赤旗のファンファーレ
「わたしは御国のためにたたかう」 愛した人はいってしまった。平等という聞こえのいい労働格差を市民にてらし続け、生きとし生けるものをすべてマンパワーとして搾取するこの国は端から見れば愚の骨頂であった。
否、ここだけでない。祖国と相対する国家もまた、人員を導入し国に侵略をしかける。生まれてすぐに親兄弟に我が国はどんなに素晴らしいものかをおよそ論理的とはいいがたい拙い説明で延々と聞かされ、学校に行けば大して興味もない国の成した殊勲功績を鼻高々に教師が駄弁る。軍人でもない一端の派遣が頼んでもない規律という名のしがらみを、愛国という名の心情の縛りを、苦しみを脳に焼いた。人生を尽忠報国というしかれたレール上以外での自由を決して認められず、せかされながら公僕のように従い文句の一つも言わずに生活を営んだ。
何度目の掲揚であろうか、憎しみの太陽がはち切れんばかりに胸を躍らせこちらを見下すようにのぼっていく。結婚式であろうと葬式であろうと、この血に染まった旗はいつもこちらをにらんでいた。個人を敬わず、冠婚葬祭は邦家を祝った。明日は母の日。持つのはカーネーションではなく、赤旗である。
ある人物に感銘を受け作成に至った。