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金曜異世界:湖の町の物語2

本の中に入ってしまい、湖に落ちて気を失ってしまったライですが、どうなるのでしょう。

「あれ、ここは?」


目が覚めると本の外に出ていました。布団の中で汗をびっしょりとかいていました。どうやらお昼寝をしてしまって、夢を見ていたようです。




『湖の町の悩み』枕元に本があります。どうやら、この本の世界に入ってしまっていたのは、夢だったようです。この本の最後はまだライは読んでいません。町の紹介のところまでしか読んでいません。




ゲーム機は寝ている間、つけっぱなしにしていたせいか、バッテリー切れのようでした。


カーテンの隙間から窓の外を見ると、雨が激しく降っている様子が見えます。




「そうか、夢だったんだ」


溺れてしまったのが夢だったことにホッとしましたが、赤い髪の子の泣きそうな顔が頭の中をよぎります。




「あの女の子、どうなったんだろう」


窓の外は雨がひどくなっていて、雷光まで見えます。


枕元においた本が、不気味に照らし出されています。


時計の針は五時すぎを指していましたが、朝なのか夕方なのかわかりません。




(いったい何だったのだろう。次に寝たらまたあの本の中に入れるのかな。でも次に入って、抜け出せなかったらどうしよう)


ずっと考えながら部屋にもどりました。また新しい電池を入れて、ゲーム機を起動させてみます。するとまた眠気が襲ってきて、ライは布団の中に入り、眠ってしまいました。




--次に目を開けると、黒いヒゲを耳の横から顎までびっしりと揃えたおじさんがいました。白衣を着ていて、お医者さんのようです。


「お、気がついたな」




「よかった! あなた、湖の岸で気を失ってたのよ。さ、ミルクよ。ゆっくり飲んで」


ライは状況がつかめていませんでしたがひどくのどが乾いていたので、差し出されたコップを受け取ってゆっくりとミルクを飲みます。




ミルクをくれた人の顔をあらためてよく見ると、村の入口を掃除していたお姉さんでした。ベッドのよこにある窓から外を見ると、村の入口の門が見えます。




「安心して。ここは村の食堂の社員用の休憩室よ。すぐ裏の湖で溺れた人が出たって大騒ぎだったのよ」


「誰が助けてくれたんですか?」


「自力で泳いで岸にたどり着いて、そこで力尽きて気を失ったんじゃないの?」


「覚えてないです……。うーん、でも誰かに押されて、湖に落ちて、必死だったのは覚えています。泳ぎは得意だから自分でたどり着いたのかも」




頭の奥で頭痛を感じながら、返事をします。


「え、誰かに落とされたの?」


「そうです。鯉のぼりみたいなのが湖の奥に見えて、湖のふちまでいってしまったんです。そしたら誰かが後ろから」




「うーん、鯉のぼりってのがわからないけど、押したのはきっとこの町のギャングたちね。平和だけど、悪質ないたずらをするやつもいるの。町の入り口で言っておけばよかったわ」


「いえ、僕も不注意でした。それより、助けてくれてありがとうございます」


お姉さんに深く頭を下げます。その様子をみたお医者さんは安心し、語りかけます。




「うん、意識もしっかりしているし、顔色もいいし、もう大丈夫そうだ。じゃあ私は帰るよ。もうしばらくゆっくりしてから動くんだよ」


「ありがとうございます!」




黒いヒゲのお医者さんは、笑顔で去っていきました。


「あ、お医者さんに代金払わなきゃ」


ライが慌てて追いかけようとすると、引き止められました。


「それはいいのよ。この村では医療費は無料よ。旅の人も、この村での事故なら無料でみることになっているよ」




「そうなんですね。すごい仕組みですね」


「そうなの。私もびっくりしちゃった。でも安心して暮らせるわ。そうだ。お昼のあまりがあったから温めて持ってくるわね」




ライは改めて服を見ると、清潔な服に着替えさせられていました。清潔そうな白い服です。


食事はすぐに運ばれて来ました。




「店長が温めてくれてたの。キノコと野菜のスープよ」


奥に店長さんと思われるコック帽をかぶった人が見えました。親指を立ててウィンクをしています。


「ありがとうございます!」


少し大きな声でお礼を言うと、店長さんは満面の笑顔をむけ、奥に去っていきました。


食事を終えると、お姉さんが自己紹介をしてきました。




「私の名前はミラよ。あなたは?」


「僕はライ」


「へえ、可愛い名前ね」




「そうかな? ミラのほうが可愛い名前だよ」


ふふふと笑ってミラは立ち上がり背伸びをします。


「今日の仕事はもう終わったの。よかったら村を案内しましょうか?」


「え、でもしばらくはあんせいにしてなきゃ」




「スープも食べていたし、大丈夫よ。さ、いきましょ!」


僕は手を引かれ上着を着せられて、外に連れ出される。


「私もここの村に来てまだ一年くらいなの」




「へえ、もしかして旅をしていて気に入って住むことにしたの?」


「あたり! 村を見て、私の理想郷はここだわ! と思って、しばらく滞在して、部屋も決めて引っ越しちゃった」




「へえすごい行動力」


「ライも引っ越したらどう? この町は最高よ! あ、あそこはこの村の教会。花畑がとてもきれいなの」




教会というものをライは初めて見ました。汚れの無い質素なブロック状の石が積み重なってできていて、大きくはありませんが、とても神聖な感じがしました。




教会のそばのベンチに腰掛けます。


「実は僕、突き落とされたんだ」


「え、誰に?」


「それがわからないんだ。悩んでいる感じの女の子に話しかけて、鯉のぼりのような不思議な物体が見えたから、湖のように近づいたら、誰かに後ろから背中を押されたんだ」



「え、ナンパしてたの?」


論点がずれた反応が返ってきます。


「ちがう! そうじゃないよ! 僕はこの町の悩みを探していたんだ」


「あ! じゃあ、あなたも声がしたのね」


「え、キミも、そうだったの?」

ネット小説サイトへの投稿が初めてなので、勝手がわからず遅れてしまいました。エピソード追加に手間取ってしまいました。お昼ごろに更新ということで……。

また、なろうさんの雰囲気と合わせられていないかもですが、たまにはこんな大人の童話風の物語も楽しんでいただけたら幸いです。コメント・感想などいただければ幸いです。

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