第十五話 始まりの洞窟にて15
「この真ん中のヒビだと思ってたヤツ、私の魔力量だったの!!?」
言葉にも出して驚いてしまった。
せっかく綺麗なレンズなのに、ど真ん中に傷っぽいのは入っててちょっと勿体ないよねぐらいにしか思ってなかったよ!?
驚きを隠せない私をコロが痛ましげに見てくる。
『お辛いかと思いますが事実なのです⋯実際に私の魔力と比較してみましょう』
コロが望魔鏡を自分に向けて写した。
すると、みるみるうちにヒビだと思ってた模様が私の時より少しだけ放射状へ広がり、縁の宝石の輝きも鈍くなってきた。
『こちらが私の魔力になります。私の場合でご説明致しますと、マスターより創造された時、全属性を扱えるように調整されておりますのでレンズ内の魔力は全属性の宝石へ向かって放射状に伸びています。
しかし、私は人工で造られた魔導生物故、少量しか魔力を保有できず、あえて数値で答えるのなら最高を100、最低を0とすると私は10程度です。
ちなみにエニカ様は0.5程で、世界最弱と言われるイフェメラルフライより少ないのです』
「めっちゃ少な⋯って、イフェメラルフライって何?」
『確かエニカ様の世界の言葉ではガガンボと呼ばれている虫と形がそっくりであったかと思われます』
「ガガンボより魔力の量少ないんだ私!!?」
『イフェメラルフライは一応1はあります。死んだらすぐに0になりますが。
魔力の強い者が死ぬとその遺体に魔力が残ることもありますが、エニカ様はその遺体より魔力量が少なくあられるのです』
「下手すれば死体より魔力がないってこと⋯?え⋯詰んだ⋯⋯」
つまりは魔法チートどころか魔法も満足に使えないってことも確定しちゃったか⋯もうちょっと夢を見たかったな⋯⋯
『でもご安心下さい!エニカ様!』
内心落ち込んでいた私を気遣ってか、コロが声をかけてくれた。
『魔力はちょっっっっっと少ないかもしれませんが、エニカ様の場合でしたら魔力量を増やせる方法があるのです!』
「えっ?」
そんな方法あるの?ってか、「ちょっと」って言うところだいぶ溜めて言ったね?
『もしもエニカ様が魔力量を増やしたいとお思いになられているのでありましたら方法は一つ。
私と従魔契約して、魔力量アップしましょう!!』
「じゅ、従魔契約???」
従魔契約ってファンタジーでよく見かける魔物やモンスターと契約して仲間になってもらう契約のこと?コロと?
『はい!このエターナレンにおいて魔属性の魔力持ちならば誰でも出来る、魔力で結ばれる主従契約のことです!
基本は魔物との契約が多いですが、相手からの同意が得られれば同人種以外の人種とも契約を交わすことが可能なのです!
私ならば魔導生物にあたるのでエニカ様とのご契約は問題ありません!エニカ様さえよろしければ従魔契約を⋯』
「コロちょっと待って。もう少し従魔契約について教えてもらってから考えさせてほしいよ。
ただでさえ魔力の量が少ないって分かったばかりなのに、魔力を使いそうな契約をすることになったら正直不安っていうか⋯」
『も、申し訳ありませんエニカ様⋯エニカ様とお約束するだけでなく、魔力を行使して名実ともにエニカ様に仕えられると思いましたら先走ってしまいました⋯』
私に止められてシュンとするコロ。
私と従魔契約することにコロは異論や抵抗がないみたいだけど、「契約」と名がつくものであるなら用心するに越したことはないからさ。
「分かってもらえたならいいよ。でも、何で従魔契約をすることが魔力量アップに繋がるの?しかも私の場合ならっていうのも気になったんだよね。
そもそも従魔契約自体がどんなものかも分からないから、そこから教えてもらえると助かるよ」
『承知致しました。まずは従魔契約とはからですね。従魔契約とは主となる側がどのような形であれ魔物や他人種からの同意を得られれば相手側は従魔として主従関係が成立する契約となっております。
どのような形であれというのは、例えば魔物の場合であれば戦って屈服させたり、懐かれたりするといった同意を得るに至る経緯は問わないという意味です。
主従関係を結ぶことで主側は従魔となった魔物や他人種に命令をしたり、頼み事に協力してもらいやすくなります。
しかし、従魔側も受け入れた上での契約となりますので、無理に従わせるということはありません。相手の生殺与奪を握り、命令を強制的に従わせることができる隷属契約魔法というものはありますが』
怖っ!?最後の隷属契約魔法の説明いる!?まぁ、従魔契約で相手に無理やり契約させたり命令させたりは無いことが分かったのはちょっと安心したけど。




