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第三話 杉田さゆみ

私、杉田さゆみには好き男の子がいる。


相手はクラスメイトで以前友達の舞と一緒に通学している時にナンパ野郎たちから助けてくれた恩人だ。助けられた瞬間に私は恋に落ちた。それはもうどうしようもないくらいに堕とされてしまった。

それまでは一度も口を聞いたこともない男の子で、背が高くて運動神経はいいけど、あまり喋っているところを見たことが無かったから、見た目がいかつい隠キャだと思っていた。


それがあの日以来どうだ、背の高さも好きな相手ならただの長所になり、鋭い目つきも目力の強いイケメンにしか見えなくなってしまった。恋は盲目とはよく言ったもので彼の一挙手一投足全てが魅力的に感じるようになってしまった。


段々と気持ちが抑えられなくなり、そのことを一緒に助けて貰った幼馴染の舞に相談することが増えていた。


「ねぇ舞、拳二君ってどんな女の子が好みなのかな?私みたいなギャルって守備範囲に入ってるかな?」


「さゆ、最近東雲君のことばっかり相談してくるよね。前は推しのV系バンドの話が多かったのに」


「そらそうでしょ、あんな助けられ方したら惚れない方がおかしいよ!もう早く拳二君の子供産みたいに決まってるじゃん!!」


「こわっ!まだ付き合ってもないのに子供とか重すぎるわっ!まじ引く」


「はぁ!?舞の方こそ拳二君のこと本当に好きになってないんだよね?あの時の拳二君見て好きになってないとかメスとしてどうかと思うよ。私あの時に拳二君の子供3人は産むって決めたから」


「メスとか言うな!あと具体的な数字もやめなさい!」


「拳二君私の初めて貰ってくれるかなぁ。舞みたいに巨乳の子じゃないといやって言われたらどうしよう。」


「やることばっかり考える前に告白しなさいよ!あんた学校では絶対そんな話しちゃ駄目だからね」


放課後のカラオケボックスでそんな話ばかりしていると舞が提案をする。


「とりあえず、連絡先くらい交換したら?あんた他の子にはすぐに聞けるのになんで東雲君とはそれすらできないのよ」


その言葉に私はドヤ顔で答えた。


「声かけるだけでも子宮が疼くのに、連絡先なんか聞いたら1人目妊娠するに決まってるじゃない馬鹿なの?」


その言葉に舞は汚物でも見るような目をしていた。


◇◇◇


その翌日の休みの日のこと、私と舞は菓子折りを持って拳二君の道場に以前のお礼に伺うことにした。


「舞、ここであってるよね?」


「そうみたい、この時間はお父さんと一緒に道場にいるみたいだからここから入った方がよさそうね」


「すみませーん」


道場の扉が開放状態だったので呼びかけることにした。タイミングが悪かったのか拳二君はいなかったが、おそらく門下生の小学生くらいの子が話を聞きに来てくれた。


「どうしたんですか?」


「実は、ここの拳二君に以前助けて貰ってそのお礼に伺ったんだけど、先生か拳二君呼んでもらってもいい?」


要件を伝えるとその元気な男の子は「押忍ッ」と言って奥で大人を指導している先生を呼んで来てくれた。その先生はいかにも達人といった風体の無駄のない筋肉の塊と形容すればいいのかとにかく強そうな人だった。


「あー、この前の件の子達だね。わざわざお礼に来てくれたんだ。ちょっと拳二呼びに行かせるから待っててね」


「あ、お義父さんお構いなく」


思わずお義父さんと言ってしまった。

横に立っている舞の顔を見るとお礼に伺っている人間とは思えない引き攣った顔をしていた。

しばらくすると、若干寝癖のついた髪型の拳二君があらわれた。顔を見るに少し疲れている様子だった。


「拳二君、この前は本当にありがとう。あと、結婚してください!!」


パシィッ!!

舞が私の後頭部を叩いた。


「あんた、タイミングおかしいでしょ!!!しかも、結婚て何よ!」


拳二君を見てみると固まっていた。


「な、拳二この子とお付き合いしているのか!」


「はい、お義父さん私と拳二君は将来の子供の数まで決めあった仲でございますわ」


パシィッ!!!

舞がまた私の後頭部をまた叩いた。


「ごめんなさい、東雲君この子ちょっとおかしくなってるみたいだから気にしないでね。それからこの前のことは本当にありがとう」


これつまらないものですがとお馴染みの定型分とともに舞が持ってきた菓子折りをお義父さんに渡していた。


「なぁ、拳二そんな子がいるならもっと早く言いなさい。後で家族会議だ。今日は母さんにお赤飯頼んでおくから」


お義父さんのその言葉を聞いても拳二君は土偶のように固まって終始一言も発することはなかった。


◇◇◇


お礼に伺った帰り道のことである。


「さゆ、あんたいかれてるわね。東雲君全く動けなくなってたじゃない。ザ・ワー○ドに対応しだしたばかりの承○郎でももう少し動けてたわよ」


「やっちまったぁぁぁぁ!!プロポーズしてもうたぁぁぁぁぁぁ!!」


「今更何言ってんのよ。あんた最後までお義父さんって呼んでるし、この後の東雲家の家族会議が一番可哀想じゃない。東雲君無実の罪で責任取らされるかもしれないのよ」


「てことは、私これから東雲さゆみになるってことだよね」


と言って私は子宮のあたりを抑えた。

パシィッ!!!!

今日一番の威力で舞が後頭部を叩いたのであった。

よかったら、感想と高評価よろしくお願いします。

特にこれからの改善点など知りたいので感想お待ちしております。

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