落ち着きのない男と試験結果
俺たちは冒険者ギルドの実技試験を受けた。しかしそこであんまりにも試験官にタコ殴りにされたので、捨て身で突撃した。それでそのまま気絶して、どうやら俺たちは治療を受けたらしい。身体の傷はすっかり治っていて、右腕の痛みも、今は感じない。
エポックもセーブも大丈夫そうだ。二人はまだ寝息を立てて休んでいる。
あの試験官も大丈夫だったろうか?ここに横になってないと言うことはきっと大したダメージにならなかったのだろう。そう考えると悔しいな。
そんなことを考えていると、部屋の扉が開いた。
俺のベッドに男性が駆け寄ってくる。
「やー、申し訳ない!!」
と、いきなり中年の渋めの男性が謝ってきた。
緑色の短髪で、ローブを纏っている。そのローブの仕上がり具合からいって身分の高そうな感じがする。
「やー、実技試験。実はあそこの部屋で、練習用の大ネズミを相手にして貰えば良かったんだけど、クレミアが悪ノリしてしまって。」
男性は頭をかきながら、再び頭を下げてきた。
そして、俺が喋るよりも早く。
「やー、しかしあのクレミア相手にして一撃叩き込むなんて、やー、なかなかやるね。君たち。うんうん、わかるよ。なかなかいい腕前なんじゃない。
うんうん、そうだね。そうすると、Fランクから始めるというのは変な話だよな。うん。」
男は勝手に納得したようだ。自分で言ったことにうんうんと頷いている。
「あの・・・試験は合格したということ、でしょうか?」
俺が恐る恐る尋ねると
「やー、もちろん合格。そう、合格だとも。
それも普通はFランクからスタートのところを、Eランクからのスタートにしよう。
うんうん。それならきっと今回のことも、きっと水に綺麗に流れて、ヌレーヌ川のような清らかなものになるだろう。うん、それがいい。」
顎の下に手を当てて、辺りをグルグル歩きながらそう呟く。本当に落ち着かない様子だ。
「え?そんなことできるんですか?」
「ん、やー。できるとも。僕は何せこの冒険者ギルドのギルドマスターだからね。
それに試験で良い成績をだした人がEランクスタートいう制度はあるんだ。うん。
やー、とりあえずだね。ハイヒールもかけたことだし、もう身体も大丈夫だと思うから、そっちの二人の子が起きたら、帰るといい。
うん、それがいいな。何せこれから僕はこの問題を報告書にあげなきゃいけないからな。うん。
それがいい。うんうん。
それじゃ、善は急げだよな。じゃあ僕は行くからさ。また明日、ギルドに来るんだよ。クレミアに説明させるから。」
とその場をグルグル回りながら捲し立てるように言うと、バタバタと扉を開けて出て行ってしまった。
「なんだかよくわからないが、とりあえず合格ってことか。エポックが聞けば喜ぶだろうが・・・。
とりあえず俺ももう少し休んでおこう。」
俺はそう言うと二人が起きるまで、ベッドに横になりのんびりとすることにした。




