真夜中の防衛戦
「ね、起きて!」
セーブが俺を起こす。まだ眠い、だが周りもザワザワしている。
まだ夜明けには程遠い。何かあったようだ。
見ると周りの旅人も剣を携えたり、槍を構えたりしている。村人も何人か集まってきたのか、棒切れを片手に固まっている。
神父たちは怪我をした人の回復をしようとしているようだ。
「うにゃ・・・。」とセーブに起こされたエポックも、もう周りの緊張感を感じたのか、ピリッとした表情だ。
「何かあったの!?」
「山賊さ、真夜中に襲いにきたのさ。あっという間に市民が何人かやられて、それで生き残った奴を皆殺しにしようとこの教会を囲んでるのさ。」
エポックの問いに答えるように、傭兵風の格好をした褐色肌の老人が答える。
白髪の頭をオールバックにしていて、腰には長い剣が付いている。年季の入った銀色の鎧を着たその姿は、まさに歴戦の強者と言った感じだ。
「あなたは?」
俺は老人に訪ねる。
「ワシはロジャー、ジョブはハイランダーだ。
この辺りの山賊はたちが悪い。沢山の人数で囲んで、準備ができたら皆殺しさ。
それよりもお前たちは戦えるかね。山賊の数が多い。ワシ一人では皆は守れん。逃げてきた市民もおるしな。かと言って、ここに泊まってる旅人は市民や商人が多くてな。多少、腕が立つ者が欲しい。」
「僕は、えっとスカウトで、こっちのジンバは魔法剣士。と言っても新米でなりたてなんだけど。
で、こっちの妖精の子はサポーター」
「ふむ。」
と、エポックの話を聞いたロジャーは少し考えた後。
「新米でもスカウトと魔法剣士なら、戦えるだろう。
ともかくもついてきてくれ。
いや、しかしその装備では心許ない。二人ともこの剣を使うと良い。」
と、腰に携えていた袋から短剣を二本取り出す。魔法の袋なのか、袋は普通の腰袋で短剣よりも小さい。
ー藍鉄の短剣を手に入れた。ー
※藍鉄の短剣 藍色の鉄でできた短剣。研いであり、切れ味は良い。
俺はロジャーから剣を受け取ると、腰に携えた。石ナイフは布の服(作業着)の後ろポケットに入れておく。
エポックはこれまで使ってきた短剣と、先ほど借り受けた短剣を二本構え、二刀流で戦うようだ。
「これで戦える奴は全員か。」
集まった顔ぶれを見る。
一人は犬耳の男、背中に銅でできた大剣を背負っている。ガタイも良さそうだ。
「俺はヒューメリック、剣士だけど、山賊相手は今回がはじめてだ」
一人は普通の男性。見るからに市民といった様子の男だ。不安な様子で長い棒を構えている。
「サロマです。私は市民ですが、基礎棒術が使えます。が、あまりあてにしないでください。」
そして、俺とエポックとセーブとロジャー。
戦えるのはこの6人だった。
「山賊達は準備ができたら突入してくるだろう。その前にワシが正面からうって出る。
中を守るのが市民のサロマ、そして、ヒューメリック、ジンバ、エポック、セーブはワシに続いて撃ち漏らした敵を倒してくれ。
礼拝堂の中に入られれば、終いだ。
逆に総大将を倒せば、敵も引き上げるだろう。」
と、ロジャーは腰から騎士剣を抜き出し、俺たちに伝える。
俺たちは完全に休めていないので、精神力も完全には回復していない。
どこまでやれるのか、不安なところだ。
俺だけじゃない。皆そんな表情をしていた。そんな不安な様子を見てか、ロジャーが剣を高らかに上げて。
「さぁ、愚かな山賊どもを退治してしまうぞ。この身は剣、この身は刃、この身は切っ先!『士気高揚!』と叫んだ。
俺らの身体の周りをオーラのような物が包む。
先ほどまでの不安な思いは何処へやら。
やる気が溢れてくる。
山賊程度、負ける気がしなくなってくる。
「それでは、行くぞ!皆のもの続けっ!」
ロジャーの号令とともに俺たちは教会の礼拝堂の外に駆け出した。




