長い夜⑦
杖を突き刺して居たのはベルナルドだった。
今までの飄々とした様子とはうってかわって、鬼のような表情をしている。
「ガッ・・・、へへ・・・流石はベルナルド。・・・退屈しないよね。」
そう言って力任せに首から杖を引き抜き、放り投げる。
「おかしいと思ったんだ。ロア同盟国にこれほどの力はない。もちろん俺が倒したような合成魔物を作る力はない。
まさかお前が一枚噛んでいるとは思わなかったよ。
・・・裁きの刃来たれ、風の断頭台、エアロギロチン!」
かまいたちのような空気の塊が、マリシャスの身体に突き刺さる。旋回しながら風はマリシャスの身体を切り刻んでいく、だが彼の顔は涼しげだ。
「そんな攻撃が効くわけないじゃんね。」
いつのまにかバラバラの身体はくっついており、風の中から抜け出すマリシャス。今度はそこに
「相変わらず、しぶとい男ね。こうやって焦らされるのは嫌なのよ。」
「・・・そうだな。何度も引導を渡してやってるのにな!」
悪魔の羽を生やした妖艶な美女と、宿の大将であるアルフォートが切り込んできた。
美女の悪魔は右手の鉤爪でマリシャスの頭を、アルフォートの方は剣を胸に突き刺していた。
そして更に
「そろそろ御退場願いたいところですね。」
クレミアが杖を頭部に叩き込んでいた。マリシャスの頭部は潰れたトマトのようになっている。
「・・・相変わらず、君たちはなかなか強いよなぁ。せっかく久々の再会だってのにさ。
萎えちゃうよね。せっかく楽しく遊んでいたのに。」
そう喋りながら、マリシャスの身体は少しずつ再生している。無邪気に話す彼と違って、こちらは全員警戒して睨みつけている。
静かな闇の中、馬車が駆ける音が響く。
ダニエル達だ。
「ジ・・・ジンバさん!それにこれは!」
そう言って駆け降りるダニエル達、倒れて血を流し続けるジンバの傍に寄る。ティフは慌ててヒールをかけている。
「しらけちゃうな。これだけ人が来ちゃうとさ。
しょーがない、ロア同盟国の初陣は失敗。
今日のところは引き下がるよ。また、遊ぼうね。
特に・・・そこの黒猫ちゃんと、妖精ちゃんはまた逢ってくれそうかな!ハハハ!」
最後まで嫌味ったらしくそういうと、マリシャスは闇の中に姿を消していってしまった。




