お店再開ウルトラ大作戦②
「え?ジンバさん・・・それに皆さんも、副ギルドマスターとお知り合いなんですか?」
ダニエルが驚いて俺たちに確認をする。が、俺らの誰もが反応できない。
「ま、まぁ、知らない仲ではないけど・・・。」
エポックそう言いながら、既に腰から短剣を引き抜いて構えている。
「あら、もう私たちは友達みたいなものではないですか?」
「そんなことは無いと思うけど・・・。」
とりあえず先に進めなくてはいけない。信じ難いことだが、とりあえず彼女が副ギルドマスターということを信じて、治療院のことを話しておこう。
「えっと、とりあえず・・・。
実は今日は治療院の開設についてお話しがありまして、伺いました。
彼がその治療院の担当のダニエルです。私は仲介役というか、マネージャーみたいなものです。」
「新規の治療院ですか、それはここで立ち話というわけにいかないと思いますので、こちらの部屋にどうぞ。」
クレミアはニコニコした表情で、試験の時とは違う奥の扉を指差した。
俺としては、あの惨劇の実技試験を思い出すが、ここで二の足を踏むわけにはいかない。誘導を受けて俺たち四人はついていくことにした。
今度の部屋は、よかった。ちゃんとした応接間のような部屋だ。ともかくも俺は、クレミアに治療院のことを説明した。
・・・
・・・・・・
「なるほど、孤児を雇った治療院ですか。」
「たまたま、スラムに暮らしていた孤児がヒールを支えたものですから・・・。」
俺はセーブに受けた忠告通りに誤魔化して、伝える。
ニコニコして聞いているクレミアが逆に怖い。
「今度ですね。ヌレーヌ川で大規模なホブゴブリン狩りが行われる予定でして。そこでは大量の冒険者を雇い入れる予定なんです。怪我をする冒険者も多いでしょうからね。
ギルドとしても、治療院が欲しいと思っていたところです。」
ホブゴブリンは、市民が対応できるゴブリンとは違い、知能もあるし、そこそこ手強い。
また、ゴブリンと徒党を組んでいることもあるため、ギルドとしても早く対応しておきたいらしい。
「治療院の皆様のヒールの腕前を確かめる必要はありますが・・・そうですね。もし本当なら、外部委託として治療院の方を臨時のギルドの職員として登用します。
そうすれば当分は職員用の宿舎を使って頂いても結構ですよ。」
「それはありがたい!願っても無いことだ。」
ダニエルは嬉しそうに、ソファーから立ち上がった。
「明日、お手数ですが子ども達のヒールを確認させていただいて、正式に書類契約を交わさせていただきますね。」
トントン拍子に話が進んでいった。俺もエポックもセーブも、少し驚いたように顔を見合わせる。こんなうまくいくなんて思わなかったからだ。
俺たちの予想とは違い、終始和やかな話し合いだった。
「それでは、明日子供達を連れてきます。よろしくお願いします。」
ダニエルは深々と頭を下げる。俺たちも習って頭を下げて、退室しようとした。
「あ、そうでした。
ジンバさん御一行は少しだけお話がありまして、ダニエルさん。
お手数ですが、部屋の外で待っていて頂いてもよろしいでしょうか?」
クレミアがそう告げる。彼女の口元は和やかだが、眼は笑っていなかった。




