スラムの子供達と、炊き出しと、スキルを教えるスキル
「ねぇ、ねぇ、ホントにこれで大丈夫かしら?」
セーブは少し不安そうな表情をしている。
ここはガラクタ市の更に奥にあるスラムだ。
ここでは十人程度の孤児が一緒になって暮らしている。と、定期的にここで炊き出しをしているウルスラさんが教えてくれた。
「とりあえず、この方法でいってみるしかないさ。
多分いけると思うんだけどな。」
正直言って自信があるわけじゃない。でもから元気だ。
俺が不安な表情をしているわけにいかない。
俺たちは炊き出しということで彼らのもとを訪れることにしていた。虹色のりんご亭にお願いして安くて量の多い料理をアイテムボックスに詰め込んである。
とりあえず炊き出しの準備を始める。
するとわらわらとどこからともなく子どもたちが俺たちの周りに集まってきた。
ガラクタ市のスラムに住む少年少女は幼い子は5歳くらいだ。反対に一番大きい子でも10歳くらいに見える。
皆痩せていて、眼も虚ろだ。
ともかくもまず、飯だ。
俺はアルさんの作った握り飯を配る。
エポックとセーブは、食缶からスープを器に持って配っている。
二人とも自分が想定していたよりも、子どもたちがやつれていたのが悲しかったのか、涙目になりながら作業をしている。
突然の思い付きで言ったのだが、アルさんはしっかりとしたご飯を作ってくれていた。
スープは肉料理に使った肉のあまりの骨をじっくりと煮込んで出汁をとって、そこに野菜の皮や根を細かく刻んでジュリエンヌスープに仕立てている。
しっかりと出汁を取ることで、塩気を抑えているそうだ。
おにぎりも中身はないが一つ一つ丁寧に握られている。
大体、みんな食べ終わっただろうか。
美味しい食事は、心も豊かにするというのは本当かもしれない。
心なしか目に光が戻ったようだし、表情が増えたようだ。
孤児たちの心が温まる今、この瞬間だ。俺が待ち望んでいたのは、このタイミング。
俺は少し声を張り、スラムに響くようにこう言った。
「みんな!みんな聞いてくれないか?
今日はみんなに頼みがあるんだ!」
孤児たちの視線が、俺に集まる。」
「実は、仕事を手伝ってくれる人を探している!
できればここにいる全員に手伝って貰いたい!」
辺りがザワザワうごめく、怪訝そうな表情で俺をみる者も居る。
「仕事とは、いったいどのような仕事ですか?」
孤児たちの中で一番年齢の高いだろう少女が、俺にそう問いかけた。そして、続けて
「私達のかつての友の中には、使い捨ての駒のように使われて死んだ者、騙されて帰ってこなかった者が居ます。
スラムに住む子どもの命とは言え、決して安いものではないと、私たちは思っています。
ですから、私たちが出来る仕事と信頼できなければ、受けることはできません。」
少女は凛とした姿で、俺たちに伝えた。
服は汚れて、顔も泥で霞んでいるが、瞳は曇っていなかった。
俺は真面目な表情を崩すことなく、少女の方に向き直ると
「俺は、『スキルを授けることのできるスキル』を二つ持っている。
君たちにやって貰いたいのは、俺が授けるスキルを活かした、仕事だ!それはちゃんとした仕事で、危険なことはない、約束できる。」
「スキルを授けるスキルだなんて・・・、聞いたことない!」
少女だけでなく、少し歳の上の孤児たちは同じように戸惑っている。「そんなことがあるわけない」と。
スキルの多くは適性がないと、マスターすることは出来ない。
野菜作りが好きなだけの素人が畑で野菜を作っても、プロの農家に品質で劣るように、それで生計を立てたいくことは出来ない。
「嘘に決まってる、そんなことありえ「あり得なくなんて、ないんだ!」
俺は彼女の言葉を遮るように叫ぶ
「出来るんだ、何せ俺は・・・俺は職業訓練指導員で、応急手当普及員なんだからな!」




