必殺 めちゃくちゃ振り剣打法!
そのどちらでもない!
俺は剣を右手で構えると、無我夢中で走り始めた。そして先ほどの亡霊戦士がやったのと同じようにめちゃくちゃに振り回し、飛び掛かる。
「ゴリッ」
剣は脇腹に直撃する、だが痛みがないためか、反応はない。俺は止まらず、ともかく剣を振り回す。
勢いがつきすぎて、自分の脚にも当たって切り傷ができてしまう。そして、亡霊戦士の剣も俺に当たる。
だが構うものか。
俺は身体から血を流すのを気にもとめずに、攻撃をし続ける。
4回目、5回目、6回目に俺が長剣を振り回した時にちょうど、戦士の胸元に深く刺さった。
灰色の皮膚の下も、灰色の肉が見えた。血が噴き出すわけじゃないが。肉の奥に、ワインのような色をした結晶があるのが見えた。
肩を切られて痛む左腕に構うことなく、俺は両手で剣を構えて、そこに渾身の力を込めて突き刺した。
「パリン」
大した手応えもなく、その結晶は簡単に砕けてしまった。更に砕けるのと同時に、亡霊戦士の肉が、装備が灰になっていった。
「やー、お見事お見事。
でもその前にそのままだと、痛いだろう?」
俺の身体は全身切り傷だらけだった。このうち半分は勢い余って自分で傷つけたものだ。
ベルナルドは俺に杖を向けると「グレートヒール」と唱えた。
すると自分でつけた傷はもちろん、左肩の傷も、全ての傷が治っていた。
「いや、流石だね。うんうん、僕が見込んだ通りだよ。
実はね、今度ギルドで募集するクエスト、ほらホブゴブリンを倒さなきゃいけないでしょ。だから、腕前をね。試したかったんだよ。」
悪びれる様子もなく、ベルナルドはそう言うと、杖をアイテムボックスにしまった。
「それが、今回の腕試し・・・ですか?」
俺は少し怒った口調で、ベルナルドに問いかけた。
そうだとしても、いきなりにも程がある。
「そうそう。
君はさ、すごく見込みがあるのに、スキルに頼りすぎているように見えたからね。
剣術は魔法剣がメインのようだけど、魔法剣が使えなくなれば、剣という武器は使えないのかな?」
「それはどういう意味ですか?」
俺には質問の意味がよくわからなかった。
俺のメインの技は魔法剣だ、それ以外にもスキルはあるが、基本的に剣技と言えばこれがメイン、使えなくなれば困る。
「やー、つまりさ。
例えば『料理』のスキルを持っていなくても、ヤキメシくらいは作れるでしょ。
スキルってのはさ、『それがあれば仕事ができるくらいの能力』なんだよ。なくても、料理はできる。でも売り物になるほどではない。」
ベルナルドは俺の問いかけに、いつも通りの口調で返してきた。軽く貧乏ゆすりもしている。
俺はベルナルドの答えに頷くしかできなかった。
「つまりさ、さっきの君のように剣を振り回すって事も必要なんだよ。事実、あの程度のやつなら『簡単』に倒せただろ?
別にスキルを使うから敵を倒せるわけじゃないんだ。『通常攻撃』だって、アリなんだよ。うんうん。」
「・・・確かにそうかもしれない。」
「今のようにスキルに頼りきりの君は、そうだね。
上位ランクに行けないどころか、上位職にクラスチェンジも出来ないね。
更には仲間の足手まとい、いや、もしかすると仲間を犠牲にしてしまう。やー、そんなことになったら大変だ。これは困った。困った。」
「う・・・。」
図星を突かれて、俺はぐうの音も出ない。
そんな俺を見たベルナルドは嬉しそうに
「だからね、
ここで僕が教えてあげるよ。
君が、君を超えるために、君のやるべきことを、さ。」




