朝食の香り
朝食はパンだった。それに刻んだ野菜の入ったスープと、塩漬けの肉だ。
塩漬けの肉は香辛料が効いていて、なかなか美味しい。表面を炙ってあるのも、香ばしい香りがして素敵だ。
刻んだ野菜のスープは、なんの野菜が入っているかわからないが、じんわりと甘くて美味しい。
深めの皿にたっぷりと入っている。一緒に刻まれているキノコがいい出汁を出している。
そして、パンだ。これが本当に素晴らしい。
割り合いに硬めに焼かれたこのパンは、噛めば噛むほど味が出てくる。
この香ばしい香りはたまらない。
今日の予定を話しながら食べようと思っていたが、俺たちは夢中で食べてしまった。
俺たちが夢中そうに食べているのを見て、この宿の女将が嬉しそうにもう一皿持ってきた。
「美味そうに食べてくれて嬉しいね。これはうちの旦那、あそこで料理作ってるのがうちの旦那なんだけど、サービスだってさ。」
皿の中身は果物のコンポートだった。りんごのような果物、イチジクのような果物を甘く煮てある。スパイスがきいているのか、ふぁんと辺り一面にいい香りが漂った。
奥にいる旦那さんは、真剣な顔をして食器を洗っている。全体的に大きく、熊のような感じだ。
俺たちはそちらに一礼すると、表情は変えないまま片手を上げて挨拶を返してきた。
「うちの人ね、照れ屋なのよ。」と女将がにこりと笑って答えた。この女将さんもなかなか大きく熊のような感じがする。
ひとしきり食べて落ち着いた後、エポックが
「それじゃ、お腹も落ち着いたところで、とりあえず今日の方針を決めておこうと思うんだけど、どうかな?」と俺たちに伝えた。
残りの全財産は銀貨9枚、とりあえずこれだけだと心許ない。まずはホブゴブリンの皮や色々な素材を売ろう。
それで替えの服や必要な装備を整える。
そして、ギルドに行って冒険者登録。
三人で話したところこんな流れになった。
「店を見て回るなら市場通りに色々出ている・・・。市場通りはこの前の道を北に向かえばいい・・・。
だが、そうだな・・・。
市場通りを見た後、さらにそこから路地に入ったところでガラクタ市も開かれている・・・。両方見てから、買うといい・・・。」
奥にいた旦那さんが、いつのまにか俺たちのそばに来ていてそう教えてくれた。
「相変わらず貴方は愛想がないわね!
まぁこの人の言うことは、的確だから行ってみるといいことあるかもよ!」
女将はバシバシと旦那の肩を叩くとそう言った。
「まずは買い物、行ってみるか!」




