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2.何でこんな事に?

 

『何でこんなことになってしまったの?』


「エリオット・ジェンキンス卿、ロージー・ブルックス侯爵令嬢」


 この夜会の最後に登場したわたしたちの名が高らかに告げられる。


 一斉に会場の令嬢たちの視線が集まった。

 羨望の眼差しが痛い。かなり痛い。

 それもその筈、わたしの横にいるこの人のせいだ。


 エリオット・ジェンキンス卿。

 ジェンキンス公爵家の一粒種で国王陛下の甥。

 金髪碧眼の輝く美貌、鍛え抜かれた体躯、そして優れた知性と人格。

 そう、完璧な男。

 王太子殿下が昨年婚約されたこの国に於いて1番人気の花婿候補だ。


 そう、このエリオットこそ、あの「永遠の星の下に」のヒーローだ。


 あまりに好きすぎてとうとう夢にまで見るようになった?などと呑気に冗談を言っている場合じゃない。

 夢なら良かった、本当に。


 そう、わたしは何故かロージー・ブルックスに転生していた。

 ロージーはエリオットの幼馴染。

 小説ではこの夜会の帰りに暴漢に見せかけた刺客に惨殺されるのだ。

 もう一度言おう!

 ロージーはこの夜会の帰り道で殺される。


 わたし、さっき電車の中で殺されたばかりだよね。

 泣くよ。マジで。


 兎に角夜会の帰りまでに回避方法考えないと!

 どうしよう、時間が無い。

 余命数時間って酷すぎる。


 大体にして、わたしがロージーに転生したって気付いたのはつい今しがただったのだから。







☆☆☆

 今しがた、 エリオットと夜会に向かう途中、突然外で何かが割れる音がして、馬車が急停止して、その弾みで頭を馬車の扉に強かに打ちつけた時少しの間意識を失った。

 意識が戻ると、ポツポツと甦る日本人としての記憶。


 混乱して挙動不審になっていたらエリオットが心配してわたしを抱き寄せ膝枕までしてくれたけど、頭の中ではわたしは誰?

 ここは何処?夢?って脳内大混乱。


 もしかしてわたしあの電車内で死んだ?

 そしてこの訳分からぬ状態は、あの異世界転生ってヤツ?ってちょっと自省的に笑いかけたけど、気付いた。

 気付いてしまった。


 今のわたしはロージー・ブルックス。

 この夜会の帰りに事故に見せかけて殺される幼馴染。

 オーマイガッ!


 記憶戻ってすぐ惨殺イベントって、そりゃないでしょう。

 立て続けに二度殺されるってどんな虐めだ。


 折角、愛しのエリオット様に膝枕までして貰っているのに、もっと堪能したいのに!

 エリオットは優しくわたしの頭を撫でている。


 至福〜


「顔が赤いな。

 頭を打ったから心配だ。

 王宮に着いたら医官に診てもらおう」


 心配そうに覗き込むエリオット。

 顔が近い、近いです。

 って惚けている場合じゃない。

 正気に戻れ。


 そう、わたし、もうすぐ殺されるー!




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