俺の不安
ファーイストの街から少し離れたところにその砦はある。
俺たちがこの街に来る時に使った、抜け道のあるあの砦だ。それ以外にも砦はあるが、馬車がないと行ける距離にない。
ということで午前中の職業訓練指導を終えると、そこに向けて歩き出していた。
「昨日のエポックといい、セーブといい、なんだか不思議なことが続くものだな。・・・う〜ん。」
不安な予感を感じた俺は、砦に向かう前にスキル キノコマスターの知識を使って、以前とったソーダタケの毒抜きをしておいた。これはいざと言うときの非常食。薬草も在庫がアイテムボックスにある。毒消しの丸薬も作ったものが残っている。
「とりあえず、これでいざという時の対応は出来そうだ。」
俺はふぅと息を吐く。そろそろ砦が見えてきた。
砦の入り口に立っている男、ベルナルドだ。相変わらず貧乏ゆすりをしている。
「やーやー、待ってましたよ。うんうん。」
「お待たせしてすみません。」
「いや、そんなことはいいんだよ。
悪いんだけど、それじゃあ行こうか。」
ベルナルドは手を引っ張り、ドンドンドンドン砦の中に進んでいく。
「ちょ、ちょっとギルドマスター!一体どうしたんですか?」
俺は慌てて止まろうとする、が、引っ張られて止まらない。ギルドマスター、どう見ても前衛職じゃないのに、凄い力だ。
そうこうしているうちに、一つの扉を開ける。そこは広い闘技場のような部屋だった。壁には至る所に魔法陣が描かれている。
「この部屋はね、通称『練習室』って呼ばれてる部屋なんだけどね、うん。
今日の依頼なんだけどね、ちょっとした腕試しをしてもらいたいんだよね。」
「う、腕試しって、まさかギルドマスターとですか?」
俺は思わず飛びのいてしまう、先ほどつかまれた腕の強さを思えば、ベルナルドという男は相当強い。
「やー、安心してほしいな。僕とやりあうわけじゃないんだよ。
まずは腕試しだから・・・、このくらいがいいのかなぁ?」
そういって、どこから取り出したのか長杖を振る。長杖は、金色で派手な装飾が施されている。見ただけで高価で貴重なものだということがよくわかる。
「わが呼び声に答えよ、闇の従者よ!」
ベルナルドがそう叫ぶと、地面から黒い影が現れる。
そしてその影が、だんだんと形になっていき、出来上がったのは
「幽霊戦士というんだけどね。どの程度戦えるか、やってみてよ。」
「やってみてよって・・・。」
「まぁそっちにやる気がなくても、こっちから向かっていくんだけどね。」
そういってベルナルドは、長杖を俺のほうに向ける。すると亡霊戦士は持っている長剣を振りかざして俺に向かってきたのだった。




