魔法の世界
魔法・・・、といえば指先から飛び出る炎や氷の塊を想像するだろうか。
とはいえ、そんな資格を取った覚えはないからなぁ。
日本という国は魔法のない国だ。こんなことなら「炎魔法取扱資格」でも探しておくんだったな。
ダニエルの店の子供たちに園芸の職業訓練を終えた俺は一人、考え込んでいた。
この治療院もギルドからの斡旋を受けて、少しずつだが繁盛し始めている。
子供たちも、だいぶ肉もついて、精神力も高くなってきている。
職業訓練(園芸)も順調だ。今はダニエルの提案で、少しの敷地を使って薬草などを育て始めた。
彼の計画では、治療院兼薬草販売所として店を確立していきたいとのことだった。
「ジンバ先生?悩み事ですか?」
そういって俺に声をかけてきたのは鬼人族の少女ティフだ。
彼女はこの治療院の筆頭治療師だ。もともと適正があったのか、ヒールを繰り返し使っていくうちに、どんどんどんどん精神力が高くなっていった。そこで俺はこっそり職業神の祝福を使って、彼女の適性職である「プリースト」にクラスチェンジしてもらったのだった。
今の彼女は状態回復魔法の「キュア」とヒールの上位魔法である「ハイヒール」をマスターしている。
「悩み事ってわけでもないんだけどね。
この後、ちょっとした訓練なんだけど魔法のことで悩んでいて。」
「魔法・・・ですか。
私も、ジンバ先生のおかげでいろいろな回復魔法が使えるようになりました。」
「いや、それはティフに魔法の才能があったからだよ。」
「いえ、そんなことはないと思います。魔法は才能だけではなく、「その魔法をイメージ」することが大切だといわれているそうです。」
「魔法をイメージ?」
「ただ、マッチをこすった火をイメージしても攻撃力のある火にはなりません。ドラゴンの吐く燃え盛るような火炎を想像する必要があるそうです。」
「・・・なるほど。」
「私のキュアも、相手が何で苦しんでいるか読み取って、その苦しみの原因を取り除くことで初めて使えるようになっています。」
「イメージ・・・、読み取る・・・。!!!!!!」
そうか、そういうことか!」
俺の脳裏に一つの方法が思い浮かんだ。
この方法なら、いけるかもしれない!
「ありがとう、ティフ!ちょっといい方法を思いついたかもしれない。」
俺はそういって、彼女の手を強く何度も握りしめたのだった。
俺はさっそく魔法を試してみたかった。2,3使えそうな資格も思いついていた俺であった。とはいえ何が起こるかわからない。
そこで少し早めに砦に向かう途中の草原に来ていた。ここなら多少何かあっても防げるだろう。
「これまでは資格とスキルをリンクさせるだけだった。でも魔法はそうじゃない、その魔法の姿をイメージすることが大切なんだ。」
俺はまず、「爆発」をイメージする。
ドラマで小屋が爆発するような、あんな感じの爆発だ。決して花火のような爆発じゃない!
発破解体じゃ、大きすぎる。小屋が爆発する程度だ。
「・・・危険物取扱者乙四種を持っている俺なら、この程度の爆発くらい、コントロールできるはずだ。イメージしろよ・・・俺。」
小規模な爆発のイメージが、俺の持っている資格「危険物取扱者乙四種」と頭の中でリンクした気がした。
!!!!!
「爆ぜろ!!エクスプロージョン!!」
俺はそう叫ぶと、両方の手のひらを前に向けた。
身体の芯から手のひらに向けて大量の精神力が流れ、そして・・・。
ドゴ―――――ン!!という轟音とともに、草原に大きな爆発が起こった。




