エポックの秘密②
「エポック君の新しいスキル・・・おそらく、この戦闘の時に手に入れたスキルなんだがね。
それが【実現する願い】というんだ。
効果は、自分が最も今必要としている魔法かスキルを、職業適性に関わらず、残りの精神力を全て代償にすることで発動させることができる。というものなんだ。」
ベルナルドが厳しい表情をしたままそう話す。周りも皆も静かに聴いていて、部屋の中の空気はとても冷たく感じる。
確かに、あの時のことは俺には記憶にはないが、多分ヒールで回復できるようなものではなかったのは間違いない。
もし、死にかけでヒールでは焼け石に水の状態の俺を回復出来たとすれば、最高位クラスの回復魔法だったと思える。
「はっきり言って、ジンバ君を救ったのは【実現する願い】に違いないと思う。
だがね、このスキルは本来、最上級職の「聖女」にしか使えないはずなんだ。
だが、何故かスカウトのエポック君に使えた。そうだね?」
「はい、確かに僕のステータスには、レアスキルに【実現する願い】が増えています。だけど僕の職業はスカウトです。」
「・・・彼女と狩りをした時に確認したが、間違いなくスカウトの動きだった。それに・・・聖女というのは・・・。」
「そう、この世に聖女は1人。帝都の猊下だけだ。それに、なろうとしてなれるものではない。なにせ最上級職だからな。」
ここまでずっと無言だったアルフォートが問いかけると、ベルナルドが答える。
「つまり、それが問題なんだ。
聖女の力を持つ、聖女ではないエポックさん。
このことがバレてしまうと、非常に厄介だ。今の彼女の立場は非常に危うい。」
「危ういって、具体的にはどういうこと?」
セーブが眉間にシワを寄せて、詰め寄る。
「僕が帝国の聖女に近い立場なら、殺さざるを得ないだろうな。」
ベルナルドの発言にエポックは俯く。もう既にベルナルドから事前に説明を受けていたのだろう。何も反論することは無い。しかしセーブは食ってかかる。
「こ、殺すってどういうことよ!」
「聖女にしか使えないから、価値があるんだ。それを他の人間が使えたら、困るわけだ。そうだろう?
それに、殺すのはエポック君だけじゃ無い。君もだよ、セーブ君。」
冷徹に語る彼の顔は、ずっとずっと険しい顔のままだった。




