ワルビープランツ
クルトン草原
様々な薬草が採れるため、ファーイストの街の人にとっても重要な場所である。特段に危険な魔物が出るということはないが、市民にとっては脅威となるものもいるので、ギルドでは定期的に依頼を出して、駆除をしている。
「見渡す限り、草原だなぁ・・・。
それで、ワルビープランツってのと、オオネズミを倒せばいいんだったか?」
「うん、それで討伐した証拠にワルビープランツなら根っこを、オオネズミは右耳を納品して欲しいんだって。」
「なんで、根っこと右耳なんだ?」
「価値があんまりないからだよ。
ワルビープランツの場合は実は毒の材料に、オオネズミは皮は素材に、肉は家畜の餌用に売れるからね。
価値のない素材は討伐の証拠に納品して、それ以外は僕らの取り分になるんだよ。」
なるほど、冒険者は二重に美味しい職業だ。憧れる人が多いわけだよな。
「あそこにいるのって、オオネズミじゃないかしら?」
セーブがそう言って右前を指差した。
確かにアレはオオネズミ、名前の通り全長1メートル程あるネズミだ。体当たりもしてくるが、それよりもあの前歯で攻撃されると痛い。
キィキィ鳴いて威嚇してきている。
俺が短刀を抜いて構えるよりも先に、エポックがネズミに突っ込んでいった。エポックはなるべく相手との距離を詰めてから、抜刀して斬りかかる。これまで戦ってきた相手なら、まず第一撃を浴びせることができる。
今回もオオネズミの胸に深い切り傷を与えていた。
「一撃必殺には、ならないかー!」
エポックはすぐに後ろに飛び退き、ネズミとの距離を取る。
「これなら剣を抜くよりも、こっちの方が、良さそうだ!」
俺は剣を抜こうとしていた手をアイテムボックスに突っ込むと、平たい小石を取り出し、投げた。
甲賀流忍術、手裏剣だ。
エポックに体当たりをかまそうとしていたオオネズミの首に、石が直撃、「ゴキッ」と骨の折れる音がするのと同時に、そのまま前のめりに倒れる。
「私の出る幕、なかったわね。」
俺とエポックの手際の良さに、セーブがそう呟く。
それからしばらくはオオネズミを狩っていった。
1回目のオオネズミ戦では活躍できなかったセーブだが、それ以外は口笛を吹いてアシストをしていた。
眠気に襲われたオオネズミを狩るのは、容易いことだった。そして解体も「剥ぎ取り」を覚えたエポックにとっては造作もないことであった。
オオネズミを8匹ほど狩った頃、剥ぎ取りをしているエポックのかわりに、あたりを警戒していると、少し離れたところにクネクネ動く植物のようなものを見つけた。
「アレがもしかしてワルビープランツという奴か?」
俺は二人に囁いた。
「そうそう!あのトゲのある葉っぱ。ワルビープランツに間違いないよ。」
エポックがそう教えてくれた。葉や茎には鋭いトゲがある。エポック懐に飛び込む斬りかかりかたでは、トゲが刺さってしまうかもしれない。エポックなら「後でヒールしてくれればいいよー。」と言ってくれるのだろうが・・・。そういえば俺はこんなスキルを持ってたな。
スキル「植物斬り」
植物系の魔物に大ダメージを与える。
魔法剣の副産物だと思っていたが、コレ、使えるんじゃないか?
「なぁ、エポック、セーブ。
ちょっと試してみたいことがあって、俺が仕掛けてみてもいいかな?」
俺は長剣の方を抜くと、刃に精神力を込めていった。




