旅立ちを迎えて
朝
少しエポックの小屋で休んだ後に、村を訪れた。
ホブゴブリンとゴブリンの死骸を運び、昨日の戦いについて子細に村長に伝えた。
村長としてもホブゴブリンの存在は驚きだったようで、すぐに領主に調査を依頼すると言ってくれた。
すぐに領主軍の騎士がやってきて、村の周りのゴブリンを討伐してくれたらしい。
村の人曰く、ホブゴブリンくらいの大物が現れないと、退治をしてくれないらしい。
異世界でも、こういった仕事はお役所仕事みたいなものなんだなぁ。としみじみ感じた。
それから数日、害虫退治や村の掃除などのエポックの仕事を手伝いながら、過ごした。
そして、五日後。
「それで、このホブゴブリンの皮と角は僕たちがもらっていいの?」
「ええ、それを町にもっていけばいくらかお金に換えることができるんじゃ。この村はそれほど財政に余裕がないから、お金にしてあげられないのでの。」
「こっちの、ゴブリンの素材は置いていくよ。俺らだけだと、ホブゴブリンの皮はむけなかったからな。」
ホブゴブリンの皮は村人たちが剥いてくれた。この皮は硬いわりに加工がしやすく初級冒険者の装備に使いやすいのだ。そのため町に行けば需要が多い。
「ゴブリンの角は煎じることができれば、毒を中和する効果がある。この角だけでもありがたい限りじゃ。」
村長は丁寧に答えてくれた。ゴブリンの皮はそれほど硬くないが加工はしやすい。そのため、こちらも村に置いていくことにした。
エポックが俺たちと一緒に旅立つことは、もうみんな知っている。
雑用ばかりやらせてたとはいえ、エポックがかけがえのない村の仲間であり、そして村の危機から身体を張って守ってくれたことをみんな分かっていた。
貧しい村だが、それでも少しばかりの食料と薬草をエポックに、俺たちに持たせてくれた。
「エポックや。・・・わしらも生活するのがいっぱいで、このアギ村の恩人の娘であるお前に何もしてやれなんだ。すまなかったの。・・・それでも、この村はお前さんの故郷じゃからの。たとえ冒険者がうまくいかなくても、いつでも戻ってきてくるとええ。」
村長が涙ながらにそう語りかけてくれた。
「にゃ・・・、ありがとう。僕、頑張るからね・・・。」
エポックも涙交じりに返す。
「町に行くにはここより東の山を越えていくのが一番安全じゃ。途中で点々と村があるじゃろうし、宿もある。魔物もそれほど多くないはずじゃ。」
「東の山のほうに向かっていけばいいのね。」
「そうじゃ・・・。じゃがの、気を付けてほしいのはの。
本当に怖いのは、魔物じゃないんじゃ。人の皮をかぶった魔物じゃ。
町に行けば騙して金を巻き上げようとする奴、平気で市民を殺す山賊や盗賊もいる。そういった魔物が『一番』怖いんじゃ。
特にエポック、お前はお人よしじゃからな。騙されないようにな。」
「うー、騙されない、自身が、ないなー。」
「まぁ、そんなエポックじゃ。お二人さん。頼みましたぞ。」
と村長は俺のほうに向きなおり一礼をする。
人の皮をかぶった魔物・・・ね。会いたくないもんだ。
エポックだけじゃない、俺もセーブも割と善人だ、と思う。
騙されないように気を付けないと。




