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第一話 東雲拳二

--------------------prologue---------------------------


俺、東雲拳二(しののめけんじ)には他人には見えないものが見えていた。


物心ついた時には既にそれは見えていた。それというのはいわゆる「色」だ。


「色」といっても、おそらく通常の人間が見る視覚的なものだけでは無かった。味、香り、触覚、音などの全てに「色」を認識できた。


ある日物心ついた時に母とスーパーで夕飯の買い物をしている際に他の人とはあきらかに違う色を発した人を目撃し母にたずねた。


「ねぇママ、あのおばさんなんであんなに青いの?」


すると母は


「けんちゃん、あれは青じゃなくて赤色だよ」


と優しく返した。その返事は正しく指差した女性は赤い服を着ていたので間違った指摘ではなかった。

しかし、そのすぐ後に女性が野菜を自分の持つ鞄の中にしまうのを見てしまった。そう、万引きというやつである。

母は正義感が強い人間でそのことを近くにいた店員に告げ、万引き犯の女性は店を出ると同時に捕まっていた。

その日の帰り道に母は俺に聞いた。


「けんちゃん、あのおばさんの服は赤かったのにどうして青いって思ったの?」


確認の意味もあったのかもしれない。それに対して


「服は赤かったけど、おばさんはすごく青かったんだよ」


俺はそう返した。

そのころから何度かそういう事案が重なり俺が世間で言われるところの「サヴァン症候群」の一種だということが判明した。

とりわけ俺の認識しているものは共感覚という才能であるらしく、音楽家や数学者の才あるものに多くみられるものらしい。


発覚当初両親はサヴァン症候群には精神的な疾患などが多いことから心配していたが幸いにもその兆候が現れることはなく一般的な人間と同じように健やかに成長することができた。


ただ、父に関しては俺の見えている世界について知ると最初は危惧していたようだが、ある日父が俺を見る目の「色」が変わった。

文字通り俺の感覚からすると色が変わったのである。


とある日のこと、我が家は代々古流の武術の道場を営んでおり、現当主は父であった。その為可愛い息子がいじめられることが無いようにと小さい頃から稽古をつけてもらっていたのだが、7歳になり初めての模擬戦をした。

模擬戦といっても、我が道場においての形式は伝統派空手のような寸止めではなくヘッドギアとファールカップ(金的用防具)を付けてのいわゆるガチスパーのような形式だ。


相手は2学年上の男の子で身体的にもひと回りは大きく本来なら歯が立たない相手のはずだった。そ 

父の考えとしては勝てない相手にも立ち向かう勇気や、戦いにおける頭を使うことの大切さなどを学ばせる目的だったようだが、父の思う展開にはならなかった。

「拳二くん、先生から手加減しなくていいって言われてるから思いっきりやるからね。泣いても知らないよ!」


2歳年上のヒロキ君が俺にそう語った。


「よろしくお願いします!」


という定型分しか俺は発することができなかったが試合開始の合図と共に構えをとった。


ヒロキ君は余裕の表情で顔面狙いの突きを繰り出したが、俺にはその動きの起こりの直前から「色」の違いが見えており躱すのは容易だった。尚且つ躱した直後に懐に体重の乗った突きをカウンターで入れる。


痛みに耐えながら攻撃を繰り出すヒロキ君であったが、そのことごとくを流し、時にはカウンターを入れていると最後には水月に放った三日月蹴りにより悶絶して疼くまり試合は終了した。


審判をしていたのは父であったが、信じられないものを見るような目で俺のことを見ていた。今にして思うとその目の色は恐怖と期待その2つが入り混じった色だった。


試合の日の夕食後、食後の倦怠感と鍛錬の疲れから1人でリビングのソファーにて微睡んでいると、父も隣に座りある質問を投げかけた。


「なあ拳二、おまえには一体何が見えていたんだ?ヒロキが打撃を放つ瞬間には既に反応どころではなく迎撃の準備を終えているように見えたぞ。それどころかヒロキがところどころで入れたフェイントには一切反応していなかった。まだ、道場に通い出して2年半のおまえにはありえないことだ。やはり共感覚で何か見えていたのか?」

「んー、説明するのは難しいんだけど父さん以外の人ってほとんどが攻撃を出す時に赤っぽい色が見えるんだよ。でも、フェイントの時は色が普段と変わらないんだ。それに突きなら手、蹴りなら足の赤色が濃くなるからどの打撃がくるかも大体見えてたんだ。」


その言葉を聞き父は何かを決心したような顔をして俺に告げる。


「拳二まだ7歳のおまえに言うのはおかしいことなんだが、おまえは既に強い。おそらく身体能力に余程の差が無いと負けることはない筈だ。だから、これからの鍛錬の相手は全て父さんがすることにする。」


その言葉から父と一緒にいられる時間が増えるという考えに至り、当初の俺は喜んでいた。

だが、それが俺のコミュ障を目覚めさせることになった。いや、加速させたといってもいいのかもしれない。

初投稿作品になります。拙い文章ではありますがどうか大目にみてください。

よかったら、感想と高評価よろしくお願いします。

特にこれからの改善点など知りたいので感想お待ちしております。

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