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うわのそらと申します。
書きたかったラブコメ書きます。
どうぞ楽しんで下さい。
『時間』それは彼にとってとても重要な物だった、それは彼は一人の時間を好み、孤独を愛していたからである。
彼は自分に使う時間の為に日々人間関係の節約を行っており、それは学校でも同じ事が言えていた。
あと十分もしたら、次のチャイムが鳴る。
これは最初から鳴る事が決まってて、誰にも変えられない『未来』そう、未来なんてものは最初から決まってるんだ。
誰も居ない教室。夕焼けに染るグラウンドには、陸上部、サッカー部の運動部が汗水垂らし、必死に走っているそして、部活なんかもやって居ない僕は、彼らの頑張る姿を放課後、誰も居ない教室から一人観るのがとても好きだった。
「……皆凄いな。」そう彼は、切なげに呟き弱音をこぼす。
「僕にも少し分けて欲しいな……その勇気」
彼は昔から、ネガティブで臆病な青年であった。
何をするのも億劫で色々なことを考えそして最終的に出すのは間違った選択。
そんな事を続けていたらいつの間にか何も手につかないそんな、臆病な自分が生まれていた。
「部活にさえ入らないで、教室で一人何してんだろ僕」
今の自分の学校生活での皆とのズレを感じ、さらに独り言を続けた。
「寒いし、そろそろ帰ろうかな」放課後で生徒が居ない為か、教室には暖房がかかっておらず窓も部活の生徒を観る為に全開で空けていたため、肌に冷たい風が当たっていた。
季節は11月、日に日に風が冷たくなり、そろそろ年の終わりも迫り、12月に差しかかる。12月、1月、2月とこの先世間が賑わうイベントが目白押しである例を挙げるとキリが無い『クリスマス』に『初詣』『バレンタイン』と。
彼には頭の痛いイベント達が待ち受けていた。
「うぅう……頭が痛い」彼は人目を気にするタイプだったのでパートナー必須のそう言ったイベントが、大の苦手であった。
「また、きちゃうんだ……」ボヤきを止めない彼。
__そして、帰ろうか帰らないかグズグズしているとチャイムがそろそろ鳴る時間が迫ってきた。後、一、二分くらいだろうし折角ならチャイムが鳴ってから帰るかと、正確な時間を見る為にスマホに目をやる。
「え、もう16時じゃん」16時、絶対鳴るはずである、最終下校を促すチャイムが鳴らず困惑する彼。
「あれ? いつもだったらこの時間に絶対鳴るのにおかしいな」
チャイム自体の故障かなと、鳴らない原因を色々考えを巡らせる。
そして、この状況に戸惑いながらも、何故か彼はその状況に心躍っていた。
──ガラガラ……。
誰も居ない教室からドアを開ける物音が聞こえた、先生かな?と、振り返る先には一人の少女が立っていた。
そして二人は数秒見つめあった後、少女が先に口を開く。
「……君、いつも。ひとりでここに残ってるよね?」
誰も居なかった教室に見覚えのない少女が一人、そして彼はその少女の美しさに見とれていた。
髪はとても長く、凛とした顔立ちにそしてとても冷たく、悲しげな瞳。
「あ、え……。」
まずい、咄嗟に言葉が出なくなってしまう。
「ごめんちょっと…考え事してて聞き取れなかった。もう1回お願いします……。」
彼女に見とれ、動揺していたせいか彼女の質問が理解出来ず、もう一度質問の内容を聞き返した。
──スッ。
その凛とした、彼女の顔が急に僕の顔近くにに迫ってきた。床までつきそうなくらい長い綺麗な黒髪がふわりとなびく。
「貴方いつも一人で教室に残っているよね?」彼女が気を使ってくれたのか、物理的に僕に接近し耳元で囁く。
「あっ……ええ、と。」
こんなに女性が接近してくる事がしばらく無かった為、彼はたじろいでしまった。
このままではドキドキしてまともに喋れないお思った彼は、彼女を離す為に立ち上がり、教室の窓の方に移動し、彼女の求める答えの為に、口を開いた。
「この教室、結構グラウンドの見晴らしが良くてね、」
「ほら見てよ、サッカーの試合とかもさ結構細かく見れて面白いんだ」
「ふーん、そうなんだ」少女は俺の机にすわり頬ずえをつきながら、俺の話を興味なさげな相槌で応答した。
「あはは、変だよね部活もしないで他人の部活を観戦するなんてさ」
「変じゃない……」
__この彼女のささやかな肯定の言葉が僕自身に頑丈に掛かっている心の扉を確かに、ノックする音が聞こえた。