2度目の世界で彼は…
『やっと終わったのか…』
クロードは一人呟いた。
彼の回りには何も無い、魔王との戦いで魔王の展開した異空間に飲み込まれていたからだ。
彼と魔王の亡骸しかないこの場所で、唐突に声が聞こえた。
『世界を救ったというのに浮かない顔だねクロード』
声は彼の持つ剣から聞こえた。
彼が持つのは意思を持つ精霊剣、彼の相棒とも言えるその剣はやれやれといった感じの声を発した。
『魔王が倒れたことで空間の崩壊が始まっている、自分の命の危機なんだ、明るい顔なんて出来ないよ』
そうクロードが答えた。
魔王は自らの力を使い己の力を増幅するこの空間を作った、空間を作った本人が滅したのだ、その空間も必然的に消えてしまうのも当然であろう。
その空間から逃れる術が無いのも事実である、魔王を倒し世界を救ったが、クロードに未だに安息は訪れていない。
『それもそうだね、で、どうするつもりなんだい』
精霊剣はクロードに問いただした。
『正直打開策は思い付かないね、世界が救えただけでも儲けものだと考えるよ』
クロードは諦めたように答えた。
クロードが生に諦め、魔王の亡骸を確認するために、魔王に近づいた。
その時に急にクロードの目の前が光り出した。