13 魔法バトル大会(ショー) 一幕目 中幕 VSリクスト
そう、俺の作戦の本丸の大きい軸としては、水を体内にねじ込む溺死ではなく、そう思わせての後ろからのフェアズンウォールである。これですりつぶす。申し訳ないが、殺させてもらう作戦である。
ウェント:「やっぱり、君は気づいていないようだ。」
そう、こう話しておくことで少しリクストに余裕を持たせていく。いいぞ...このままなら行ける...!
ポチャッ
リクスト:「なんの音だ!?」
まずい、フェアズンウォールがばれた!このままでは作戦が破綻してしまう!
リクスト:「あなたはそう言う人なのか...あなたを分析できてきました。ここからは、また僕が攻めていきますよ。」
ウェント:「いいや、ここからも主導権を握るのは俺だね。」
すでにあと2個罠を仕掛けてある。もしこれに引っ掛かったら...という感じだ。
そして、分析終了という言葉も聞いて、この行動に確信、勇気を持てた。ここからは...罠に招き入れながら、でたらめに攻撃をする!
ウェント:「フェアズンウォール、フェアズンウォール、フェアズン―」
なぜかというと、分析タイプにはでたらめな攻撃が効きやすいからである。分析を完全にしたあとなら尚更だ。
リクスト:まずい!攻撃する隙がない!まさか、こんなでたらめな攻撃に主導権を握られている!いや...
ウェント:「おい!さっきまでは君のテンポだったのに、すっかり俺のテンポだな!」
これはさすがに行ける!こいつには勝った...!
「うっ!ぐ、ぐばっ!」
実況:[入ったー!遂に致命傷が入ったのは、ウェントブルド選手だ!]
なんだ!なんだなんだなんだなんだなんだ!何をした!俺の攻撃に隙はなかったはず...
解説:{いやー、リクスト選手の技ありですね。あの猛攻のなか、一瞬の隙で水鉄砲を差し込んでいた。適当に放っていたとしても、かなり運がいいと言えるでしょう。}
差し込んでいた...!?そんな、実質幸運によってやられたも同然じゃないか!そんなの、許せない...
リクスト:「さすがにもうきついですか?水とはいえ、銃弾レベルの威力ですもんね。」
こいつ、余裕になってまた敬語に戻りやがった...腹立つ。
しかし、
ウェント:「お、俺はまだ戦える。続けよう...勝負を。ここから...ここから...ここから本気だしていくぜ...」
リクスト:「もう満身創痍なんじゃないですか?別にいいですけど。」
俺は負けられない。せめて、初戦で負けるなんてもっとだめだ。
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俺は、25年前、少しはなれた町、ゼウシアに生まれた。
しかし、その時にはもう既に父親は死んでしまっていた。いや、正確にはそのすぐ前に死んでいた。同時と言ってもいいほどの時間に。なぜかというと、その頃にあった領地を取り合う戦争へ行っていたのだ。
俺としては、特になにも感じなかった。そこまで意味も理解できなかったし、正直知らない人が死んだと言われても、そこまで興味は湧かないのと同じだ。
しかし、母は違った。俺の母は、父を本当に愛していた。
そのため、父が亡くなったことを泣いて、喚いて、嘆いていて、戦争に毎日非協力的だったらしい。そうやって心を落ち着きもしないのに落ち着かせようとしていたとき、戦争が終結した。
その悲しみの矛先は、向かうところを失ってしまったのだ。
そこからという日、いつも母は元気がなく、鬱で、自殺未遂をしたということも聞いた。
そんな、矛先を失うことになった感情という鋭い矛の矛先は、遂に子供の俺に向いてしまった。
その日から、俺がこうやってこっちにくるまで、来る日も来る日も、児童虐待が続いてしまった。その酷さは、15歳くらいになってからは、朝から夜まで外でふらつくような日すらできてしまう程だった。
そんなとき、この魔法試験のことを町の掲示板で見つけた。そんなときには、もう24歳になっていた。そこから、俺は魔法の訓練をして、訓練をして、訓練をした。
そして、遂にこの日が来た。長く、しかし虐待を受けていたあの退屈で、きつくて、本当に死にたいと思っていたあの日に比べたら、ものすごく短い訓練の1年間だった。
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ウェント:「きっつい25年だったよ!ただ、この試験で全て終わらせる!この試験を合格し、見直させて、あばよくば母から自分を守る魔法を見に来たんだ!ここで死んでも意味ねーんだよ!ここは、死ぬ気で生きる!」
リクスト:「知らないんですよ、あなたの過去やらなんやらなんて!私はこの勝負、勝たせてもらいます!」
そうして俺たちは、最後の攻防を始めた。
補足というか、余談というか...タイム
ウェントのこの俺や、ウェーイって感じの性格は、子供の頃の虐待によって弱く見られたのが悔しく、自分を強く見せたかったから。




