トライアル
Side:セーブ
(試験問題、私のわかる範囲から出るといいわね。)
そう思って私は試験用紙を表に返す。そこに書いてあったのは
【問題:武器管理分野】という言葉であった。
(よし、これならわかるかもしれない。問題は……。)
『チタンタートルの甲羅で作った太刀の管理方法を述べなさい。』
(チタンタートルはとても硬い甲羅を持つ魔物、でも動きが遅いから狩りやすい、この甲羅の素材を使っている冒険者もいるわ。
この甲羅は硬いのだけど柔軟性がないから、なるべく鋭く砥ぐようにすればいいのよね。そして、ファッティ―ボアの油を塗っておく……、他には……うん、これならいけるかもしれない!)
セーブが試験用紙いっぱいに回答を書き始めるまで、それほど時間はかからなかった。
Side:ジンバ
(できればいい点を取りたい、筆記試験。俺の問題は……。)
ひっくり返した問題用紙に書かれていたのは
【問題:古代エルフ語分野】
『次の古代エルフ語で書かれた文を翻訳しなさい。』
そして、見たことのない言語で書かれた文章があった。
(古代エルフ語なんて、しらねぇ!)
と俺は突っ込みを入れたくなった。まだ、漢字だったらわかったのかもしれない。だが、この文字、パッと見はアルファベットのように見える。
(……まてよ、アルファベットに見えるなら、こんなのもありか?高校のころに取ったあの英語検定。しかもあんまり得意じゃなかったから三級どまりだけど。
……俺は英検3級を持っている。……なら、この英語っぽい古代エルフ語だって読める……読めたっていいじゃない!)
俺はやけくそになって念じた、すると……。
(ん?おお!『古代エルフ族に伝わる……おいしい……煮込み料理?』なんじゃこりゃ!これ、レシピなのか!なんじゃこりゃ。
でも、英検三級じゃ難しい文献は読めなかっただろうから、このくらいのレベルでよかった。とりあえず訳を書いて……っと。)
―スキル:古代エルフ語をマスターしました!
Side:エポック
(な に こ れ。)
エポックは試験問題を見て青ざめていた。
【問題:素材売買分野】
『テッキンヘラジカの角が銀貨5枚、鉄鉱石が銀貨1枚、鉄花岩が銅貨5枚で販売されています。貴方の所持金が銀貨7枚だったとして、もっと多く鉄を得られる組み合わせを書きなさい。』
(いや、知らないし!どれにどのくらい鉄が含まれてるかなんて、知らないよ!
この問題は、僕にとっては、ハズレだ!)
問題文とにらめっこをするエポック、にらめっこをしたところで問題が変わるわけでも答えが浮き上がるわけでもない。
(むむむ……、わからない……。
というか……テッキンヘラジカの角が銀貨7枚って、高いよね……、確か僕が自分で狩った時ってもっと安かったんじゃないかな?……う~ん、何も書けないならせめて!)
そう思ったエポックはともかくも筆を走らせた。
『銀貨7枚で冒険者を雇い、トースカンの林に行ってもらいます。そこにはテッキンヘラジカが生息しているので、冒険者であれば一日1匹は狩れるはずです。日当、銀貨1枚として、7匹のテッキンヘラジカの角が手に入れば、それが一番、効率的に鉄を集める方法です。』と書いた。
(これ以上のことは書けないよね。実技試験で挽回を目指そう)
と、そのまま机に突っ伏して寝てしまったのであった。




