キメラとロア同盟国
ギルドのギルドマスター室、ある晩のこと。
「やー、驚いたよ。まさか三ヶ月程度でここまで行くなんてさ。まさか相討ちとはいえ、骸骨将軍を倒しちゃうなんてさ。」
「こちらも・・・なかなか良い腕になっている。本人の素質もあるのかも・・・知れんが。」
「私のところも十分な成果を上げています。というか、むしろギルドは彼女がいないと回らないかも知れませんね。」
三人の影はそう話している。
「この辺で燻っている冒険者も鍛えれば強くなるのではないでしょうか?」
そう話すのはクレミアだ、彼女は副ギルドマスターとして、このファーイストの街の対外的な事に携わっている。
「いや・・・無理だろう。本人の素質というものもあるからな。奴らじゃホブゴブリンやガーゴイル、インプが限度だろうさ。」
そう言って机に置かれた書類に目を通すアルフォート、彼は表向きは宿屋の親父をしているが、裏向きでは二人目の副ギルドマスターをしている。
「あの三人には冒険者の素質があって、かつなりたてで燻っていないから育てがいがある。
少なくとも僕の目ではそうわかっていたからね。」
ベルナルドの右目が緑色に光る。彼は「洞観の眼」というスキルを持っている。このスキルは「相手の持つ本質的な潜在能力を見抜く。」ことができるユニークスキルであり、それを使って三人の能力に気がついたからこそ、それぞれを鍛えるようにしたのだった。
「そろそろ、ロア同盟国が動き出す頃でしょうか。」
「僕のところに来ている情報によると、んー、次の週の末尾には仕掛けて来ると思うよ。」
ベルナルドはいくつかの書類を広げて見せる。そこには軍事作戦について書かれていた。
「・・・同盟国が開発したっていうキメラは大分強いらしいからな。」
アルフォートはベルナルドが広げた書類の一部分を指差して、吐き捨てる。
そこにはある生物の写真が貼ってあった。
「街に被害は避けねばなりません。とすると、四方向を防衛する必要がありますからね。
東は私、西はギルドマスター、南は貴方がやるとしても、北を彼らに任せないといけませんから。」
「本命は西と、南。キメラだけじゃなく、他にも色々来ると思うよ。
僕のいく西は大丈夫だけど、南のアルフォートは大丈夫かい?」
「・・・ウルスラを連れて行く。」
「あー、それなら安心だ。二人が揃えば僕より強そうだもん。うんうん。」
ベルナルドはふざけた様子でそう返答する。アルフォートの目は笑っていない。
「それで、お二人が本命を叩いている間に私が東のキメラを退治して、北にいる三人を援護すれば良いということです。」
「君の強さは、みんな知ってるからね。自然だろう?」
戯けた様子で続けて話すベルナルド。クレミアは無言で頷いた。
「さて、それじゃそろそろ僕たちも解散しよう。何せ今週は忙しくなるから寝ておかないとね。」
ベルナルドはそういうと、「ふぅ」とため息をつき、窓の外を見る。その表情は先程までのヘラヘラした表情ではなく、まるで遠くにある国を睨みつけるような表情で
「誰に喧嘩を売るのか、考えさせないとな。
同盟国に、チョイと痛い目を見てもらおうか。」




