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魔工博士サンドラ その2

 轟音が鳴り響き、大地が砕けて、土煙が上がる。


 レイラは巨大なゴーレムの腕が衝突する寸前に、地面を蹴って横にジャンプし、攻撃を回避していた。しかし地面を砕いたゴーレムは、素早く身体を振り向けると、着地したレイラに向かって殴りかかる。


 ふたたびジャンプして避けるレイラ、さらに追撃するゴーレム。レイラの回避とゴーレムの追撃が目まぐるしく続く。思わずポッカは心の中で呟いた。

 

(あんなに大きいのにものすごく速い!)


 ゴーレムの攻撃が当たるたび、地面は砕け木々はなぎ倒される。根本から折れた大きな木が目の前にズシン、と倒れて、ポッカは思わず尻もちをついた。それを見たレイラが舌打ちする。


「ちっ、このままじゃポッカが危ない!」


 レイラはポッカを戦闘に巻き込まないよう、地面を大きく蹴って遠くへジャンプした。操縦型のゴーレムに乗っているサンドラが叫ぶ。


「無駄よ! この自立型ゴーレムにはすでにあなたの生体情報を登録してある。地の底までだって追いかけていくわ!」 


 巨大なゴーレムがレイラの後を追ってジャンプしていった。


 ズウウ……ン


 着地したゴーレムとレイラが相対する。レイラは鋭い目つきでゴーレムの形状を詳しく確認した。


(二足歩行で両手も頭もある、人型のゴーレムか……全身が分厚い装甲に覆われていて目視できないが……魔力の流れからして、魔力の源は頭部にあるみたいだな。頭を破壊すれば終わりだ)


 次の瞬間、レイラとゴーレムが同時に動き出す。レイラは相手の頭部を狙うために大きくジャンプし、ゴーレムはそれを迎撃するために勢いよく右手を振りぬいた。


 ギャリッ!


 空中で身をひねったレイラをゴーレムの右手がかすめる。レイラはそのまま身体を一回転させ振り向きざまに右手を振りぬいた。


 ドコオン!


 ゴーレムの頭部にレイラの拳が激突する。しかし頭部にはヒビ一つ入らない。


(硬い!)とレイラが思った刹那、ゴーレムを殴った拳から全身を伝って、凄まじい衝撃がレイラを捉えた。


(!?)


 ドコオン!


 それはゴーレムを殴ったときと同じ轟音を響かせて、レイラの身体を吹き飛ばした。その勢いは強く、レイラの身体はいくつもの木に衝突して、なぎ倒したあとでようやく止まった。


「ぐ……う……」


 レイラの口から苦痛にあえぐ声が漏れる。


 ゴーレムの視覚情報を元に、離れた場所から戦闘の様子を観測していたサンドラが呟く。


「動力炉が頭部にあることを一発で見抜いたのは見事ね。でも、動力炉の場所が分かったところで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 ズシン、ズシンと巨大なゴーレムがレイラに近づいてくる。レイラは背中でジャンプして立ち上がり、近づいてくる相手を睨んだ。


(弱点の頭部には何かギミックがあるみたいだな。なら、頭部以外を狙って歩行不能にしてやればいい!)


 レイラはゴーレムの攻撃を避けながら低く走り、足元に飛び込むとゴーレムの左足を強く蹴り上げた。


 ドカアン!


 片足を蹴り上げられたゴーレムの身体がわずかに宙へ浮き、そのままバランスを崩して地面へ落ちていく。


(この強さで蹴っても砕けねえか!)レイラが心の中で叫んだ次の瞬間——


 ドカアン!


 蹴り上げたときと全く同じ音を響かせて、レイラの全身に衝撃が伝わり、身体が地面に叩きつけられる。


「ぐはっ!」


 ズウウン、とゴーレムが地面に落下し、それから時間をかけてゆっくりと立ち上がった。まるで仕留めるべき相手を、完全に術中にハメたことを知っているかのように、余裕のある動きだった。


 対するレイラは地面に手をついてよろよろと立ち上がる。それから地面を蹴ってゴーレムから距離を取った。まだ致命的というわけではないが、それでもかなりのダメージを負い、息も少しずつ乱れてきている。


「受けたダメージを反射しているのか……」


 レイラが呟く。ゴーレムはその言葉を肯定するごとく、両手を突き上げて身体を震わせてから、レイラに向かって突進した。

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