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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

拝啓お父様お母様、不肖の息子は悪の幹部をやっています。申し訳ありません!!!

作者: frandre scarlet

 さて、時候の挨拶は省略してしまいましたが身内ということでお許しください。

 本日は、ご報告させていただきたいことがございましてお手紙を差し上げました。

 つい1年ほど前、ダンジョンなどというものができ、モンスターがあふれ阿鼻叫喚の地獄となったあの日、私はどうにか生き抜くことができました。

 そして、冒頭にもありましたように私は今、悪の組織の幹部をやらせていただいています。


 なぜ! と思いのことでしょうが、これにもいろいろと訳があるのです。

 それというのも、すべての始まりは……そう、多くの人命がモンスターにより亡くなり、混乱期となった6年前に端を発するのです。

 私は常々、お父様お母様にお前は俗物だとそういわれていたと思いますが、その通りなのです。

 私は俗物ゆえに今の地位についてしまったのです。


 6年前のあの日、私は孤児院を立てたのです。

 もちろん俗物ゆえの理由で……子供を引き取り働かせて金を稼ぐ、その算段がついたゆえであります。

 知っての通り、ダンジョンには入場制限がなく、子供でも内部に侵入してそこから物資を集めることができます。

 とはいっても、戦闘をおこなっての食料集めというのは子供には不可能であるため、当初は壁から掘れる金属類を集めてくるという仕事に従事させました。


 混乱期であったあの時期はあらゆる物資が足りなかったため、子供たちを働かせることである程度の稼ぎが見込めました。

 もちろん、子供を働かせるということは外聞が悪くありましたが、所詮は親の死んだ孤児であり、将来は自力で生きる必要のある子供たちであります。

 政府には将来的な働き手であり、その前準備、何も知らなければ犯罪に走るかもしれない犯罪者予備軍にならないための教育を行っていると説明したのです。

 孤児院の本来の目的を考えると、それはまさに理にかなっていたため、政府も最初は難色を示しておりましたが、混乱期というのも相まって黙認を得ることができました。


 控えめに言って私は屑でありますが、俗物ゆえ仕方がありません。

 それに見方を変えれば、私は社会貢献をしていたのです。

 しかし、それもしばらくして歯車が狂い始めたのです。


 その当時、私は4人の子供を引き取り、ダンジョン仕事に従事させていたのですが、いつの間にかその4人がスキルホルダーとなったのです。

 そう、ご存じかと思いますが、あのスキルホルダーです。

 いいえ、もしかしたらご存じないかもしれませんのでスキルホルダーについて説明させていただきますと、スキルホルダーとはスキルと呼ばれる特殊な能力を扱える人間のことを指します。

 スキルというのは本当に特殊であり、千差万別であり、私が引き取った子供たちはそれぞれ火、風、水、土に関するスキルを発現させたスキルホルダーでした。


 もちろんこれはとてもすごいことであり、本来スキルホルダーというのはとても貴重です。

 ダンジョンが現れてからの、6年の間の統計で、100万人に1人というレベルでしか存在を確認されていないという話ですから、どれほど貴重かわかっていただけると思います。

 日本でいうなら100人程度……いえ、今の人口ではそれ以下ということなのですから。


 スキルホルダーについての説明はこの程度にさせていただいて、話の続きをさせていただきたいと思います。

 私が引き取った4人の子供たちがそんな貴重なスキルホルダーであったため、私は考えたのです。

 スキルを使って稼いだほうがいいのでは? と。


 しかし、派手にすれば妬みを受ける可能性があるため、細々と地味に儲けさせてもらった。

 特に火力発電、水力発電、風力発電など多岐にわたる発電方法を手に入れたため、光熱費などの諸費用の削減ができたのはありがたいことだった。

 土のスキルは農業に有効であったため、食材費などをだいぶ抑えて生活することができました。


 さて、ここまではこのように平和に暮らしていたのですが、ここからが大変でした。

 つまるところ私たちはやりすぎたのです。

 貴重なスキル持ちが4人もいることが、どこからかばれてしまい私たちは、その身を狙われるようになったのです。

 しかし、スキル持ちというものは素晴らしいもので、なんと子供たちは襲撃者たちを撃退したのです。

 それも幾度も幾度も、この時、私は思いました。

 この子たちの力があれば、私は無敵なのだと!!


 ですが、私は勘違いしていたのです。

 連日やってくる襲撃者たちにより、ダメージはありませんが外に出ることができなくなった私たちは孤立したのです。

 襲撃者たちは裏から手を回していたため、こちらから救助を求めることもできなければ、外からの救助もなく、それはそれは退屈な日々の始まりでした。


 子供たちの力があれば生きていくことは何も問題ありません。

 ですが、人間というのは社会に生きる生き物、この孤児院には娯楽というものがありませんでした。

 それ故に娯楽を生み出すということで、子供たちと遊戯用の道具を作り遊んでいましたが、私は変わり映えのない生活に退屈になってしまったのです。


 しかし、ここで転機が訪れました。

 襲撃者たちの親玉からの休戦交渉です。

 向こうもたくさんの手ごまを失ったためか、ここらで手打ちとしないかと金銭をもって使者が交渉へとやってきました。

 私は、退屈な日々に飽き飽きしており、何よりもその札束に目がくらみ休戦交渉を受け入れ再び平穏な日々を手に入れた……と思ったのですが、そうは問屋が卸しませんでした。


 私が休戦交渉後に最初にしたのは、孤児院施設の拡充です。

 やはり娯楽がないというのは、私にとって相当堪えたのです。

 それ故に、体を動かすスポーツ施設を中心に、いくつかの施設を設置しました。


 ここで私は、施設を拡張したなら使わねば損ということで、孤児院自体も大きくなったためさらなる子供たちの受け入れを決めたのです。

 これが間違いの始まりでした……。

 いいえ、間違いというのなら、襲撃者たちとの親玉との関係を完全に切っていなかったことこそが、間違いといえたのかもしれません。


 引き取った子供たちは、混乱期の初期よりも凄惨な状態であり、やせ細り長時間の労働には向かず、初期費用がずいぶんと掛かりました。

 いずれ働かせて、元を取れるとはいえ馬鹿なことをしたと思ったものです。

 交渉により手に入れたお金も、施設拡充に相当使い込んでしまい、子供たちを育てる費用もカツカツ。


 私はここにきて、資金繰りが初めて苦しくなったのです。

 そして、そこへあのクソども……いいえ、ビチクソ野郎どもはつけこんできて、私を悪の道へと引きずり込んだのです。

 知っての通り、私の戦力は子供たちであり、子供たちには戦闘経験もあります。


 それも、一時期は命を狙われていたのですから、こちらも命を奪うこともありました。

 ゆえに、命を奪うことに忌避感のない子供たちをヒットマンとして雇う……などとあのビチクソ野郎どもは提案してきたのです。

 もちろん私としては、その提案に飛びつき金を稼ぎたいという思いはあったのですが、どこで足がつくかわかりません。

 流石の私も、犯罪者にはなりたくないので断ろうとは考えていたのですが、ビチクソ野郎どもは何と子供たちを狙い撃ちにして、交渉を持ち掛け仕事をやらせたのです。


 もちろんのこと私は怒り狂いました。

 そして、しばらくはどこから足がつき私が犯罪者として捕らえられるのかおびえる日々が始まったのです。

 子供たちもさすがに私が怒り狂ったことで、しばらくは大人しくしていました。


 私は、必死に考えて考えて考えていたところで、私は思いついたのです。

 金のあるうちに、兵隊を育てればいいと……。

 幸いにして、なぜか私は子供たちに好かれており良好な関係を築けています。

 ならば、それを利用して忠実な兵隊なり肉壁なりを育てれば安全を手に入れられるのでは? と。

 今思えば、毎日のストレスから寝不足だったのでしょう。


 子供を無理して引き取れば、またしてもすぐに次の資金難がやってきました。

 しかし、これには前回と同様の解決方法がありました。

 それ故に私はその解決法を選び、解決し、危険を減らすために兵隊と肉壁として子供を引き取りと……それを繰り返したのです。

 当時は本当に、そうとう頭がイっていたと思います。

 そして、いつの間にか最初に引き取った子たちは組織の幹部となっており……そして私もいつの間にかそこの幹部ということになってました。


 こうして筆をたらせていただきましたが、お手紙を送る算段がついておりません。

 つきましては、この手紙はなかったことにしようと思います。敬具。


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