道具の手入れは大切なお仕事なのです!
「へぇ〜、ファーイストの英雄か。いいチーム名じゃないか。うんうん。
・・・それで、三人は北の詰所に向かったのかい?」
「ええ、買い出しを済ませていったみたいです。そういえば、結局昨日はどうだったんですか?彼の訓練は?」
クレミアはベルナルドに尋ねる。
「彼はなかなか凄いよ、召喚魔法を使いこなした上に、召喚しながら、スキルを使えるくらいの精神力を身につけたからね。骸骨将軍を倒すことが出来ていたよ。あれだけできれば上等だよ。」
「そうですか、セーブの方も相当できるようになりました。アルフォートの話だと、エポックも良くなったそうですよ。」
「うんうん。それは素晴らしいね。それじゃあ僕たちもそろそろ準備しにいこうか。それぞれの詰所に行かなきゃいけないかな。
ギルドの方はデュッセルに代理を頼んであるしね。」
その言葉を聞いて、静かにクレミアは頷いた。
※※※※※※
「そのナイフ、貸してみなさい。」
ククリナイフには以前付いた刃の欠けがそのままになっていた。
詰所に着くまでの間に、それを見つけたのか、セーブは詰所の部屋に入るなり、エポックにそう言ってきた。
エポックからナイフを受け取ると、その刃を太陽にかざして
「やっぱり・・・、武器の手入れは大切なことよ。ちょっと待ってて。」
そう言って砥石を取り出すと、磨き始めた。
「シャッシャッシャッシャッシャッシャッ」
砥石の上で刃を滑らせるように研いでいく。脇を閉めて手先を固定して、同じ角度で研いでいる。
「ギルドでやってたからね・・・手首をね、動かさないようにするのがコツなのよ。」
見る見るうちにククリナイフの欠けが消えていく。
そして、欠けが完全に無くなるまで研ぐと、エポックに手渡して返した。
「おお!凄い。刃先が光ってる。よく切れそう!」
「ね、手入れは大事でしょ。
もう一本も貸してごらんなさい。それにジンバのも研いでおくわね。」
と言うと、俺の長剣と藍鉄の短剣も研いでいくセーブ。
俺も手入れはしていたが、当然素人仕事だ。
見る見る間に微細な傷や欠けが研がれていく。
刃先はブレることなく、銀色に光っている。
そして、研ぎ終わった刃物に満足げに油を塗ると、嬉しそうに俺たちに剣を返してくる。
「これが今の私の実力、チュートリアルジョブからクラスチェンジして、『ヴァレット』になった私の力よ。
もっとも、他にもいろいろと役に立てるんだからね!」
そう俺たちに伝えるセーブの姿は、とても誇らしげであった。




