第十話 始まりの洞窟にて10
十話なのに主人公たちが旅立ててない⋯(焦)精進します。
柩の中に衣服や下着が数着ずつ入っているようだったから、早速選んで着てみることにした。
衣服の肌触りはどれも良く、着替えてみたら全てサイズがほぼピッタリで着やすい。魔法のある世界だから自動的にサイズを合わせる機能でもあるのかな?
時々『黒のお召し物からお着替えされるエニカ様⋯想像だけでも堪りませんっ!!いつの日か拝みたいものです⋯⋯』とブツブツ呟くコロの独り言を華麗にスルーしながら、何事もなく着替え終わった。
上は無地で厚手の長袖シャツに大きめなポケットのついたベスト、下は黒い長スボンに膝上まであるロングブーツ、両手には指先の出る手袋を着けている。
最後に厚手のフード付きマントを羽織れば、パッと見はシンプルな冒険者風の服装へとフルチェンジを果たした。喪服より着込んでいるからやっぱり暖かいな。
「お待たせ。今、着替え終わった『ああ〜〜〜!冒険者スタイルのエニカ様も大変麗しく初々しさが眩しいです!!!』振り返るの早いね」
ギュンッ!!!と音が聞こえそうな程、私の方へ振り返るのが早かったコロ。そこまで着替えが気になってたの?
『本当によくお似合いですよ!!』
「そう?こういう服を着ることはあんまりなかったから褒めてもらえるのは嬉しいけど、ちょっと照れるな」
『ああ、エニカ様の初お着替えという記念すべき時に魔導具などで肖像画のように今のお姿を写し取ることが出来ないのが本当に残念でなりません』
「そこまでしなくていいからね、ほんと。でもこの洋服、暖かくて着やすいね」
『エニカ様に喜んで頂けて何よりです!おや?バッグは肩に掛けてみられなかったのですね?』
コロが柩の側に置かれていたバッグの存在に気付いた。
そうだった、バッグのことでコロに聞いてみようと思ったことがあったんだった。
「そうそう、バッグのことでちょっと聞きたいんだけど、荷物を入れられるバッグとかはこれだけかな?」
『はい!あまり幾つも荷物があると、特に徒歩での移動時が大変になるかと思われますので、この柩に入っている分の荷物はそのバッグで事足りるかと思います!』
「このバッグ一つで?」
私がやたら尋ねているのには訳がある。この革で出来た肩掛けバッグはそこそこの大きさではあるが、ナイフや食器類など小物を幾つか入れたらパンパンになりそうな程の見た目に見える。
着替えなども含めたら、とても入りそうな感じがしないけれど⋯
『こちらのバッグも魔導具なので、魔力を込めたら収納が出来るようになりますよ!』
「魔力を込める?どうやって⋯?」
『あ!?失礼致しました!魔力についてのご説明がこれからでした!エターナレンでの魔力と呼ばれる力と、転移者の特別な魔力についてお話しますね』
魔力と転移者の特別な魔力については、洞窟前でのコロの話とマスターさんの話の中で少し出ていたのを覚えている。
つまり、私も転移者なら魔力が宿っているってことになるのかな?
気になりながら、コロの話を聞くことにした。
『まず、このエターナレンでは魔力というのは生命維持や生活に欠かせない動力源として行使されていることを少しお話したかと思います。
エターナレンで生まれ、存在する者たちは大なり小なり、どんなものでも必ず魔力を持って生まれます。
この世界では、魔力と生命力は根底につながりがあり、どちらか片方が弱まれば、もう片方も弱まっていく傾向にあります。
それ故、老衰などで自然に寿命を全うする者は魔力低下が見られることがよくあります。あまり聞きませんが、仮に魔力を全く持たずして生まれたものがいたとしても、程なくして世を去るのではないかと思われます。
ちなみに、魔力を元に魔法を行使すればその分消費しますが、基本は急激に消費することなどなければ、自然回復します。そのため、エターナレンでは魔力を中心とした社会や生活基盤が成り立つようになったのです。ここまではご理解頂けたでしょうか?』
「うん。コロの説明は分かりやすくて教えてもらって助かるよ」
『お褒め頂きありがとうございます!では早速次のお話をしますね』
褒めるとコロはちょっと照れてから、気を取り直して話の続きに戻った。
『魔力には属性があり、主に12の種類に分けられます。
光属性、闇属性、炎属性、水属性、風属性、地属性、力属性、才属性、命属性、霊属性、聖属性、魔属性、の12種類です。
ここは追々覚えていったらいいですし、私もその都度にご説明致しますので、今は魔力は12種類あると覚えて頂ければよいですよ。
エターナレンでは生まれつき、魔力量の多寡に関わらず、一種類か二種類、多くても三種類までのどれかの属性の魔力を持つことが通常です。逆に一人で四種類以上の属性を持つものはおりません。
しかし、転移者は基本、豊富な魔力量と質の高い全ての魔力属性を持ち合わせてこの世界へと喚ばれたり、訪れたりするのです。それは正式に喚ばれた者、通称『神使』と『迷い人』問わず、です』
コロの話を聞きながら、私は思わず息を飲んだ。
エターナレンの住人たちからすれば、転移者って貴重な魔力資源とかとして見なされちゃわない?




