ベルナルドの依頼と、いつもの訓練
翌朝
ニコニコ顔で出発していったエポックとは、裏腹にセーブの顔色は暗かった。
エポックがもりもり朝食を食べていったのと違って、セーブは口にヤケクソに料理を放り込むようにして食べていった。
それにしてもここの料理は本当に美味しい。
今日の料理はパンと、非常に大きな目玉焼き、そしてキノコのスープだ。
パンが焼き立てなのは言うまでもないが、この目玉焼きの大きさは凄い。俺の顔くらいはあるだろうか。
そこに塩が振られただけのものの筈だが、焼き加減が絶妙の半熟だ。
キノコのスープは数種類のキノコの石づきだけを丁寧に洗った後に、一度焼いてから煮込んでいる。
そのため、出汁と一緒に香ばしい香りが漂ってくる。セーブが、どんなに行くのが嫌で食欲がなくても、ヤケクソにでも食べていく気持ちがよく分かる。
「それじゃ、行ってくるね!」
「私も、・・・はぁ〜、仕方ない。行ってくるとしますかね。」
そういってそれぞれの仕事に別れると、俺はまず治療院へと向かった。
午前中にまず職業訓練を行う。そして午後は一人でできる仕事を受ける予定だった。
俺が紅玉のドアを開けると、そこには
「やー、待ってたよ。うん。」
ギルドマスター ベルナルドの姿があった。
「ギルドマスター!えっと、どうしたんですか?」
「やー、大した用では無いんだよ。ほら、クレミアからな、話は聞いてあったから、流石に副だけに任せておくわけにもいかないだろう?だからさ、見に来たわけ。」
緑の短髪は寝癖なのかボサボサで、忙しなく足を貧乏ゆすりする姿は、高級そうなローブを着ていなければ、挙動不審な市民のおっさんだ。
「あ、そうだ。
ちょうどよかった。きっと君は午後は暇だよね?暇だといいなぁ。」
「午前中にこの子たちと仕事をしたら、午後は何も無い予定ですが・・・。」
「やー、それは良かった。うんうん。
ちょうど人手がね、足りなくて、手伝ってもらいたいところなんだよ。これは天命というやつだね、うん、それではね、この街の外れにある砦、知ってるかな?
知ってるよね。うん、そこにね、午後になったら来てほしいんだ。
いや、ありがとね。それじゃ待っているからね。」
俺は一言も言う時間がないくらい、素早く言い切られてしまった。そして言うだけ言うとそそくさとどこかに行ってしまった。
相変わらずあの人は挙動不審だ。
気を取り直して、俺は子供たちと職業訓練を行った。
訓練は何もなく、いつも通り平穏に進んでいった。




