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『死人』と呼ばれる彼女は小説家志望  作者: 葵 束
第一章 死人の彼女
5/7

眠たい放課後……

「……はぁ~」

 欠伸をしながら夕焼けに染まった道を、俺はゆっくりと歩く。

 本当ならもう少し早く帰れたのだが、俺は教室に入る日差しの暖かさに負けて寝てしまった。

 夏が終わり秋に季節が移り変わる時期は、妙に気温が暑すぎない為に寝やすい。

 春の方が寝やすそうだが、秋も春みたいに寝やすいのだ。

 普通だったら寝ることはないだろう。

 だがしかし俺は、その原因を作っていた。

 ――夜更ししたせいだろうな……。

 昨夜読んでいた小説が気になり、夜遅くまで読んでいた事だ。

 その為、睡眠時間が減り放課後に寝てしまったという、なんとも俺らしい理由だった。

 授業中に寝なかっただけ、自分自身を褒めてやりたい。

「……ふぁ~」

 まだ寝たりないのか、再度口が大きく開かれ欠伸が出る。

 もし許されるなら、ここで寝てしまいたいが、生憎と歩道だ。

 眠れない事はないが、周囲からの痛い視線を受ける事になるだろう。

 生憎と、そんな視線を受ける気もなければ、羞恥プレイをする気もない。

 家に帰るまでの辛抱だ……。

 そう思いながら俺は携帯を弄り、聞いている音楽を変える。

 耳に入る音楽が変わり、良いリズムを刻み始めた。

 しかしリズムが一定のせいか、徐々に眠くなっていく。

 ――おっと。

 少々歩き方がふらつき始めた。

 身体が危険を感じたため、一瞬で眠気が吹き飛ぶ。

 ――危ない、危ない……。

 そう思い、また歩き始める。

 だが眠気というものは、安心した瞬間に襲ってくるようだ。

 再度俺は、ふらついた。




「ただいま……」

 何事も無く、俺は無事に家についた。

 途中で事故に合う事もなく、いたって平穏。

 無事という言葉以外で表す事が出来ないほど、普通に帰ってこれた。

 多少危険な事はあったが、事故も怪我もしていない。

 おかげで眠いが、多少理性は残っているようだ。

 俺は玄関を開けた時に使った鍵をポケットに仕舞い、内側から玄関に鍵を占める。

「……」

 誰もいないのか、家の中は静か。

 人の気配が分かれば面白いかもしれないが、生憎と俺にはそんな特殊能力や厨二と言われそうな設定はない。

 靴を脱ぎ、玄関に揃えてから部屋に向かう。

 家の外から、車の音や人の声などが聞こえる。

 だが、眠たい俺にとっては気になる事もない雑音だ。

 二階にある自室に行くため、玄関前にある階段を上っていく。

 ――眠い……。

 必死に眠気を抑えて帰ってきた為、階段の手すりを掴んで上っていく。

 無事に二階につくと自室のドアを開け、俺はカバンを机の近くに放り投げた。

 中に大事な物は入っていないため、別にいいだろう。

「ねぇむ……」

 若干鈍ったが、眠いと俺は言う。

 それほど眠いということだ。

 俺は学生服を着たまま、ベッドに横になった。

 ――やっぱり、夜更しはしないほうがいいな……。

 そう思いながら、俺は意識と手放し夢の世界へ旅立った……。




「一夜~?」

 その呼びかけに、俺は目を覚ます。

 母が俺を呼んだのだろう……。

 俺は目を覚ました。

 窓から見える空は、夕暮れから夜空に変わっている。

 ――何時間寝てたんだ?

 ポケットに入れたままの携帯を取り出し、時間を確認。

「一夜?」

「お~ぅ」

 適当に返事しておく。

 すると朝同様に返事があった為、母は何も言わなくなった。

 携帯の時刻が変わる。

 晩ご飯には良い時間を、携帯の時計は指していた。

 ――寝れたから、少しはマシになったかな?

 肩を回してから首も回す。

「……よし」

 そう言って、俺はベッドから出て台所に向かった。


「あ、一夜。 これ運んで」

 台所に入った瞬間に、俺は母にお願いされた。

 母が指差す場所には作られた料理がある。

「はいはい……」

「はいと言うの、一回で良いって習わなかった?」

「……知ってるよ」

 そう言いながらも、俺は料理の皿を食卓に運んでいく。

「あ、今日お父さんの帰り遅いから……」

 運んでる中、母はそう言った。

 流石に運んでいる途中に振り返るのは危ないため、食卓においてから振り返る。

「残業?」

「そうみたいよ」

 母は困った顔をしながら、エプロンを外す。

 そのまま近くにエプロンを起き、炊飯器の前においていた茶碗にご飯をついでいく。

「あとお母さんも、この後出かけるから」

 ご飯をついだ茶碗を食卓に置く。

「……何かあったっけ?」

「町内会」

「なるほど……」

 母の言葉に納得し、箸立てから自分の箸を取りご飯に伸ばした。




「じゃ、食器お願いね」

「はいよ……」

「いってきま~す」

 そう言って、母は出かけた。

 ――んじゃ、やりますか……。

 制服を脱ぎ、Yシャツも腕まくりする。

 そして食器を台所の流しに持っていき、俺は食器を洗い始めた。

 先に油が付いて無い物を洗い、カゴの中に入れる。

「~♪」

 もちろんただ洗うだけでは暇な為、携帯で音楽を聴きながら洗う。

 上手くない歌唱力で聞いている音楽を歌い、食器を洗っていく。

 わずか数分で、まだ食べていない父の食器を除く食器を洗い終えた。

 ――さてと、小説を読むか……。

 近くにあったタオルで手を拭いて、自室に戻った。




 こうして俺の一日は、何時ものように終わっていく。

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