故郷の香り
「よいしょっと。
これでいいかな?毒針の罠」
そう言って、仕掛けた罠の周りに草をかぶせておく。
この仕掛けを踏むと、地面から毒針が飛び出る仕組みになっている。
この罠以外にも、落とし穴などの仕掛けを用意しておいた。用心しておくのに越したことは無いもんね。
ギルドに雇われていたセーブの話では、
このファーイストの街には四つの入り口がある。
ロア同盟国の国境にもっとも近い南門。ここはこれまでも何度も同盟国の兵士との小競り合いがあった場所らしい。
帝都に向かう道が続いている西門。ここも、敵が帝都に忍ばせていた兵士を送り込むことができるので危ない場所だ。
海沿いに向かう東門、ここは海賊が上陸してくることもあるが、地の利から同盟国が攻めてくることは少ない。
そして、この北門は山と村しかないため殆ど襲われることは無い。
そのためなのか、このレンガでできた物見やぐらのようなこの詰所も少しホコリっぽくなっている。
それでも、依頼を受けた以上はちゃんと防衛しておかなきゃいけない、だからエポックはいくつかのトラップを設置したのだった。
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罠も仕掛け、武器も手入れした俺たちは、話をしながら警備をしていた。
「しかし、いい響きだよねぇ。
ファーイストの英雄ってチーム名」
「そう?自分で英雄ってちょっと恥ずかしいような気もするわ。
ジンバ、何でこのチーム名にしたの?単純に私とエポックのアイディアを合わせただけ?」
とセーブが不思議そうに尋ねてきた。
「それもある。二人が考えてくれたってのは嬉しかったしね。
それにさ・・・。」
俺はそこまで言うと目を瞑り、ここまでの生活を思い出して
「俺さ、この街が好きかもしれない。この世界に来て、この世界に馴染めたのって、このファーイストの街のおかげだと思うんだよ。
たった三ヶ月だけど、いい人たちにもあったし、自分もすごく成長したし、何より三人での生活が楽しかったからさ。
この好きな街の英雄になれたらいいなって、そう思ったんだよ。」
二人とも、俺のこんなたわいの無い話を楽しそうに聞いてくれている。
「今の話を聞いたら、恥ずかしいなんて思えなくなっちゃうわ。
ほら、私もさ。ジンバの気持ちがわかるからさ。」
そうだ、セーブも。
俺のヘルプとして生まれたセーブには生まれ故郷なんてないもんな。
「改めて、この『ファーイストの英雄』としての初仕事、成功させなきゃな。」
俺がそう言うと、二人とも嬉しそうに「うん!」と言うのであった。




