ながら魔力を想像した。
確か魔属性の魔力を発動させながらってコロは言ってたから、魔属性の魔力が私の言葉に乗ってくれるイメージを想像した。そして上手くいきますようにお願いしますと祈りを込めながら。
少しだけ、息を吸い込んでからコロに語りかけた。
「改めて、私の相棒兼マネージャーになってくれませんか?」
『勿論喜んで!!!』
コロが答えた瞬間、私とコロから赤い光が立ち上った。
う⋯急速に力が抜ける感じがするけど魔力が出てるってことかな⋯
赤い光は私とコロから立ち上りきると、私たちの上で紐状に集まり、赤い光で出来た二つの紐が交差し合いながら輪を描いた。
その輪の形はまるで水引の相生結びを思わせる綺麗な円となっていた。
けれどそれも一瞬で、次の瞬間にはその円が私には首に、コロは体を囲むように巻きつくとあっという間に消えた。
う、上手くいったのか心配だな⋯⋯でも光魔法を使った時より疲れた感じがするから魔力は使っているみたいだけど⋯
「お、終わった⋯疲れたぁ⋯」
『お疲れ様ですエニカ様!無事に従魔契約は結ばれましたよ!!
続けて魔力を使用してお疲れでしょう!柩や地面の上で休むのもなんですから、このコロの上にお掛けになられて下さい!!!』
「潰しちゃいそうで気を使うから大丈夫」
『ご遠慮なさらないで下さい!!!』
コロが言うから本当なんだろうけど、コロと従魔契約がちゃんと結ばれているかどう確認できるのか、あの赤い光で出来た紐がその証拠なのか、色々聞きたかったけどコロとの攻防と疲れですぐに尋ねることは出来なかった。
――――――
コロとの攻防に打ち勝ち、少し休んだ後に改めて契約のことをコロに聞いてみることにした。
「ねぇコロ、従魔契約は無事に結ばれたとは聞いたけど、それってどうやって分かったの?」
『それはですね、私の場合は魔属性の魔力があるので魔力探知が可能だったため知ることが出来たのです。
エニカ様も魔属性の魔力持ちでありますので、魔力の扱い方に慣れてくると出来るようになりますよ!』
「なるほど」
今の私にはまだ分からない感覚だと思った。
『それとこちらの望魔鏡をご覧下さい。
しばらくはこちらの望魔鏡でご確認される方が分かりやすいかと思います』
「ありがと⋯ええっ!?」
コロが私を望魔鏡で写してから渡してくれた望魔鏡を見て驚いた。
赤く輝く宝石のところだけちょっとレンズの模様が伸びてる⋯!?
「このレンズの模様がちょっと伸びたってことは従魔契約で魔力が伸びたってことなんだよね?」
『おっしゃる通りです!よろしければ私の魔力もご覧下さい』
今度は望魔鏡でコロを写してから見てみる。
コロの時はレンズ内の見た目は変わってないけど、縁の赤い宝石だけがキラキラと輝くようになっていた。
『従魔契約が完了した証に、エニカ様と私の魔属性の魔力が同期していることがお分かりになられたでしょうか?』
「本当に契約出来てるんだ⋯」
『それと本当は外に出られてからお見せしたいところですが⋯こちらもお見せ致します』
「え⋯!?」
コロの姿を見て本当に驚いた。
時折淡い虹色が光る白いコロの体に、ランタンの灯りでも分かるぐらい真っ赤な紋様が浮かび上がっていた。
その紋様は、従魔契約した時にコロの体を囲んだ相生結びのような模様と同じだった。




