小説を書けないと嘆く前に(初心者より前の段階で)
初めから、単行本一冊の小説を書ける人なんていない。例外はもちろん、あるのかもしれないが、凡人である私には、到底そんな事は不可能だと思っている。
私が一番最初に書いた小説は、200文字くらいの短編だったと記憶している。誰も読んでくれなくて、文体なんてぐちゃぐちゃだった。ホラー気味の、童謡をテーマにした物語で、今も探そうと思えば見つかるだろう。
人によって『書けるようになる』方法は違う。
私が書けるようになる訓練は、とにかく短編を書く事だと思う。長編を書く時は、1~2万文字の短編を組み合わせて、なんとか帳尻が合うようにしている。
プロットを書く必要はあるのか? 個人的には、最初はそんなこと考えなくて良いと思う。
起承転結でも、序破急でも、とにかく自分がイメージを固定化する為だけに書く文章なのだから、特定のフォーマットというのに、拘らなくて良い。
私は1000文字くらいなら、何も考えなくても書ける程度には、短編を書き続けた。
〇1000文字程度の物語で、私が作るプロット。
例えば、神隠しに合う主人公を書こうとするとする。それは、ホラー系の物語にしようと考える。元ネタは、かごめの童謡なんてどうだろう?
【起】
・江戸時代の農村の娘が主人公
・不作の年で、いつ売られるかもわからない
【承】
・家は貧しくても、表向き食べ物に困ることは無かった。
・農村では、男も女も関係なく、農業で力仕事をする。
・主人公は、気分転換に時々、神社で神様に祈ることが好きだった
【転】
・ある日、いつもより少し、朝食が豪華だった。
・その夜、眠れなくて、両親の話を盗み聞きしてしまうと、私は来週、売られるらしい。
・とにかくどこかに逃げたくて、癖で神社にお参りに行く。
【結】
・夕暮れ時に家を出て、神社で途方に暮れていた。
・ふと眠くなって、神社の木の陰で眠ってしまう。
・翌日、村では主人公がいなくなってしまい、七五日後には、みんなその娘のことを忘れていた。
このプロットだと、落ちが無いように感じるかもしれないけど、私が表現したいのは「不気味さ」や「自殺したのかも」とか、あるいは夜道を歩いていたら神社を根城にしていた「盗賊にさらわれた」とかでも良い。すべてを言わずに、結末を想像させて悲劇にも喜劇にもしたいから。
しかしながら結果的に、神隠しに会う=人さらいに会う、みたいな物語を想定してはいるけど。
もし、前提として「生まれる」「育つ」「鬼退治に行く」「ハッピーエンド」なら、すでに確定した事項を、それっぽく書いても良い。
王道の物語であれば、きっと4つの大きな出来事を書いて、間に細かい事件なり経過なりを、プロットに足していけば物語として完成するだろう。
例えば、ハッピーエンドを具体的に言うのなら、お金持ちになって、きれいな奥さん(旦那さん)と結婚して、子供を授かる。なんてものでもいい。全人類共通の幸せかどうかはわからないけど、普遍的な幸せ像だろう。
さらにトレーニングとして、私が考えるのなら「ストーリー」と「文章(文量・読みやすさ)」の2つは、別々に考えるべきだと思う。
文章量は、結局のところ書いてみて、その書いた結果の量が、自分が破綻なく書ける限界の文章量だと思う。でも、安定して書ける量は、前回より長く書こうと工夫していくことで、伸ばせるものだと私は実感している。
ストーリーは、ひな形とは違うけど、王道は前述したとおりだけど、邪道でも、書きたい物語が「少女と会う」「事件を解決する」「自分の悩みが解決する」とか、最初に単純化して、そこに肉付けするようにした方が、練習になると思う。
長編を書くなら、最初の短編では世界観を説明しながら自分の悩みが解決して、次の短編ではヒロインの説明をしながらヒロインの悩みを解決して、最後の短編では物語を掘り進めながら、すべての障害が消えるようにする。さらに長い物語にするなら、もっと大きなテーマなんかもあった方がいいけど。
異論がある人もいるかもしれないが、物語に、固定の進行なんて存在しない。時代劇のように、すべての結末は言わないけど、想像させる、というような手法を取ったりしてもいい。
料理物語のように、一話完結だけどちょっとずつ成長していく物語でもいい。
以上で、説明は終わり。私は自分を、小説初心者だと思ってる。
初心者って、素人以上、アマチュア未満って意味で、私は使ってます。
例えば、
将棋の初心者=ルールを知っていて、少し戦える。
将棋の素人=駒の動かし方がわからない。
という具合の使い分けです。
偉そうに書きましたが、今書いている小説の執筆が行き詰ったので、初心に返る意味で、こんな文章を書いてみました。
誰かの参考になることがあれば、幸いです。
上記の例題プロットは、適当に考えただけなので、そんな人がいるか分かりませんが、自己責任でご自由にお使いください。
感想頂けたら幸いです