眠たい放課後……
「……はぁ~」
欠伸をしながら夕焼けに染まった道を、俺はゆっくりと歩く。
本当ならもう少し早く帰れたのだが、俺は教室に入る日差しの暖かさに負けて寝てしまった。
夏が終わり秋に季節が移り変わる時期は、妙に気温が暑すぎない為に寝やすい。
春の方が寝やすそうだが、秋も春みたいに寝やすいのだ。
普通だったら寝ることはないだろう。
だがしかし俺は、その原因を作っていた。
――夜更ししたせいだろうな……。
昨夜読んでいた小説が気になり、夜遅くまで読んでいた事だ。
その為、睡眠時間が減り放課後に寝てしまったという、なんとも俺らしい理由だった。
授業中に寝なかっただけ、自分自身を褒めてやりたい。
「……ふぁ~」
まだ寝たりないのか、再度口が大きく開かれ欠伸が出る。
もし許されるなら、ここで寝てしまいたいが、生憎と歩道だ。
眠れない事はないが、周囲からの痛い視線を受ける事になるだろう。
生憎と、そんな視線を受ける気もなければ、羞恥プレイをする気もない。
家に帰るまでの辛抱だ……。
そう思いながら俺は携帯を弄り、聞いている音楽を変える。
耳に入る音楽が変わり、良いリズムを刻み始めた。
しかしリズムが一定のせいか、徐々に眠くなっていく。
――おっと。
少々歩き方がふらつき始めた。
身体が危険を感じたため、一瞬で眠気が吹き飛ぶ。
――危ない、危ない……。
そう思い、また歩き始める。
だが眠気というものは、安心した瞬間に襲ってくるようだ。
再度俺は、ふらついた。
「ただいま……」
何事も無く、俺は無事に家についた。
途中で事故に合う事もなく、いたって平穏。
無事という言葉以外で表す事が出来ないほど、普通に帰ってこれた。
多少危険な事はあったが、事故も怪我もしていない。
おかげで眠いが、多少理性は残っているようだ。
俺は玄関を開けた時に使った鍵をポケットに仕舞い、内側から玄関に鍵を占める。
「……」
誰もいないのか、家の中は静か。
人の気配が分かれば面白いかもしれないが、生憎と俺にはそんな特殊能力や厨二と言われそうな設定はない。
靴を脱ぎ、玄関に揃えてから部屋に向かう。
家の外から、車の音や人の声などが聞こえる。
だが、眠たい俺にとっては気になる事もない雑音だ。
二階にある自室に行くため、玄関前にある階段を上っていく。
――眠い……。
必死に眠気を抑えて帰ってきた為、階段の手すりを掴んで上っていく。
無事に二階につくと自室のドアを開け、俺はカバンを机の近くに放り投げた。
中に大事な物は入っていないため、別にいいだろう。
「ねぇむ……」
若干鈍ったが、眠いと俺は言う。
それほど眠いということだ。
俺は学生服を着たまま、ベッドに横になった。
――やっぱり、夜更しはしないほうがいいな……。
そう思いながら、俺は意識と手放し夢の世界へ旅立った……。
「一夜~?」
その呼びかけに、俺は目を覚ます。
母が俺を呼んだのだろう……。
俺は目を覚ました。
窓から見える空は、夕暮れから夜空に変わっている。
――何時間寝てたんだ?
ポケットに入れたままの携帯を取り出し、時間を確認。
「一夜?」
「お~ぅ」
適当に返事しておく。
すると朝同様に返事があった為、母は何も言わなくなった。
携帯の時刻が変わる。
晩ご飯には良い時間を、携帯の時計は指していた。
――寝れたから、少しはマシになったかな?
肩を回してから首も回す。
「……よし」
そう言って、俺はベッドから出て台所に向かった。
「あ、一夜。 これ運んで」
台所に入った瞬間に、俺は母にお願いされた。
母が指差す場所には作られた料理がある。
「はいはい……」
「はいと言うの、一回で良いって習わなかった?」
「……知ってるよ」
そう言いながらも、俺は料理の皿を食卓に運んでいく。
「あ、今日お父さんの帰り遅いから……」
運んでる中、母はそう言った。
流石に運んでいる途中に振り返るのは危ないため、食卓においてから振り返る。
「残業?」
「そうみたいよ」
母は困った顔をしながら、エプロンを外す。
そのまま近くにエプロンを起き、炊飯器の前においていた茶碗にご飯をついでいく。
「あとお母さんも、この後出かけるから」
ご飯をついだ茶碗を食卓に置く。
「……何かあったっけ?」
「町内会」
「なるほど……」
母の言葉に納得し、箸立てから自分の箸を取りご飯に伸ばした。
「じゃ、食器お願いね」
「はいよ……」
「いってきま~す」
そう言って、母は出かけた。
――んじゃ、やりますか……。
制服を脱ぎ、Yシャツも腕まくりする。
そして食器を台所の流しに持っていき、俺は食器を洗い始めた。
先に油が付いて無い物を洗い、カゴの中に入れる。
「~♪」
もちろんただ洗うだけでは暇な為、携帯で音楽を聴きながら洗う。
上手くない歌唱力で聞いている音楽を歌い、食器を洗っていく。
わずか数分で、まだ食べていない父の食器を除く食器を洗い終えた。
――さてと、小説を読むか……。
近くにあったタオルで手を拭いて、自室に戻った。
こうして俺の一日は、何時ものように終わっていく。