今日から君はガーディアン①
「ね、君は召喚魔法とか使えないの?」
砦の練習室で、ベルナルドは唐突に尋ねた。
「召喚魔法ですか?考えたこともなかったです。」
「僕はさ、ほら、こういう職についているから、召喚ってお茶の子さいさいのさいって感じなんだけど。
君ももしかすると、できておいた方がいいのかなって思ってね。」
召喚魔法。
ベルナルドが召喚している骸骨達をみていると確かに便利そうだ。
それができれば、の話だが。
俺の場合は、召喚魔法に類する様な資格が前提にないといけない。
「大事なのはさ、召喚する対象をイメージすることなんだよ。魔法と同じでさ。」
俺の持っている資格で、召喚魔法に繋がりそうな資格か・・・。
測量士補・・・違うな。
樹木医補・・・これも違うな。
何か「対象」がいる資格か。それをイメージできる様な、それも具体的に。
「・・・は、妖怪だと思っていませんか。
・・・は、神の使い、いわゆる来訪神と考えられています。」
・・・この記憶はなんだ。
「・・・は重要無形民俗文化財でもあり、ユネスコの無形文化遺産に登録されております。その観点から見ても非常に価値の高いものです。」
・・・そうだ、この記憶は!
「特に男鹿のナマハゲは日本でも最も古く続くナマハゲとして有名であります。」
秋田県、男鹿半島でとった資格『ナマハゲ伝道士』の記憶だ!
ナマハゲ、秋田県男鹿半島に伝わる伝説。
見た目は鬼の様な姿をしていて、桶やナタを持っている奴だ。
見た目は怖いが、実は怠けている者を教え諭すのが役割だと言われている。
そうだ、ナマハゲなら具体的にイメージ出来るかもしれない!
「一つ思い浮かんだ、気がします。」
「そりゃいいや。じゃあ呼んでみようか。
まず対象の姿を明確にイメージする・・・。僕の場合は骨の形も明確にイメージするように心がけてるよ。」
俺は心の中でナマハゲを想像する。
顔は・・・想像しやすい。
身体は、ワラの衣装を着ている。
「・・・想像したら、そのイメージにゆるやかに精神力を注ぎ込む感じ。そう、コップにミルクを注ぐようなイメージで・・・。」
俺は心の中のナマハゲの背中に優しく手を当てると、浮き輪に空気を入れるように優しく精神力を送り込んだ。
「注ぎ込んだら、呼ぶ。呼び声は何でもいい。
出でよ、我が従者よ!」
ベルナルドがそう叫ぶと、その場に骸骨将軍が現れた。
俺は自分の心の中のナマハゲと対話する。
ー俺は、お前に来て欲しい。
この異世界で前の世界の匂いがする、お前に守って貰いたい。頼む!ー
ナマハゲは俺の方を向いて、小さく頷いた気がした。
「出でよ、ガーディアンナマハゲ!」
俺がそう叫ぶと、地面からゆっくり奴が現れた。
俺があの時習ったナマハゲ。
そして今、心の中で出会ったナマハゲに寸分違わぬ姿で現れ、そして
「悪ぃ子は居ねがぁ!!」と、ベルナルドと骸骨将軍を威嚇するのであった。




