母という生き物は寛大すぎて泣けるのだが時としてウザいラスト
翌日。
「あー、いいんじゃない?私まだまだ家に帰る余裕できないし。生活費足りなくなるようだったら言ってね、女の子ばっかりだといろいろ必要になると思うから。尚李、あんた、ちゃーんとみんなのこと守りなさいね?」
かくして、リリトナとヴェリーチェは『留学生』として我が家に居候することが、母の了承を得て正式に決定したのであった。その後、写真を撮ってメールで送れというメールが来たので、俺以外の三人の写真を撮り、母に送る。
直後再び電話が掛かってきたのだが、仕事がどうだとか日本が恋しいとかなんだとかまあいつも通りの会話になっていた。
電話を切る直前、最後に付け加えられた一言。
「可愛いからって、手ぇ出しちゃ駄目よ?」
「うっせ」
「あはは!奥出な尚李には無理って話か…全く、そんなところもあの人に似ちゃって」
「え?」
「…尚李」
「…何?」
「…ううん、何でもない。とにかく、がんばんなさい!」
そうして電話は切られた。
…さっきの、父さんのことだよな。
「兄さん、お母さんなんだって?」
「ああ、久々に知佳の顔が見られて嬉しかったーってさ」
「うひょー!これはひとたまりもないわい!」
「知佳、言葉遣い。ってかもはや意味すら不明」
有紗に、知佳の言葉遣いの矯正を頼もう…。
「…尚李達の母か。会ってみたい気もするな」
「ああ、写真ならあるぞ」
携帯に保存されている写真を開き、リリトナに見せる。
「…これは、知佳ではないのか?」
「やっぱそう見えるか?似てるんだよなー。俺は父さん似だって母さんによく言われる」
「そうか。父の写真は無いのか?」
「あー…言ってなかったっけ。うち、父さん亡くなってるんだ。もう十数年前だな」
「…すまぬ。余計な詮索をした」
うーん、別に気にしてる訳じゃないんだけどな。初めて言ったんだし。
「そんなことよりご飯にしようよ!」
ヴェリーチェがひょい、と現れる。
「そんなこととは何だ、失礼だぞ」
一言叱るあたり、ちゃんとお姉さんしてるんだなと思う。
「ってかヴェリーチェ…キャラがだいぶ変わってるな…?」
「は?素のあたしはこっちだし。お嬢様してるの、疲れるんだよねー。時々言葉遣い間違うし、もうやってらんなーい」
「こらヴェリーチェ…まあ、こっちにいる間は許してあげるわ。でも、必要な時はちゃんとした言葉を使いなさい。そういうスキルも、王女として持ち合わせていなければいけないものよ?」
「はーい!ね、尚李。何か美味いもん食わせろー!」
「知佳ちゃんにも食わせろー!」
「はいはい…」
元気な妹が二人になった。
「全くもう、ヴェリーチェったら…」
と、優しく微笑むリリトナ。
あの時…ケニーに選択を迫られた時。
今考えれば、あれで良かったと思う。
お陰で…賑やかで、楽しい。
そう伝えたくても、俺の中にケニーの気配を感じ取ることは出来ない。完全に俺の中に取り込まれ、俺のための魔力として息づいている。
不安がないと言えば嘘になる。
でも、そればかりに気を取られていたら、目の前にある小さな幸せも見逃してしまうかもしれなくて。
だから、どんな不運を引き寄せても、気にしないで前に進んでいくんだ。
「尚李」
「なーおりっ!」
リリトナとヴェリーチェに呼び止められ振り向くと、真っ直ぐな瞳で俺を見つめる。
「ん、何だ?」
「これから、よろしくお願いします。姉妹共々、お世話になります」
「最後に丁寧とかずるいだろ」
END
続きは気が向いたら!キャラ位置は確定しているのであとは使いよう。




