名推理
「ね、これなら三人で協力してできそうだね。」
そういってエポックが声をかけてきた。その顔はうれしそうだ。
「そうね、これがみんなで殴り合いだったら困ってたわ。」
そういうセーブの顔も、一緒にできることがわかってうれしそうにしている。
周りを見渡すと、チームプレーで取り組んでいる奴もいる。もちろん個人で探している奴もいるが、周りに構わずにいろいろ物色している奴、じっくりと品定めをしている奴と様々だ。
特に壁にある武器はたくさんの人が群がっている。
「あの武器は、見ておきたいが……、待っているのは時間がもったいないか。」
「本棚に並んでいる、本も。全部価値がありそうだけど、う~ん。」
これだけの本、まともに目を通していると時間が終わってしまう。
「価値があるっていると、なにがありそうなのかな?このソファーだけでもとても高そうだけどね。」
エポックはそういってソファーに腰かけた。よく弾むソファーで、座り心地は良さそうだ。
「やっぱり本、かしらねぇ。みて、この背表紙、宝石がちりばめられているわ。」
とセーブが言うと、奥で本をあさっていた緑髪の女性の冒険者が走ってやってきて、セーブの手から持って行ってしまった。
セーブも俺もエポックもあっけにとられていた。
「油断も隙も無いわ……、で、どうしたらいいのかしらね。ジンバ。」
「うー、僕もさっぱりわからないから、ジンバに方針を決めてもらいたいな。」
方針、といってもな……。
そう思ってあたりを見渡すと、俺たち以外にも、まだ商品に群がらずにいる奴もいる。
黒いひげを蓄えたドワーフの男。彼は視線だけを武器を探っている奴らのほうに向けている。
武器を探っている奴らの様子を見て、鼻で笑っているようだ。
淡い黄色の髪をした女性、身軽そうなへそ出しルックがセクシーな彼女も、壁に寄り掛かったまま動こうとしないでいる。目を瞑って何か考えている様子だ。
(ドワーフの男、何が面白いんだ?もしかして、彼は『商品の価値がわかる』から、偽物に群がっている奴らのことがおかしくて鼻で笑ったのか?
そしてあの黄色い髪の女性は、なぜ動かないんだろう?『視覚』以外の何かの感覚で探しているのか?)
だが、しばらく眺めていても、二人とも価値のあるものを探し出した様子はない。
(と、すると、自分の力で探す「価値のある商品」の決め手に欠けているのかもしれない。だとすれば……。)
ジンバの中である作戦が思い浮かんだ。そして。
「二人とも、方針が決まったぞ。
あそこにいるドワーフのおっさん、そして黄色いセクシーなお嬢さん。あの二人に声をかけて5人のチームを作ろう。」




