表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/162

第十二話 始まりの洞窟にて12

『世界全土で起こった問題について、各地の人種や種族代表が中央都に集まり、話し合いや様々な試行錯誤を行う中、目をつけたのが転移者の存在でした。

 当時は召喚の儀はなく、時折『迷い人』が各地でぽつりと発見され、発見されても謎の人種がいたぐらいの認識で留まっていたようです。

 しかし、どのような経緯があったのかは定かではありませんが、『迷い人』であった転移者と番った者がおり、生まれた子どもたちが総じて親よりも魔力量や質が高水準であることが判明したのです。

 同人種、同種族、同属性同士の(つがい)の推奨はなされていましたが、混血が多くなったことで魔力量や質の低下が起こり続けていたのもあったからでしょう。

 保護と謎の現象の調査という名目で『迷い人』の回収と研究を行うようになったのは』

「⋯⋯⋯」

 思わず言葉を失ってしまった。ただでさえ知らない世界に転移してしまった上に、こんな仕打ちってないよ⋯

『研究やその過程については割愛します。⋯⋯エニカ様のご想像の通りであるかと思われます。

 結果から申しますと、いつどこで転移が起こるか分からない『迷い人』を捜索するより、各人種が力を合わせ、異世界人を召喚する術を編み出し、定期的に召喚することで世界の魔力の安定化を図ることを選択しました。

 ⋯⋯皮肉な話ですが、この召喚の儀を生み出し、恒例化するまでにも少なくない血が流れたそうです。

 今では百年に一度、中央都で行われる召喚の儀で喚ばれた『神使』と儀式の年で一番優秀と見なされた王族や貴族、騎士、戦士、賢者、魔導師、大商会の長、職人など、魔力属性や人種が被らないように集められた『十二番配』と呼ばれる代表者たちが基本番うように定められております。

 召喚の儀も異世界の者を故意に喚ぶ術。多くの魔力や知識、技術などを国や人種問わず集めて行う必要があり、立て続けにやすやすと行える魔法ではありません。確実に優秀な血統を残せるよう、比較的転移者の独占などの問題が起こらぬよう考えられた結果が今の方法となったようです。

 これもまた皮肉なことに、召喚の儀が恒例化されるようになったことで、『神使』と『迷い人』の待遇が見直され大幅に改善されていきました。しかし、基本『神使』として喚ばれた転移者は十二番配と番い子どもを作ることで、生涯の生活など最大限に保障をされるようになります。⋯⋯マスターが召喚された時もそうでした』

 最後の言葉を口にした時、コロはどこか遠くを見つめていた。

 ⋯⋯コロから話を聞いただけの私ですら気分が悪いのに、この世界の都合で勝手に召喚されて、この事実を直接突きつけられ、言外に子どもを作ることを強制されたマスターさんの気持ちはどれ程のものだったろうか。

『これが私が子作りと申しました理由とその背景です。

 ⋯⋯エニカ様、魔力のお話に戻る前に少々お休みしましょう。顔色が優れないようです』

 いつの間にか、横になった姿勢から柩に座り込んでコロの話を聞き入っていたようだ。

 心配そうに私の顔を覗き込むコロを見下ろしていた。

 ⋯⋯今の話を聞いて、思うことは限りなくある。だけど今これだけはコロに宣言しておこう。

「心配ばかりかけてごめんね、コロ。私は大丈夫。でも一つだけ聞いてもらいたいことがあるんだけど、いい?」

『はい、何なりと』

 具合が悪そうに見える私を気遣ってか、コロは声のトーンを少し落として返事をしてくれた。

「もうここに住もう。誰とも会わずに暮らしたい」

『はい喜んで!!!ではなかった、エニカ様は本当によろしいのですか?』

 コロのいいお返事が聞けたからほぼ決定だ。ちょっとやけくそ気味かもしれないけど、全く考えなしに発言した訳では無い。

 生活に関して、マスターさんが文字通り命をかけて用意して下さった数々の生活用品はあるし、柩の奥の方に保存食みたいなのも見かけたから、生活環境を整えるまでの当面の分はありそうだ。

 この洞窟の周りは大自然だから、サバイバルどころかキャンプ経験すらもほとんどしたことがない私が暮らすには甘く見すぎている自覚はある。

 でも百歩譲って、庇護を求めて人外の住人たちが暮らす街に向かうことになっても道中でサバイバルは必須になることも目に見えている。

 それなら、ある程度の安全が保障されていると知っているこの場所で経験を積んだ方が良さそうだと思った。

 それにもしコロの言う通りなら、私には質が高く豊富な魔力が全属性揃っていることになる。

 ⋯⋯もしかして魔法チートを持ってるかもしれないとちょっと期待があったりする。

 『迷い人』として保護を求めることも考えなかった訳では無いけれど、コロの話と、生涯に渡る保障をされていただろうに関わらず、この洞窟にいるマスターさんのことを思うと、保護を求めることが良い判断となるかは正直分からないと思った。

『エニカ様?』

「ん?あ、ちょっとぼんやりしてたみたい。私は今のところ、ここでの暮らしを前向きに考えたいと思ってるよ。早速だけど、魔力の話を教えてもらっていい?」

 まずは魔力をマスターできるか、やってみるしかない!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ