長い夜④
「泣くごは、いねがぁー!」
ジンバ達が動くのよりも先に、ナマハゲが逃げる兵士の前に仁王立ちして立って守る。
オオネズミが、ゴブリンが、ウォーウルフが、ナマハゲに噛み付くが、ナマハゲはびくともせずに、逆にナタで頭をかち割っていく。
エポックも、ジンバもそれに続くように魔物に切り掛かっていく。
「・・・!やっぱりこいつら頭を斬っても倒れない!まるでゾンビみたいだ。」
ジンバはウォーウルフの喉元を刺すが、ウォーウルフは赤黒い血を吐き出すだけで、ふらふらと立ち上がってくる。
「でも、胴体と頭を切り離せば動かないみたいだよ!」
エポックは二本の短剣を器用に使って首を切り落としていく。
確かに彼女の言うように、首と胴体が離れた魔物は倒れて動かなくなる。
「俺に首を切り落とすほどの腕前はない!ナマハゲ!頼むぞ。」
ジンバはナマハゲに向かって叫ぶ。ナマハゲは頷くと、ナタで首を切り裂いていく。
「兵士の皆さんは、こちらへ!」
そう言ってセーブは兵士を避難させる。
半分ほどはすでに逃げてしまったので、今いるのは五人程。セーブがヒールをかけると大分落ち着いたようだった。
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「おろろ、なかなか頑張りますねー。あの冒険者たち。
兵士だけなら倒せたのにな。」
「頑張りますね。じゃないわよ。
このままじゃ不死の魔物も倒されちゃうわよ。
それに北以外の三ヶ所も、苦戦しているわ。このままじゃ、ジリ貧よ。」
「やっぱり、あのベルナルドの街だけあって手強いよねぇ。
キメラやこんな魔物じゃ相手にならないか。」
「街を滅ぼすことが目的じゃないけど・・・どうするの?」
「しょーがないな、ここは作戦変更。
市民を殺して負のオーラを貯めようと思ったけど、それは無理そうだ。
だから、あいつらを殺してオーラを貰うことにしよう。」
「と言うことは、貴方が直接いくのね。」
「面倒だけど、仕方ないねー。じゃ、行ってくるよ。」
そう言う少年の顔は、悪意に溢れた笑顔で満ちていた。
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「これで、ラストかな!」
エポックはウォーウルフの首をククリナイフで落とすと、服についた血を払った。
二十体ほどいた魔物たちだが、首と胴体が離れたものが地面に横たわっているだけだ。
思えば俺たちも大分強くなったんだな、昔ならこんなこと考えられなかった。
「槍で切り落とすことは出来なかったとしても、果たして剣があっても我々でこんなことはできただろうか?」
そう言う兵士長の顔は驚きに満ち溢れていた。
単純に尊敬して言っているようだ。
「ホント!見事だよねー。
まさか僕の作戦がこんな簡単に破られるなんてさ。思わなかったよ!」
突然、この場には相応しくない男の子の声が響く。
声変わりをしていない、男の子の声だ。
俺たちが声の方を向くと、そこには
「いやー、お見事お見事。」
とケラケラ笑いながらこちらに向かってくる少年の姿があった。




