教会の夜
村につき、教会を訪ねる。
この世界では村の教会に旅人が泊まるということは、ポピュラーなことらしい。
ゴブリンの角と、ほんの少しの穀物をお布施として差し出すと、礼拝堂に案内された。
所々にゴザが敷かれている。既に何人かの旅人が所々のゴザの上でくつろいでいる。
ここで一泊していいということらしい。
エポックはすぐさま横になる。俺も習って横になってみる。
床は硬いが、疲れているためかこのまま寝れそうだ。
服は少し汗臭い。
だが、もちろん風呂があるわけではないし、着替えもない。
「風呂は貴族の家か、それなりの宿にしかないよ。僕らは川で水浴びか、濡らした布で拭くのが一般的かな。」
そう言いながらエポックはボロ切れで顔を拭っていた。
「ふぅー、やってみると気持ちいいわねー。」
緑色の髪を拭いながらご機嫌そうにセーブが言う。
俺もやってみたが、疲れた身体に冷たい布が気持ちいい。
水も無尽蔵にくれるわけではないのだが、角のお布施が良かったのか他の旅人よりは気持ち多めに、水をもらった気がする。
食べ物も配られた。雑穀粥に雑草が入ったものだ。
お布施の一部で作られるそうだ。そして同じものを旅人全員に配られる。
「炊き出しみたいなものかな。」
俺は前世を思い出しながら、呟いた。
リーマンショックの時は悲惨だった。アルバイトすら見つからず、ホームレスをやったこともある。その時に炊き出しを食べた。あの味を思い出すな。
直ぐに夜になる。
電気があるわけではない。小さなカンテラの光だけが礼拝堂を照らしている。
「明日、なんとか山を越えたいね。そうすれば街まであと少しだから。」
エポックがそう呟く。カンテラの光に照らされたエポックの黒髪が少し光る。
「スカウトは、剥ぎ取りも覚えるから、早く覚えたいな。そうすればもっと役に立つよ。」
一日歩き、精神力も使った俺は眠さに負けそうになりながら、小さく「うん。」と答える。そしてそのまま小さないびきをかき出した。
セーブもすやすやと休んでいる。
「スカウトになれたんだもん。僕、頑張るからね。みんなのために。ジンバのために・・・。」
そう小さくエポックは呟くと、カンテラの灯を消すのだった。
はじめての冒険の一日がおわった!




