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今は…さよなら…

作者: オカリナKakky

「起きろ!朝だ!」

団長の激しい声が鳴り響いた。


いつもなら、もう少し遅い起床になるのだが、今日は仕方ない。


そう思いながら私は目覚めの前の空白の意識の時間を刻んでいた。


「みんな、グズグズするな!早く身仕度をして集合しろ!」


再び団長の声が耳に突き刺さる。


さてと、もう起床するとしよう。


この生活を始めて数ヶ月になるが、なかなか馴れるものではない、団体生活というのは何かと不便が付きまとう。


しかしそんなことは言っていられない。私は自らの意思でこの場所へ来たのだから…。


ここは地図とやらによると北に位置するらしい、広大な平野に城を構えている。


名は「龍孤」という騎士団である。


この地を統一する為に日々、戦いが絶えない日常にあるが、もうひきかえすことはできない。


「おまえら、遅いぞ!」


さらに団長があおってきた。


周りの団員達も焦りながらまだ完全には消えぬ睡魔と戦いながら戦闘着に身を通し、集合場所であるコロシアムの広場へ行くのに必死である。


私は睡魔との戦いに勝利し、すでに身仕度を整えていた。


なぜ本日は、朝からこのようにあおられているのかといえば、


先日、我が団が得た情報として、本日の正午前に南の「猛虎」と名のる団が奇襲をかけてくるとの情報を得たからだ。


その為に、団員達は、己の国を守る為、日々訓練し続けている成果を見せようと必死なのだ。


生きて帰れる保証のない戦いに己の人生を賭け、勝利という共通の目的の為にひとりひとり自らの精神と葛藤していた。


私も、当然、その心に変わりはなかった。


しかし、私にはそれ以上の理由があったのだ。


「あと3分で集合しない者には処分を下す!」


いよいよ、団長も頭に血が上ってきている。


私は、コロシアム広場へ 他の団員にまぎれながら急いだ。


広場にはすでに多くの団員達が集結していた。


私の後からも、ようやく睡魔に打ち勝った団員達が焦った表情で広場へと滑り込んだ。


「全員揃ったようだな」


団員の声に団員は緊張し直立不動になった。


団長はいつも城の中2階に位置する、コロシアム全体が見渡せる場所から我々に声を発している。


その演説をしている団長の隣に位置する場所に女神を確認したのは、私がこの城に迷いこんだその日だった。


透き通るような白い肌、光に照らされ、輝く長い髪、吸い込まれそうな、潤んだ瞳、そう彼女はこの城のお姫様だ。


我が「龍孤」の王の娘であり、その美しさだけで団員のモチベーションを高める。


まさに女神だった。


私がこの団に入ったのも彼女がいたからだ。


彼女に決められた人はいない。


我が王の意向により、この団で最も優秀と判断された者が彼女の隣の空白の席に腰を降ろすことができるのだ。


「みんな、いつもご苦労!」


団長が語りだした。


「本日はみんなわかっているとは思うが、猛虎との戦だ」


先程まで、怒鳴り声に近かった団長の声は、少し緊張で微かにふるえていた。


「もう深く語ることはない、みんな精一杯、日頃の成果をだしてくれ。


そして一人の犠牲者を出すこともなく皆で祝杯をあげようではないか」


団長の言葉に皆が一斉に


「オー」


と拳を振り上げた。


私は女神を見た。


澄んだ瞳が微かに揺れ動いているような気がした。


その表情には皆の生還を祈っている。そのように感じられた。


心を映し出したその表情は選ばれし者しか見せることのできない、「優しさ」の表情だった。


「出発はあと1時間後とする。それまでに朝食を済ませ集合がかかるまで部屋で待機するように」


団長はその言葉を最後に中2階から姿を消した。


団員達は一斉に各自の部屋へ戻って行った。


私もその流れにのり、移動した。

しかし、私は部屋へ帰る前に厨房へ行かねばならない。


朝食を済ませるためだ。


厨房には朝食であるパンとチーズそしてサラダが用意されているのを私は知っていた。


私は団員の列からはみ出し、厨房へ向かった。


厨房へたどりつくと、団員に配られる朝食が用意されていた。


私は、その用意された朝食にむしゃぶりついた。


腹ごしらえをして戦いに勝つのだ。


そう自らの指揮を高めていた。


今の自分を全て捨てて生まれ変わりたい。


そして認められて女神の隣の空白の席に腰を降ろすことのできる素晴らしい人間になりたい…

そう願いながら、ひたすらパンにかじりついていた。


「おい!何をしてる!」


怒鳴り声の主は朝食の準備をしている団員だった。


私は驚き硬直した。


「お前か!いつも俺達の食事に手をつける奴は!この野郎!」


そう吐き捨てると、私のシッポを掴み身体ごと地面に叩きつけた。


身体中の骨が砕けた音がした。


「このネズミめ、思いしらせてやる」


そう言いながらさらに、私の身体と同じくらいのサイズの靴の裏で踏み付けた。


骨だけではなく内臓も潰された。


私は、もうろうとする意識の中で、少し光を見たような気がした。


これで私の願いが叶うのかな…生まれ変わって、そして…


薄れてゆく意識の中で、お姫様の笑顔を思い浮かべた。


そして、その幻影を見つめながら、あなたを守る為、必ず帰ってる…


そう誓った。

だから、その日まで


今は…さよなら


もう、そろそろ意識はなくなる…


さあ、お家へ帰ろう…


家族は心配してるだろうな…


今日の晩御飯なんだろな…


「起きろ!朝だ!」

団長の激しい声が鳴り響いた。


いつもなら、もう少し遅い起床になるのだが、今日は仕方ない。


そう思いながら私は目覚めの前の空白の意識の時間を刻んでいた。


「みんな、グズグズするな!早く身仕度をして集合しろ!」


再び団長の声が耳に突き刺さる。


さてと、もう起床するとしよう。


この生活を始めて数ヶ月になるが、なかなか馴れるものではない、団体生活というのは何かと不便が付きまとう。


しかしそんなことは言っていられない。私は自らの意思でこの場所へ来たのだから…。


ここは地図とやらによると北に位置するらしい、広大な平野に城を構えている。


名は「龍孤」という騎士団である。


この地を統一する為に日々、戦いが絶えない日常にあるが、もうひきかえすことはできない。


「おまえら、遅いぞ!」


さらに団長があおってきた。


周りの団員達も焦りながらまだ完全には消えぬ睡魔と戦いながら戦闘着に身を通し、集合場所であるコロシアムの広場へ行くのに必死である。


私は睡魔との戦いに勝利し、すでに身仕度を整えていた。


なぜ本日は、朝からこのようにあおられているのかといえば、


先日、我が団が得た情報として、本日の正午前に南の「猛虎」と名のる団が奇襲をかけてくるとの情報を得たからだ。


その為に、団員達は、己の国を守る為、日々訓練し続けている成果を見せようと必死なのだ。


生きて帰れる保証のない戦いに己の人生を賭け、勝利という共通の目的の為にひとりひとり自らの精神と葛藤していた。


私も、当然、その心に変わりはなかった。


しかし、私にはそれ以上の理由があったのだ。


「あと3分で集合しない者には処分を下す!」


いよいよ、団長も頭に血が上ってきている。


私は、コロシアム広場へ 他の団員にまぎれながら急いだ。


広場にはすでに多くの団員達が集結していた。


私の後からも、ようやく睡魔に打ち勝った団員達が焦った表情で広場へと滑り込んだ。


「全員揃ったようだな」


団員の声に団員は緊張し直立不動になった。


団長はいつも城の中2階に位置する、コロシアム全体が見渡せる場所から我々に声を発している。


その演説をしている団長の隣に位置する場所に女神を確認したのは、私がこの城に迷いこんだその日だった。


透き通るような白い肌、光に照らされ、輝く長い髪、吸い込まれそうな、潤んだ瞳、そう彼女はこの城のお姫様だ。


我が「龍孤」の王の娘であり、その美しさだけで団員のモチベーションを高める。


まさに女神だった。


私がこの団に入ったのも彼女がいたからだ。


彼女に決められた人はいない。


我が王の意向により、この団で最も優秀と判断された者が彼女の隣の空白の席に腰を降ろすことができるのだ。


「みんな、いつもご苦労!」


団長が語りだした。


「本日はみんなわかっているとは思うが、猛虎との戦だ」


先程まで、怒鳴り声に近かった団長の声は、少し緊張で微かにふるえていた。


「もう深く語ることはない、みんな精一杯、日頃の成果をだしてくれ。


そして一人の犠牲者を出すこともなく皆で祝杯をあげようではないか」


団長の言葉に皆が一斉に


「オー」


と拳を振り上げた。


私は女神を見た。


澄んだ瞳が微かに揺れ動いているような気がした。


その表情には皆の生還を祈っている。そのように感じられた。


心を映し出したその表情は選ばれし者しか見せることのできない、「優しさ」の表情だった。


「出発はあと1時間後とする。それまでに朝食を済ませ集合がかかるまで部屋で待機するように」


団長はその言葉を最後に中2階から姿を消した。


団員達は一斉に各自の部屋へ戻って行った。


私もその流れにのり、移動した。

しかし、私は部屋へ帰る前に厨房へ行かねばならない。


朝食を済ませるためだ。


厨房には朝食であるパンとチーズそしてサラダが用意されているのを私は知っていた。


私は団員の列からはみ出し、厨房へ向かった。


厨房へたどりつくと、団員に配られる朝食が用意されていた。


私は、その用意された朝食にむしゃぶりついた。


腹ごしらえをして戦いに勝つのだ。


そう自らの指揮を高めていた。


今の自分を全て捨てて生まれ変わりたい。


そして認められて女神の隣の空白の席に腰を降ろすことのできる素晴らしい人間になりたい…

そう願いながら、ひたすらパンにかじりついていた。


「おい!何をしてる!」


怒鳴り声の主は朝食の準備をしている団員だった。


私は驚き硬直した。


「お前か!いつも俺達の食事に手をつける奴は!この野郎!」


そう吐き捨てると、私のシッポを掴み身体ごと地面に叩きつけた。


身体中の骨が砕けた音がした。


「このネズミめ、思いしらせてやる」


そう言いながらさらに、私の身体と同じくらいのサイズの靴の裏で踏み付けた。


骨だけではなく内臓も潰された。


私は、もうろうとする意識の中で、少し光を見たような気がした。


これで私の願いが叶うのかな…生まれ変わって、そして…


薄れてゆく意識の中で、お姫様の笑顔を思い浮かべた。


そして、その幻影を見つめながら、あなたを守る為、必ず帰ってる…


そう誓った。

だから、その日まで


今は…さよなら


もう、そろそろ意識はなくなる…


さあ、お家へ帰ろう…


家族は心配してるだろうな…


今日の晩御飯なんだろな…


「起きろ!朝だ!」

団長の激しい声が鳴り響いた。


いつもなら、もう少し遅い起床になるのだが、今日は仕方ない。


そう思いながら私は目覚めの前の空白の意識の時間を刻んでいた。


「みんな、グズグズするな!早く身仕度をして集合しろ!」


再び団長の声が耳に突き刺さる。


さてと、もう起床するとしよう。


この生活を始めて数ヶ月になるが、なかなか馴れるものではない、団体生活というのは何かと不便が付きまとう。


しかしそんなことは言っていられない。私は自らの意思でこの場所へ来たのだから…。


ここは地図とやらによると北に位置するらしい、広大な平野に城を構えている。


名は「龍孤」という騎士団である。


この地を統一する為に日々、戦いが絶えない日常にあるが、もうひきかえすことはできない。


「おまえら、遅いぞ!」


さらに団長があおってきた。


周りの団員達も焦りながらまだ完全には消えぬ睡魔と戦いながら戦闘着に身を通し、集合場所であるコロシアムの広場へ行くのに必死である。


私は睡魔との戦いに勝利し、すでに身仕度を整えていた。


なぜ本日は、朝からこのようにあおられているのかといえば、


先日、我が団が得た情報として、本日の正午前に南の「猛虎」と名のる団が奇襲をかけてくるとの情報を得たからだ。


その為に、団員達は、己の国を守る為、日々訓練し続けている成果を見せようと必死なのだ。


生きて帰れる保証のない戦いに己の人生を賭け、勝利という共通の目的の為にひとりひとり自らの精神と葛藤していた。


私も、当然、その心に変わりはなかった。


しかし、私にはそれ以上の理由があったのだ。


「あと3分で集合しない者には処分を下す!」


いよいよ、団長も頭に血が上ってきている。


私は、コロシアム広場へ 他の団員にまぎれながら急いだ。


広場にはすでに多くの団員達が集結していた。


私の後からも、ようやく睡魔に打ち勝った団員達が焦った表情で広場へと滑り込んだ。


「全員揃ったようだな」


団員の声に団員は緊張し直立不動になった。


団長はいつも城の中2階に位置する、コロシアム全体が見渡せる場所から我々に声を発している。


その演説をしている団長の隣に位置する場所に女神を確認したのは、私がこの城に迷いこんだその日だった。


透き通るような白い肌、光に照らされ、輝く長い髪、吸い込まれそうな、潤んだ瞳、そう彼女はこの城のお姫様だ。


我が「龍孤」の王の娘であり、その美しさだけで団員のモチベーションを高める。


まさに女神だった。


私がこの団に入ったのも彼女がいたからだ。


彼女に決められた人はいない。


我が王の意向により、この団で最も優秀と判断された者が彼女の隣の空白の席に腰を降ろすことができるのだ。


「みんな、いつもご苦労!」


団長が語りだした。


「本日はみんなわかっているとは思うが、猛虎との戦だ」


先程まで、怒鳴り声に近かった団長の声は、少し緊張で微かにふるえていた。


「もう深く語ることはない、みんな精一杯、日頃の成果をだしてくれ。


そして一人の犠牲者を出すこともなく皆で祝杯をあげようではないか」


団長の言葉に皆が一斉に


「オー」


と拳を振り上げた。


私は女神を見た。


澄んだ瞳が微かに揺れ動いているような気がした。


その表情には皆の生還を祈っている。そのように感じられた。


心を映し出したその表情は選ばれし者しか見せることのできない、「優しさ」の表情だった。


「出発はあと1時間後とする。それまでに朝食を済ませ集合がかかるまで部屋で待機するように」


団長はその言葉を最後に中2階から姿を消した。


団員達は一斉に各自の部屋へ戻って行った。


私もその流れにのり、移動した。

しかし、私は部屋へ帰る前に厨房へ行かねばならない。


朝食を済ませるためだ。


厨房には朝食であるパンとチーズそしてサラダが用意されているのを私は知っていた。


私は団員の列からはみ出し、厨房へ向かった。


厨房へたどりつくと、団員に配られる朝食が用意されていた。


私は、その用意された朝食にむしゃぶりついた。


腹ごしらえをして戦いに勝つのだ。


そう自らの指揮を高めていた。


今の自分を全て捨てて生まれ変わりたい。


そして認められて女神の隣の空白の席に腰を降ろすことのできる素晴らしい人間になりたい…

そう願いながら、ひたすらパンにかじりついていた。


「おい!何をしてる!」


怒鳴り声の主は朝食の準備をしている団員だった。


私は驚き硬直した。


「お前か!いつも俺達の食事に手をつける奴は!この野郎!」


そう吐き捨てると、私のシッポを掴み身体ごと地面に叩きつけた。


身体中の骨が砕けた音がした。


「このネズミめ、思いしらせてやる」


そう言いながらさらに、私の身体と同じくらいのサイズの靴の裏で踏み付けた。


骨だけではなく内臓も潰された。


私は、もうろうとする意識の中で、少し光を見たような気がした。


これで私の願いが叶うのかな…生まれ変わって、そして…


薄れてゆく意識の中で、お姫様の笑顔を思い浮かべた。


そして、その幻影を見つめながら、あなたを守る為、必ず帰ってる…


そう誓った。

だから、その日まで


今は…さよなら


もう、そろそろ意識はなくなる…


さあ、お家へ帰ろう…


家族は心配してるだろうな…


今日の晩御飯なんだろな…


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