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100の資格を持つ勇者  作者: 小鳥遊カンナ
ファーイストの英雄
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ククリナイフは今日の空

朝、俺はベッドから身体を起こした。

思ったほど身体は重くない、やはり昨日しっかり晩御飯を食べて、ちゃんとベッドに横になって寝たというのが大きかったんだろう。

俺は首をこきこきならして、背伸びをした。エポックやセーブも目が覚めたようだ。二人とも疲れは残っていなさそうだ。

俺たちは装備を整えると朝食を食べに行く。今日の朝食はサンドイッチだ。不思議なことにサンドイッチにはハムのようなものと、ジャムのようなものがはさんである。

「そのハムはね、テッキンヘラジカのハムなのよ。昨日、エポックちゃんがとってきてくれた獲物と同じやつね。それは前にとって来た奴を塩漬けにして燻製にしておいたの。そのジャムはヒイロイチジクの実を煮詰めて作ったのよ。」とウルスラさんが教えてくれる。

ジャムとハムと聞いてしまうと、おいしくなさそうに聞こえるが、以外にもこれがおいしかった。「しょっぱあまい」というか、ジャムの酸味がいい感じに肉の油の甘味やうまみを引き立ててくれる。

三人分のサンドイッチがなくなるのはすぐのことだった。




「じゃあ、今日こそはもうちょっと活躍できるように頑張ってくるね!」

「エポック、あんまり無茶しちゃだめよ。私はほどほどにやってくるわ。」

「じゃあ、俺も職業訓練と、自分の訓練を頑張ってくるよ。」

食べ終えた三人はそれぞれの場所に繰り出していく。

毎日が同じ流れの繰り返しだった。それぞれの現場に赴いて、くたくたになるまで身体を動かして、帰ってきたら夕食を食べて、寝る。この繰り返し。

エポックは狩りだ。

狩る獲物も日によってさまざまだった。バジリスクのような危険度の高い獲物を狩る(といってもほとんどアルさんが倒しているのだが。)という日もあれば、羽ウサギや一角ヤギといった比較的狩りやすい獲物を倒すこともあった。

そこに行くまでの道のりが大変だったのだが、しばらくすると身体も慣れてきた。

森の中でどこに隠れたらよいかもだんだんわかってきたし、どのあたりに獲物がいるかも、わかるようになってきた。

空を飛んでいる、ハイエナペリカンに獲物をとられてしまうことも何度かあったが、それは短剣を投げて退治する術を生み出してからは、なくなった。

「・・・今だ!!!」

そういって僕は、ファッティボアの首筋に飛び込む。

このファッティボアは全身に脂肪がある。この脂肪がくせ者で、厚い脂肪に阻まれて武器が通らないのだ。さらにこの脂が刃物の切れ味を悪くする上に、剣などの柄を滑らせてうまく力を入れることができなくなる。

なので、狩るときには首筋に刃をしっかりと突き立ててから、ククリナイフの重さを活かすように引き裂く。

首周りは脂肪の量が少ないので・・・。

「ッ!ゴガガアガ!!!・・・・・・!」

と、ファッティボアは首から血の噴水を出して倒れる。あとは動かなくなるのを待つだけだ。

この斬り方は、自分が血と脂にまみれてしまうことを除けば、すごくいい、効率的なやり方だ。

僕はポケットからぼろ布を取り出すと、ククリナイフについた血を拭う。

ところでこのファッティボアの脂だが、その脂身の味はとてもおいしく、その肉を使ったベーコンは需要も多い。


「・・・あとは、血抜きが終わったら、アルさんを呼べばオッケーかな。」

僕はそういうと背伸びをした。

最初は辛かった狩りのお仕事、最初の一週間は地獄だった、そのあとの一か月もなかなか大変だったけど、今はだいぶ慣れたような気がする。


「うん、みんな頑張っているんだろうな。特に、クリミアさんのところにいるセーブは、きつそうだったな。」僕はそういって、森の隙間から見える空を見上げたのだった。


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