グッドサイン
「パッと見、価値があるようにも見えなくはないけど・・・。」
集めた「モノ」を手に取って眺めて、エポックはそう呟いた。
「確かに、剣とか、魔導書とか、鎧とかのほうが価値がありそうだけどな。でも、ディーアンネさんの情報も、ゼエツさんの目利きもクリアーできたのは、これなわけだ。……それにな。」
ジンバがそう返答したとき、入口のほうから声が聞こえてきた。
「それでは、時間になりました。皆さん、手を止めてください。」
制限時間が過ぎたのか、先ほどの試験官とは違う、制服を着た犬耳のギルド職員の男性がそう声をかけてきた。
「一人一品、ご自身で探された商品を職員に提出してくださいな。その際、自身の受験番号を伝えることを忘れないようにしてくださいな。」
今度は猫耳のギルド職員の女性が、大きな籠を置く。受験生から品物を受け取ると、タグをつけて籠に入れていく。
「じゃ、俺たちも納品しよう。ディーアンネさんと、ゼエツさんも、一緒に行きましょう。」
そういって俺たちは猫耳の職員に、見つけた品物を納品した。
俺たち五人が品物を納品したとき、一瞬、猫耳の職員も犬耳の職員も顔が引きつったような顔をしていたが、俺たちはそれを気に留めることもなく、試験部屋を後にした。
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「試験結果の採点の時間がありますので、申し訳ないのですがこちらでみなさん、お待ちください。お一人ずつお呼びしますので。」
今度はとても広い、待合室に案内された。一体この冒険者ギルドはどのくらいの大きさがあるのだろうか?想像もつかないな。
「筆記試験は自信があるけど、実技試験のほうは予想外の問題だったわねぇ。」
「確かにそうかもしれんが、意外と理にかなっとるかもな。」
セーブの問いに、ゼエツがそう答える。さらに続けてゼエツは
「Cランクともなれば、雑魚の退治だけが仕事じゃない。審美眼も求められてくるじゃろうからな。
そういう意味じゃ、こういう試験もアリなのかもな。」
「武勇だけじゃダメってことだね、アタイ一人じゃ、結構厳しい試験だね。協力できるってのもアタイにはありがたかったかな。」
ディーアンネはそういって、俺にウインクをしてくる。
「受験番号2番さん、どうぞ!終わりますと、この会場に戻れませんので、忘れ物をしないようにしてください。」
ギルド職員の声が室内に響く。
「2番はアタイだ。それじゃ、行ってくるかな。」
そういって席を立つディーアンネに
「ああ、そうだ。
せっかくここで会えたんだ。試験結果がよくても、悪くても、今夜は五人でパーッと飯でも行かないか?
夕方、このギルドの前で、ゼエツさんも、ディーアンネさんも。」
と俺は声をかけた。
ディーアンネは指でグッドサインを作ると、そのまま扉に向かって歩いて行った。




