みんなへ 2
仲間はね。
欲しいって思うけど、仲間を作ったら、もっと寂しくなるんだ。
その理由。
それはね。
同じ場所に、2、3年しかいないから。
友達作って仲良くしてたら、引っ越すときにもっと悲しいでしょ?
それに、今までに以上のみんなの悲しい顔見たくないから。
ボクはずっと一人でいいんだ、そう思っていた。
そう、思ってたんだ。
入江刹希さん、君が来るまでは。
一週間前、入江刹希さんが初めて教室にやって来た。
入江さんは、初め、一瞬だけだったけれどボクと同じ匂いがした。
だから仲良くなれるかもって思ってた。
けれど、入江さんは、一週間たった今、人の輪の中にいる。
やっぱり、入江さんは違う種類の人だった。
と思っていたけど、同じかもしれない。
だって、友達に囲まれてない時間は教室にいない。
大抵、入江さんは屋上に一人で寝そべって、青空を見てるんだ。
何してるの?
ってきいたことがある。
自分から話しかけたのは、1年ぶりかもしれない。
そしたら、入江さんは
一人の時間も必要なのよ。でも、あなたには、たくさんの人とふれあう時間も必要ね。
と笑いながら言っていた。それで
私が最初の友達になってあげる
と言い出したんだ。
ボクは
ありがとう。入江さん。
なんとなくぎこちなく挨拶していた。
入江さんはボクの初めてのちゃんとしたお友達だ。