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100の資格を持つ勇者  作者: 小鳥遊カンナ
ファーイストの英雄
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職業訓練大成功!!!

今日がいよいよ三か月。職業訓練も今日で終わるし、ベルナルドとの訓練も一区切り。

セーブのギルド職員も今日まで。

「はぁ~、ホント長かったわ。いい経験はできたけど、もう二度とやりたくないわ。」

「僕はちょっと寂しいかな。せっかくの指名依頼だったし、ようやくちょっと慣れてきたところだったからさ。」

晴れやかな表情のセーブと違って、エポックは少し寂しそうだ。

「でも、この依頼が終わったら三人でまたクエストができるようになるしな。」


俺たち三人はそういって、食堂の席に着いた。三か月も同じ席に座っていると愛着がわくものだ。

そして俺らが来たのと同じタイミングくらいで、ウルスラさんが朝食を運んで・・・こなかった。

朝食を運んできたのは、この宿の旦那であるアルさんだった。

「あれ?今日はウルスラさんじゃないの?」

「・・・ウルスラは、ちょっと季節風邪をひいたみたいでな。

お客に移しちゃ悪いんで、今日は休ませているんだ・・・。」

エポックの問いかけに、一瞬反応したような様子だったが、淡々とアルさんは答えていく。

「今日の狩りはいつも通りいくことになる。・・・それと悪いんだが、今日の片づけはセルフサービスで、やってくれると助かる。」

そうとだけ言うと、食堂に引っ込んでいってしまった。


「風邪かぁ。お見舞いに行ったほうがいいのかなぁ?」

エポックはそういいながら朝食のサンドイッチを頬張る。今日のサンドイッチの具は、刻んだ野菜をバターと塩で炒めたものだ。そこにたっぷりのマスタードがかかっている。

野菜の甘味がとてもおいしい一品だ。

「そうねぇ、なにか薬草とか差し入れをしましょうか?」

「それならちょうど、ダニエルの店で育てている薬草が育ったころだから、訓練のついでに買ってくるよ。」




職業訓練(園芸)は、もう最終段階だ。

「いいですか?

植物にとって環境は非常に重要になってきます。例えばどのような例があるか、わかる人はいますか?」

俺がそう言うと、全員の子供たちが手を挙げる。俺はその中でも最も早く手を挙げた人間の男の子ツァスを指さす。

「例えば、寒い地域で育つ薬草は、温かい地域で育ててもいい品質になりません。」

「それはなぜですか?」

「寒い地域で育つ作物は、冬に凍らないために、植物自身の身体に栄養素を蓄えます。こうすると植物の内部の濃度が濃くなり、凍らなくなります。

このようにして濃度の高くなった薬草は、非常に良い品質となるからです。」

「よろしい、合格です。

では次に、農地の塩害について・・・。」

この職業訓練がそういうものなのか、それともスキルの力がそうさせているのかはわからないが、この講義の内容だけを聞いていると、とても冒険者の男が元スラムの子供たちに教えている内容には思えない。

子供たちの知識も生半可なものではなく、確実に定着されているものというのがわかる。


そして・・・。

―スキル 園芸をマスターしましたー

※高品質な農作物栽培を行うことができる。

と、それぞれの子供たちのステータスに付いたのだった。



「ありがとう、本当にありがとう。」

訓練を終えた俺は、ダニエルと握手を交わしていた。

彼の商売の才能はなかなか良い。ギルドと提携した治療院ということを活かして、ダニエルブランドの薬草販売を手掛けている。これまでは練習で育ててきた作物ばかりだったが、これからは高品質の薬草、毒消し草などを販売していくらしい。いつの間にかそのための農地も購入していたのだから驚きだ。

「まだ、店も小さいし、軌道に乗ったばかりだ。だから、ここからが正念場なんだけど、でもお礼を言わせてくれ。本当にありがとう。」

「私からも、お礼を言わせてください。あの時私たちを救ってくださってありがとうございました。」

そういってコークも頭を下げる。


俺はなんだか照れくさい思いをして、頬をポリポリと掻く。

このままこの場にいるとほめ殺しをされそうだ。

俺は、「午後の訓練があるから、また来るよ。」というと足早にダニエルの店である紅玉を後にしたのだった。


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