実技試験(中編)
扉の奥は、少し広いだけの部屋だった。何も無い部屋だ。
「では、実技試験を説明します。
それぞれ武器や魔法の用意はよろしいでしょうか?
実技試験は、私に「攻撃」することです。では、頑張ってください。」
と、いきなりジャンプして扉の前にいる俺たちから距離をとった。
いつの間にかエルフ耳の受付嬢は、装飾の施された短い杖を装備している。
「あ、遅くなりましたが、私は今回の試験の試験官のクレミアと申します。防御をしますので遠慮はいりません。ガンガン来てくださいな。」
「ほぇー、流石冒険者ギルド!
面白い試験だよねー!」
エポックはぴょんぴょんその場で飛び跳ねている。本当に嬉しそうだ。
「って、喜んでる場合じゃ無いでしょ。ともかくも一髪お見舞いしないといけないんだから。」
「そだね!じゃあ僕からいってみよっかな!」
そう言うとエポックは腰から二本の短刀を引き抜いて、試験官クレミアのところに飛び込んだ。
あれが仕入れたナイフか。ナタのような刃をしていて、一撃が大きそうだ。
ところが・・・。
「ガキィン!」
クレミアの持っている杖で簡単に弾かれてしまった。
さらにそのままクレミアは杖を横薙ぎにすると、エポックの脇腹に一撃叩き込んだ。
「ッ!!」
脇腹に一撃受けたエポックは一瞬苦痛を浮かべるが、そのまま受け身を取り、クリミアから離れた。
「あ、言い忘れましたが、私もガンガン行きますので。」
杖を両手で構えると、クリミアは、そう俺たちに言うと妖しい笑みを浮かべた。
「エポック、だ・・・大丈夫か?ヒール!」
「いてて、ありゃ強いねー。ちょっとワクワク、ちょっと怖い感じがするね。」
エポックは脇腹をさすっている。ヒールのおかげでもう痛みはなさそうだ。
「連携してかないと、大変かもね。」
「今度は俺が切り込むから、セーブは口笛でアシストを。エポックは隙を見て切り掛かってみてくれ。」
俺はそう言うと、小石をアイテムボックスから取り出し、甲賀流忍法 手裏剣をお見舞いした。
「子供騙しですね。」
いとも簡単に手裏剣は弾かれてしまう。
俺は短剣を抜いて切り掛かる。藍鉄の短剣には精神力を込めて流す。
「魔法剣!」
ところがこれは読まれていたのか、簡単にかわされてしまう。
更にクレミアはセーブの口笛で、眠らせるどころか、ふらりともしていない。
俺たちの攻撃がうまく当たらないため、エポックは斬りかかることができないでいる。
と、俺の足を薙ぎ払うように杖が振られた。
俺は受け身を取ることも出来ずに、そのまま転ばされ、そこに続けて杖を振り下ろされた。
「グガッ!」
俺はスイングでショットされたゴルフボールのように、転がり飛んだ。
ーめちゃ痛え!息ができないっ!
杖で打たれた場所は鎧が守っていたところだ。
それでも、痛みは凄い。
「ゴホッゴホッ!」
何度か咳き込むと、俺は身体を起こした。
「ゲホッ・・・こりゃチーム始まって以来の、危機だ。」
俺はどうにかできないか、考えていた。




