軍人の道
教会についた俺たちは、といっても俺は背負われたまま眠っていたが、そのまま休ませてもらった。
怪我人を神父が治療していたり、泣いている市民を別の市民が慰めたり、バタバタしている。
隅には、ヒューメリックがやはり疲れ果てて眠っている。満身創痍だが、大きな怪我もしていない。
「あ、みなさん。大丈夫ですか?」
見るからに市民のサロマが話しかけてきた。
聞くところによると、ロジャーはじめ俺たちが出て、山賊を圧倒したおかげで、教会の中に山賊は入ってこなかったらしい。
そして明け方にヒューメリックを抱えたロジャーが戻ってきて、この攻防戦が終わったことを知ったとのことだった。
「残党が襲ってきたら今度こそ役に立ちますから、安心して休んでください。」
と、棒を片手にサロマは言う、今はお言葉に甘えよう。
・・・
その日は昼過ぎまで、3人はぐっすり寝た。
そして昼過ぎに目が覚めると、神父や村人達からものすごく感謝され、少し豪華な穀物野菜粥をご馳走になった。
落ち着いたところで俺はエポックに
「情けなくて、ごめん。俺、人を殺したことってなくて。」と伝えた。
エポックは
「いいって、いいってー。チームでしょ!」とにははと笑って流してくれた。
それからしばらくして、ヒューメリックとロジャーもやってきた。
ヒューメリックの顔色は青いが、だいぶ良さそうだ。
ロジャーは特に表情を崩すことなく居る。すると
「ふむ、よく頑張ったな。
お前さん達はなかなか良い。根性があるな。
ワシはこう見えてグランシード帝国の軍人でな。強い若者を探しているのさ。
良ければ一緒にどうだ?軍人は冒険者よりは安定している。」
と、俺たちに問いかけた。
そっとセーブに聞いた。この世界、今は戦争をしているわけではないが、少し前はやっていたらしい。
そして何時起きてもおかしくないらしい。
軍人・・・。なんだか俺らが目指すものとは、少し違う気がした。
俺らは出来れば、誰かの為に頑張りたい。それは軍人でも出来る気がするけど、なんというか、それとは違うベクトルでやってみたかった。
「僕らは冒険者がやりたいので、でもお誘いありがとうございます。」
俺が答えるよりも先にエポックが答えた。
俺もセーブも頷いた。
「俺は、俺はついていきたい!あんたについていきたい。」
犬耳の戦士ヒューメリックはそう言って立ち上がった。
「ほう、付いてくるのは一人か。
まぁいい、生きていればまた会えるし気が変わることもあるだろうさ。それに冒険者という仕事は悪くない。
そうしたら、ワシからの餞別だ。その貸してやった藍鉄の短剣はやろう。
それと、もし可能ならこの村の修復を手伝ってくれ。報酬は出そう。」
と、外套を纏いながら俺たちに言う。
「俺たちに出来ることで良ければ、やっていく。」と答えると。
「すまないな、これでこいつと帝国に向かわなばならないからな。ワシらはこれでいく。
報酬はそうだな。
今回のこの出会いに投資するとして、このくらいでどうだ。」
と、布の小袋を渡してきた。
中には10枚くらいの銀貨が入っていた。
俺には相場が分からないが、エポックとセーブが驚きの表情で見ている。きっと相場より高いのだろう。
俺たちは頷く。
「それでは、今度は落ち着いたところで会えることを願っている。」
と、ロジャーは腰袋に荷物を入れ、教会を出る。
ヒューメリックも「それじゃ、またなー!」と大剣を背負って出ていく。が、まだ少しふらついている。
大丈夫だろうか。ロジャーに支えられて出ていく。
ハイランダーロジャー、物凄い強い男だった。敵で会うことがないといいな。
俺は胸の中でそうこっそり呟いた。




