第3話-PvP
戦闘って難しい……。
主人公、初の対人戦です!
足が地面についた感覚と共に体を覆ってたであろう光が消える。
前を見ると人、人、人。
「ここからどうやって動こう」
……取り敢えず今いる広場から脱出しよう。
と思って歩き始めたらなんか皆んな避けてくれる。
そんなに威圧感無いはずなのに。無いよね?
広場から抜け出したので周りを見回してみる。
建物に街の住民と思われしNPC?身体を撫でるように吹いてくる風、全て現実と変わらない。
最新の技術に感動しているとそれを妨げるような声が聞こえた。
「ちょっと!私は人を待ってるって言ってるでしょ?」
「じゃあフレンドにだけでもならない?俺ってβテスターだからさぁ?きっと役に立つよ?」
ナンパか。しつこいタイプの。してる方は表情に違和感有りまくりの金髪イケメンだが、されてる方は普通に可愛い。表情に違和感も無い。
付き纏われてる少女が可哀想なので助けに行こうと思ったら新たなイケメン登場。銀髪の少年の表情に違和感の無い真のイケメンだ。
「そいつは俺の連れなんだが」
「やっぱりこんな冴えない奴じゃ頼りないって。俺、βテスターだしな?」
俺の出番は無しか。てか、銀髪の少年のどこが冴えないんだ。俺に喧嘩売ってる?
しかもβテスター強調しすぎだろ。
「じゃあPvPしてみれば良いじゃん!絶対ディゼオが勝つんだから!」
「お!いいジャン!じゃあ全所持金賭けてPvPしよう!」
……わけ分からん状況に進んでる。でも銀髪少年、名前はディゼオらしい、はPvPを受けるそうだ。
ヤバそうだったら助けに入ろう。
そんな事考えてるといつの間にかPvP開始5秒前に
『4.3.2.1……ポー』
と気の抜ける音と共に両者とも走り始める。得物は金髪イケメンが大剣でディゼオは片手剣らしい。
野次馬も増えてる。
金髪イケメンの方が装備が強そうだが、ディゼオはリアルで運動できるらしく大剣をヒョイヒョイと避けている。ついでに俺はディゼオより装備が弱そうである。始めてから防具も武器も買ってないからな。
「これで、終わりぁぁ!」
まだ一発も当たってないのに金髪は終わり発言。しかも外した。
「よいしょっと」
ディゼオは金髪の首に剣を突き刺す。
金髪はポリゴンになって消え……ずにディゼオから離れた所に尻もちついた体制になっていた。
『プレイヤー〔ディゼオ〕の勝利です』
とデカデカと書かれているから金髪は負けたんだろう。
「いや、おかしいだろ!俺がこんな簡単に負けるはずが無い!」
金髪はまだ喚いている。でも所持金没収は可哀想すぎるから助けに入る。モチロン金髪を
「全部没収は流石に可哀想だから4分の1でも返してやれ。いいだろ?おっと、俺はアルテマだ」
「いいけど、オッサンはこいつの知り合い?」
「いや、見たのも今日が初めて」
俺はオッサンと言える歳じゃねえ!!もう一度だ。
俺はオッサンと言える歳じゃねえ!!
「だが、せっかくゲームを買ったのに1回の失敗で楽しめなくなるのは辛いだろう?」
「……そうだな。5分の1は返してやろう。」
「それでいいと思うぞ」
返すんだったら十分だ。
「おいおい!何勝手に話し進めてんだ?オッサン!俺が負けたのはこいつがズルしたせいだ!だから財産を払う必要はねえ!」
「いや、お前が弱いからだろう?」
オッサン言うな。てか幼児じゃないんだから駄々こねるなよ。
「じゃあオッサンが俺と戦って確かめてくれよ!いいだろ?」
こいつの頭ではGM呼ぶという手段が思いつかないのか。
しかもPvPの設定に全財産を賭ける、て出てるし。
「いいぞ」
搾り取ろう。
「よっしゃ!」
『10.9……』
カウントダウンがの音をバックにイケメンは挑発してくる
「オッサンバカじゃないのか?さっきの冴えない銀髪より装備が貧弱なオッサンが勝てるわけないだろ?しかも武器が斧じゃねえか!」
……ウゼェ。だが大人の対応を心がける。
『……3.2.1……ポー』
相変わらず気の抜ける音だが、気にせずに金髪を見る。いや、気にしてるか。
「死ねぇ!オッサァァン!」
大振りな攻撃。どうせ1撃くらったら負けるんだしアレ使おう。
「狂鬼化、発動」
体が軽い。そして赤いオーラを纏ってる気がする。
「灯火」
「アッツ!」
あ、灯火使ってから狂鬼化使えば良かった。
灯火に驚いて下がった金髪に追撃。
「トマホーク!」
斧を投げる。が、肩に掠っただけだった。でも、だいぶダメージ入ったな
「やっぱオッサン馬鹿だろ!武器を投げるとかさぁ?最後だ!」
突っ込んでくる金髪。斧がないなら相手を蹴れば良いじゃない。
「ラァッッ!」
ん?フルスイングとかトマホークとかと同じような感覚。キックか?
技の名前を声に出さなくてもいいのか。
「ゲボッ!」
首に直撃。灯火とトマホークで大分削れてたHPが吹き飛んだ。
『プレイヤー〔アルテマ〕勝利です』
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