今日の乾杯①
その日の夕方、ギルド近くの食堂にて。
「「「かんぱーい!」」」
木のジョッキを打ち付け合い、中のエールをそれぞれが飲んでいる。
「結局、みんな合格とはね!」
ディーアンネが木のジョッキに注がれたエールを飲み干して、そう言った。
「点数がわかったわけじゃないからな、もしかすると全員筆記で通ったのかもしれないぞ。」
ジンバがそう答えると、こちらも豪快にエールを飲んでいたゼエツが
「そりゃない、何せワシはテスト全くわからんかったからな。ほれ、何せあのテストは運が大きいからな。ワシのテストは炎魔法じゃったから、全くわからんかったよ。ガハハハ!」
と笑い飛ばしていた。
「ボクも筆記試験、自信はないかなー。にはは…」
エポックは苦笑いをしている。
「でもまさか、本当にアレが旧王家ランドルフ家の食器だなんてわかんないわよね。」
チビりとエールを飲みながらセーブがそう呟いた。
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あの時の作戦はこうだった。
まずディーアンネが情報を得る。
「アタイが聞いた情報、役に立ちそうな情報はこんなところだった。
①旧王家の食器は毒混入の発見のために銀で作られている。
②旧王家の紋章はハーピィの羽根をあしらっている。
③旧王家ランドルフ家の製品はコレクターが居て、贋作が作られるほど、人気ということ。
でも、これだけだとまだ贋作か真作かわからない。
最後にもう一つ情報をゲットしてね。
④本家の紋章はハーピィの羽根の中に小さく燃える炎のようなルビーが嵌め込まれている。
ここまで集めてジンバとゼエツに伝えたんだ。」
次にゼエツが目利きで金属鑑定をする。
「ガハハハ、対象は食器。それも指定された紋章のある食器だけだ。
何せ貴賓室みたいな部屋じゃったから、食器も山ほど、その中からメッキでないものだけを探したんじゃ。すると、メッキでないルビー付きの紋章のついた食器がその中から集まるわけだな。」
次はジンバだ。銀は特殊な酸には溶けない性質を持っているため、アシッドで酸を作り、そこに少しだけ漬けてみる。
すると、溶ける食器と溶けない食器に分けることができる。
この時、溶けない食器は紋章も本物で、由来通り銀で出来ている、ということは本物である可能性が高い。
最後にセーブが研ぎの技術でピカピカにすれば良い。
ちょうど二本のスプーンと、一本のフォークと、二枚のスープ皿が見つかったのでこれを提出したのだった。
「ボクは今回役に立てなかったな。」
エポックがポツリと寂しそうに呟いた。
「何言ってんだい!アンタが走り回って、食器を確保したり周りを警戒したりしてくんなきゃ、この作戦はオジャンだったよ。
胸を張りな、アンタは立派に働いたんだ。」
ディーアンネがそう言って2、3回エポックの背中を叩いた。
「ゲホッ、ありがとね。ディーアンネさん。」
「アンネでいいよ、代わりにエポックでいいかい?」
そう言って切れ長の瞳を瞑りウインクをする。
エポックは嬉しそうに頷いた。




